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2章2節 異世界

「アァッ、クソッ!、、ハァなんだよあの川、、本当に流れてるの水なのか、、?」

あの渓谷から落ちた後、どのくらいの時間か途轍もない流れの川に流され続けた。

もしあのまま流されていたら、、恐らくは溺死していただろう。

「ったく、、今日はなんて厄日だ。ハァ、、まずは人だ、誰か探さなければな、、しかし、、この辺りに村なり街なりあるのか?」

と考えて辺りを見渡してると、ふいに胃がなり空腹感に襲われる。

僅かな非常食は持っていたはずだが、、、恐らく川に落ちた時に流されたのだろう。

あぁ、、予備弾薬も無くなってる、これでは本格的にマズくなってきた。

「クッソ、、、さっきのアレが1体だけならまだいいんだが、、釣りか、、いやここでは釣れんだろう。やはり歩くべきか、、」

そういいもう一度辺りを見回すと奥の方に微かに明かりが見える。

そうこうしていると火に当ててた服も乾いてきた。

よし、ならば一度荷物を整理してこの明かりの方へ行ってみようではないか。


物音をたてずに草木を分けその明かりに近づく。

段々大きくなり、焚き火をしているものだと思われる。

これなら人である可能性が高いが、ここは恐らく異世界だ。オークやコブリンなどの魔物が知能を持っていて、ここで焚き火をしていてもおかしくはない。

片手にハンドガン、もう片方の手に大型の護身ナイフを構え、ゆっくりと明かりのもとへ向かう。

「、、っ!!」

何か、針のような物が足に刺さり、声にならない声が漏れる。

「誰だ?!魔獣か!?」

マズい、気づかれた!

どうする、、このまま出て行くか?隠れたりしても怪しまれるし、第一足が痺れている、逃げるとしても思うように逃げれないだろう。その上さっきの獣、魔獣と呼ばれているヤツらに見つかると、それこそ死は免れないだろう。

「ま、待て!俺は魔獣じゃない、迷ったんだ!助けてくれ!」

「なに?迷った?お前は、、害は無いのだな?何者だ?」

「お、落ち着いてくれ、、何もしない。助けてくれ。迷ったんだ。足も変な花に刺された。俺はただの傭兵だ、、」

「ヨウヘイ?変わった名前だな。それに奇妙な格好をしている。どこから来たんだ?」

なるほど、、この国には傭兵という概念が無いのか、、それともこいつが知らないだけか、、まぁだとしてもあまり知られている訳ではないな、、

どこから来た、、?異世界からだと言っても変な目で見られるだけだろう。

「あ、あぁ、そうだ、ヨウヘイだ、、俺は、えー、、と、ここからずっと西の方からきたんだ。それと、左足がそこの花に刺されて痺れてるんだ。どうすればいい?」

「ずっと西?ここより西となると、、、サイスエイドの方か?!まさかあんなクソ見たいな所か、、、そこにある花はミーツの花だな。痺れは一時的なものだ。すぐに治るさ。」

「そうか、、ありがとう。そしてもう一つ聞きたいんだが、この近くに街か村、集落でもいい。何か無いか?」

「あぁ、それなら、俺が住んでる村がすぐそこにあるぜ。もうそろ帰るんだ、一緒に来るか?」

「い、いいのか?ありがとう、助かる。」

「あぁいいさ。困ってる人は助けろって村の教えだしな。俺はシル。よろしくな」

「あぁ、シル、ありがとう。よろしく。」

ひと通り警戒をとき、少し安心しその場に腰をおろす。

そして今思うと言葉が通じるのだな。これなら恐らくコミュニケーションには困らないだろう

「ところで、図々しい事を聞くが、何か食える物はないか?ずっと何も口にしてないんだ。腹が減って仕方がない。」

「ハハハ、図々しいな。ほら、ミーツの実だ。あの花の実は食えるんだ。俺は好きじゃないが、少量で満腹になる。」

「おぉ、、食べれるのか、、これ、、、、あ、あぁありがとう。」

そういいミーツの実を口に含むと甘酸っぱく爽やかな味だが、、後からとんでもない位の苦味が襲ってくる。

「ガァッ!ゲホッ、ゲホッ、、なんだこれ?!」

「ハハハハハハ!やっぱりそういう反応するか!だよな!苦いよなこれ!でもお前すごいな、普通なら一粒ずつ食うものを、、一気に5粒なんて。そりゃそんな反応にもなるわな。」

「一粒ずつって、、先に言えよ、、」

しかしやはりすごいのが、たった5粒でもう満腹になる。この世界の物にはこんな物があるのか、、しかしもう一度食べたいとは思えないな、、、

「ところでヨウヘイ、どうしてこんな森にいたんだ?サイスエイドから出てきたのなら、北の方に行けば都市があったじゃないか。」

「あ、あぁそうだな、いや、ただ方向音痴でな、、分からなくなったんだ。」

「都市への道がわからないとなると相当な方向音痴じゃないか!それに今気づいたが、髪がびしょ濡れじゃないか。」

「川に落ちてな、そこで、向こうの川岸に辿り着いたんだ。」

「なにっ?というと、、そこの川か、、よく生きてこれたな、、」

「俺でもそう思うよ、、ハハハハ」

「だとすると、、メニーも持ってないだろ?よし、俺、村で商いしてるんだ。ヨウヘイがどこへ行こうとしたのかは知らんが、どうせメニーがなかったら何も出来んだろう?格好も格好だし、じゃあしばらく俺のとこで手伝いしてくれないか?もちろん、それに見合った分は渡すしな。」

「いいのか?あぁ、頼むぜ。見合った働きできるかどうかはわからんが、、」

話を聞くかぎり、メニーとは通貨の事だろう。それに、やはりこの格好はこっちの世界では似合わないか。

「あぁ、こっちこそ頼むぜ、ヨウヘイ。まぁ、安心してくれ、接客と、仕入れた物の管理だけだ。あぁ、そうだ、仕入れも手伝ってもらうか。」

「任せとけ、力仕事なら得意だ。」

「心強いな。ハハハハ! よし、、それじゃあ村に戻るか。」

「オォケイ。ついていくぜ」

「お、、オォケイ?どういう意味だ?」

「あ、、あ、あぁ、えーと、、了解したって意味だ!えー、、俺の住んでた所の言葉、、みたいな?」

「ほお。オォケイね、、、分かった。それ、使わせてもらうぜ。」

シルは笑いながらそういったが、、村に本物のサイスエイドのヤツがいたらなんと言おうか。

まぁ、聞いてた限りではサイスエイドの人たちは滅多にそこから出ないそうだし、きっと大丈夫だろう。

「よし、じゃあ、行こうぜシル。案内頼む」

「オォケイ!」


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