3章7節 団長
「ほら、もうすぐ着くわよ。他のギルドはもう解散しているようね。」
「うおぉ、でけぇ。遠目でもでかかったけど・・こうしてみると凄いな。」
魔獣討伐作戦後、三人は王城へと向かった。
石造建築の豪華なその城は、ヨーロッパの城を思わせる造形で門番の騎士は、チェーンメイルをつけていて正に王国だった。
「えぇ、えぇ、そう。わかったわ。・・・・どうやら彼は大丈夫みたいね。本当に軽い傷で済んだみたいよ。」
「そうですか。それは良かった。」
「流石この防具だよな・・・」
「さぁ、さっさと城の中に入って、正規手続き済ませちゃいましょう。たーぶーん?その後団長様と会うことになるけど・・・怯えちゃだめよ?」
「もう十分隊長に怯えましたよ・・」
「俺いつ聞いてもヨウヘイの敬語にしっくり来ないぜ。」
「そうか?俺だって、立場くらい弁えるさ。」
「んまぁー私になら別に敬語使わなくてもいいわ。そんな堅っ苦しいもの。ただ、団長様にはしっかりね?二人とも。」
「了解。」
「へーい。」
城の内部は白を基調とし、そこに赤い絨毯や豪華なシャンデリア、絵画などが飾られていた。
その中でも、一際大きな扉まで歩いていた。
どうやら、この中に団長とやらがいるらしい。
「この中に、団長がいるわ。とりあえず、あなたたち二人は私についてきてね。」
「わかった。」
軽い指示を受け、シルとヨウヘイはそれに頷く。
キックスが扉を叩き、自身の名を告げると、奥から入れ、との声がかかる。
もう一度、キックスがこっちを見て頷いた。
そこまでやられると、流石に緊張がしてくる。
キックスが扉を開けると、そこは円状の広い間があった。中央にある檀上の上に立っている、貫禄のあるその人が団長だろう。
そしてその人が佇んでいることにより、この部屋は色合いや雰囲気はそこらと変わらないものの、重たい空気が流れ込んでいた。
「なるほど。貴様らが、例の二人か。」
「はい。そうでございます団長殿。」
「キック・セルス一隊長。下がれ。」
「はい。」
キックス隊長が下がると同時に、シルとヨウヘイは一歩前に進み、この国式の最敬礼の姿勢をとり、
「王国騎士衛兵部隊第一隊仮所属騎士、ヨウヘイ。」
「王国騎士衛兵部隊第一隊仮所属騎士、シル・バーレス。」
と、お互いの自己紹介をする。
意外にも、シルのフルネームをここで初めて知ることとなった。
そして俺も本当はレオンなのだが・・・まぁ、この際はもうどうでもよいだろう。
「よろしい、話はキック・セルス一隊長から聞いている。貴様らの入団を認める・・・前にだな。二人の実力を測らせてもらおう。貴様らは騎士と言ったな?ならば己の剣を出し構えろ。我が良いと判断したら、入団を認めよう。」
「ハッ、了解しました。」
正直ここまでは聞いていない。しかし、入団するためだ。そう言い聞かせる。
シルに至っては焦りを表情に出しながら、本当に小さな声で、まじかよ無理だろ・・とつぶやいていた。
ヨウヘイが、ナイフを構え、少し遅れて震えながらもシルが剣を構える。
そして、団長も、自身と同じくらいのサイズの剣を構える。
あの巨躯が、あの大きさの剣を構えるとなると、とても威圧感がある。
これだけでも怖気づいてしまう者もいるだろう。
「さぁ、かかってくるがいい!」
と、ラスボスらしいセリフを吐き、姿勢を低く構える。
ヨウヘイとシルは、そのセリフを聞きお互いに目を合わせ、団長に向かい走り出した。
気づいたら日を跨いでました。
なのでちょっと短いし、意味わからんところで切ってます。
※団長はラスボスではありません。