3章11節 陰陽
今日は後ほどもう1話投稿します。
「兄貴ぃ、こないだのニンゲン、あいつ死んだふりしてほっといてたけど、やっぱり生かしておいて良かったの?」
「あぁあの衛兵か。良いだろう、あの傷じゃ長くは持たない。」
「でもこの・・なんか、僕の隊の下っ端占い師が、あいつの所為で僕達を倒そうとする輩が出てきたとか言ってんだけど。」
「どんな奴がこようが、我らが負けるはずないだろう。」
「んーなんかすごい強い人だって言ってたけど?」
「誰が来ようが、構わんだろう。あぁ、それと、近々人類地拠点を作ると言う話が上の者から伝わってきた。恐らく、そのとき襲撃した近くの村になるだろう。」
「えぇ・・あの小さい村?そこを拠点て・・何か良い事あるの?もっと大きいとこ狙おうよ。」
「詳しくは知らんが、地理的に人類側の主要都市との連絡も困難、なおかつ広大な土地などがある。それに山に囲まれて、近くにこっちへ通ずる洞窟もあるからだろう。」
「うぅん・・小さいから強そうなやついなさそうだなぁ・・」
「わからんぞ?もしかしたらミノタウロスの奴を殺したニンゲンがあの村に住んでるかもしれん。」
「あぁーもしかしたら占い師が言ってた奴そいつかも・・」
「ほほう。ならそいつの情報を集めるか?見たこと無い飛び道具を使ってたとも聞いている。」
「そんじゃー僕の隊の偵察兵弱いから兄貴お願い!」
「自分の事は自分でやるんだな。」
太陽の光が自分の顔を照らす。
もう朝だと気付き、ベッドから体を起こす。
なぜだか体が重たい。昨日色々な事があったからだろうか。
そう思い起き上がろうとする。
「・・・・・・ユニ?」
「んむぅ・・もう少しぃ~。」
「おい、ユニ!起きろ!なんでここにいる!」
「ん・・ふわぁ~・・あぁーヨウヘイさんおはようございm・・・きゃああ!!痛っ!!」
自分の今の状況を認識出来たのか、慌てて起き上がりバランスを崩し転げ落ちる。
「ヨ・・ヨッヨウヘイさん!すいません!!私・・えっと・・その・・」
「あ、あぁ・・別に良いが・・・何故ここに?」
「えっと・・あの・・えー・・・・あれ、なんでここにいたんだろう・・」
そう言われヨウヘイは昨夜の記憶をたどる。
ユニが夕食をつくって、その後俺は風呂へ入り、上がってから着る服が無かったからもう一度同じ服を着てそのまま寝たはず・・ユニは確かその後に風呂へ行って、きっとその後に寝ぼけて俺の所へ来たのだろうか。
今もユニは顔を赤くして、えっと・・あの・・その・・と繰り返していた。
「お・・おいユニ、そこまで気にすることない。落ち着け。」
「あぁ・・すみませんヨウヘイさん・・。」
「いや、大丈夫だ。」
こう見てみると、やはり小動物に似てるな。リスか?
「あぁ、そうだユニ。俺とシルがここに来てお互いあまり物を持ってきてないんだ。だから今日シルと色々と必需品を買いに行くんだが、いまいちこの街がわからないんだ。ついてきてくれるか?」
「はっはい!もちろんです!では・・えーと、今から用意してきます!」
「あ、そこまで張り切らなくても・・あぁ。」
言い終える前にユニは部屋から出て行ってしまった。さっきのことが余程恥ずかしかったのだろう。この様子じゃもう少し時間がかかりそうだ。先にシルの方へも行ってみようか。
確かここから3部屋右に行ったところだったはずだが・・
いや・・・そんな事を考えずとも廊下に出るとすぐにわかった。
あの一番五月蝿い部屋だ。
防音魔法とか無いのか?
「おい、シル。入るぞ。」
ドアを開け部屋に入ろうとした。
その直後シルとぶつかる。
「いってぇ!!誰だ!!・・あぁヨウヘイ!何かアイツ俺の寝床に入ってきやがってた!」
「ふははは!いいじゃないかシル殿。私たちの間には主従関係以上のものが存在するはずだ!気にするな!」
「気にするよ男女だろ!てかなんでそんなお前抵抗無いんだよ!!」
「お前らうるせぇ!!!!!!」
ドアを閉め、堪えきれなかった怒りを叫び声で表す。
というかどいつもこいつも人の布団に入るの好きだな・・
「シル。静かにするってわかるか?」
「ヨウヘイちょっと俺の事バカにしすぎだと思う。」
「そうか。分かったならもう少し頭良くなろうな。すぐに出かけるぞ。用意しろ。」
「あぁ、なんか言ってたなそんな事。わかったすぐ用意する。」
「シル殿ォ!私も行くぞ!」
「お前は来なくていい!!」
あの部屋にいると、自分まで気がおかしくなりそうだと思い、すぐに自分の部屋へ戻る。
あとで管理人に防音対策をしてもらおう。
さて、自分も用意をするかな。
風呂へ入る、などという描写がありますが風呂というよりシャワーをイメージしてください。
タイトルは単語で縛りたいので陰陽にしていますが、まぁわかる通り陰と陽です。この世界に陰陽師などの概念はありませんが、語彙力がないので、今回の話に合うタイトルがこのような言葉しか思いつきませんでした。