3章17節 長話
ジョーと闘技の約束をしたあと、3人はすぐに兵舎へ戻った。
入り口をくぐると、キックス隊長が大きい木箱を持った男性と話していた。
「あんらぁ?ヨウヘイちゃんじゃない。ちょうどいいわ。これ、あんたが預けてたでっかい変な武器よ。」
「おぉちょうどいいな。俺もそれを取りに来たんだ。」
「へぇ。この木箱の中に入ってるわ。それっぽいのが2つと、四角い小さい箱みたいなのが4つと、種類の違う小さい四角いのが3つ。それでいいのよね?」
「あぁ。それで充分だ。」
「でも不思議よねぇ・・こんなんが剣や弓より強いだなんて。」
「その不思議なのが強いんだ。遠くの敵だって一発で仕留められる。」
「そりゃ嬉しいわ。ちなみに、敵は魔族だけと思ったら大間違いよ。最近東側の地域でも反王都軍が力を強めてきたり、南側では人民軍が、ここでも治安維持部隊が手に負えないくらいの悪質ギルドが出てきてるわ。それの所為で、人類型や亜人でも戦争や治安維持のための殺傷が、本当はダメだけど、国の権力者も見て見ぬふりするようになってるのよ。だから、その自称強い飛び道具なんて本当だったら凄い嬉しいものね。」
「これなら設計図を俺が作れるから、工業技術者に頼めば作れるんじゃないか?」
「あー確かにそうね。ちょっと持っていくわ。貸して。」
「いやだから今からそれをするために取りに来たんだが・・・」
「あらそうだったの。だったら急ぐのよ。王都にいる技術者のほとんどは、腕はあるけど気分屋なの。早い時間帯ならやってくれるけど、遅くなると、家族がいるんだ、とか夜はやることがあるんだ、とか言い出してやってくれないわ。」
「あぁ、ありがとう。なるべくなら急ぐよ。」
またまた話し込んでしまった。
しかし敵は魔族じゃないとなると、やはりどの世界でも俺は人を殺すことになるのかもしれない。
もう慣れたことだ。と自分に言い聞かせるも、1つの命を奪うということに多少の抵抗はある。
俺は気持ちを切り替えるように、シル達が待ってる正門のところへ向かった。