3章9節 寮
思いの外引っ越し疲れしたので1日寝てました。
「なるほど、ここが俺の部屋か。案外広いんだな。」
部屋を物色し、荷物を整理していると、ドアをノックする音が聞こえた。
そこからユニがひょこっと顔を出してきた。
「ヨウヘイさんもう来てたのですね!では、改めまして、よろしくお願いします!」
「おう。よろしく。俺もあまりここの街の事とか、団内でのルールとか詳しく知らないから、そこもお願いな。」
「任せて下さい!」
「それと、もう一つ気になったんだが、二段ベッドだよな?もしかして・・」
「同じお部屋ですが・・嫌ですか?」
「あっ、いや俺は大丈夫だ、しかしユニは・・」
「私は大丈夫です!全然気にしませんから!」
――その頃シルは
「はぁ、何なんだよ隊長・・あんなに謝ってきて・・・ここが俺の部屋か・・少しこわいな・・」
トントン、とドアを叩きそぉーっと中を覗く。
どうやら相方はまだ来てないのか、部屋には誰もおらず、シルはひとまず安心して部屋に入る。
「フハハハハハハ!!よく来たなシル殿!待ちくたびれたぞ!」
「うわあああ!!おまっ!誰だよ!どこにいた!」
「む、自己紹介が遅れたな。我はエルザ!なぁに、ずっと貴殿の前にいたではないか!もっとも、ビジブルを使っていたがな!」
「ビジブルって、透明になってんならそりゃわかるわけねーだろ!」
「まぁそう声を荒らげるでない!とういうわけだ。これからよろしく頼むぞシル殿!」
「ふざけるなああぁぁぁぁぁ!!・・・・ハァ・・」
「ところでユニ、騎士団部屋とはどこだ?」
「えっ、あそこ行くんですか。あの汗臭い所・・・」
「あぁ、そうか。俺には慣れててもユニは女子だからな。流石にそういうのは厳しいものか。」
「はい・・騎士団部屋なんて、訓練後の着替えなどに使われてますから・・なんというか・・はい。部屋の場所までは案内しますので。」
「あぁ、いや、最初からそれで良かったんだ。ありがとう。」
「いえ。これが私の仕事ですから!」
それから数十分経ち、整理も終わった所でユニと部屋を後にする。
どうやら今自分達のいる建物の1階奥にあるらしく、近くに浴室もあるという。
訓練後の汗をそこで流すという形だ。
しかし、その部屋に近づくと、やはり汗臭い、というかとてつもなく強烈な酢の匂いがする。
「う・・これは・・予想以上というか」
「ヨウヘイさん!あそこの扉の奥です!でわ!」
「あ、ちょ、ユニ!」
置いて行かれた。こんな臭い所に。
しかし廊下でこの匂い。いやこの臭い。
部屋の中は、相当・・・
そう思いドアを開ける。
そこには一人の高身長のメガネをかけた青年と団長がいた。
「お待ちしておりましたヨウヘイさん。私、この寮の管理人兼料理人兼服屋をしております。ラインともうします。あぁとても体の大きい方だ。これは私も服の作りがいがありますね。」
フフッ、と笑い、自己紹介を済ませたラインは俺の身長、肩周り、腕、腰、とサイズを測り始める。とても手際が良い。
はい、と一言いい、ラインは俺に頭を下げる。
それに合わせ、自分も頭を下げこの部屋を後にする。
うーむ、この部屋の臭いは魔法では消せないのだろうか
ともあれ、明日は休み、明後日は王との謁見だ。
となると。明日はそのための買い物や、必需品を買いに行かなくては。
そう思い、足早に部屋へと戻った。
いつもは脳内説明役のヨウヘイがいるのですが、今回シルでのシーンは説明役がいないので、わからない方も居るかもしれないので説明を
ビジブル=インビジブルからとって透明化魔法