3章4節 記憶
ユニと、明日王騎団へ見学に行くと約束をし、そこで別れ、酒場の2階の宿屋へ来ていた。
中は思ったより綺麗で、この金額にしては十分な方だとシルは言う。
シルの部屋より綺麗だ、とは言わないで置いとく。
「いや、なんか展開早くね?」
「どうしたシル、いきなり。」
「いやぁ、なんか、ヨウヘイが来てからいきなり魔族が襲ってきて、衛兵の人たち全滅で、かと思えばすぐに王都行くし、着いたと思えばまたすぐに騎士団入れそうになってんだ。何か嫌な予感するんだよなぁ。」
「すきに言ってろ。お前が言う嫌な予感はあたったことがないだろう?嫌な予感は別の事に対してじゃないのか?例えば、村に見られたくないものを残してきた、とか。」
「やめろよぉ。俺が秘密の多い乙女みたいじゃないか。」
「ハハッ違うのか?ほら、寝るぞ。明日のためにも。どうせ俺は起きるの遅いんだし、早めにな。」
「だな。いつも俺が起こしてる。」
「うるせぇ早く寝ろ。」
「へいへい」
などと軽口を叩き合っていたものの、実際に色々と展開が早過ぎるのも事実。
俺からしてみれば、死んだと思えばこの世界にきて、すぐに戦って、かと思えばまた戦うための組織に加入する羽目になった。
正直、あの村でゆっくり過ごしたかったのもあるが、やはり前の職業柄戦いとなると体の内側からゾクゾクしてくるのもある。
やはり、前の仲間にも言われたが、本当は戦闘狂なのかもしれない。
しかし認めたくない。
この血で血を洗う仕事を選んだのは愛する人を守るためだったはずだからだ。
「アリス・・・・」
気が付くと、その者の名を口にだしていた。
忘れたかった頬の傷にも手が伸びていた。
この名を思い出す度、この傷に触れる度、彼女の事を思い出す。
そして、同時に悲しみも込み上がってくる。
愛する人を失った、愛する人を守れなかった悲しみ。
この世界に来て、あの村で静かに暮らしたかったのは、この悲しみを忘れようとしていたのかもしれない。
しかし、まだ戦わなければ行けない。戦わなければ守れない。
だから、これでいいのだ。
自分が戦えば、誰かを守れる。
そのために自分はいるのだ。
こう言い聞かせ、静かに目を閉じる。
一夜明け、その日がやってきた。
昨日指示された場所、王都中央にある大きな噴水の前。
モンスター狩りのギルドや、お金集めのために鉱山へ潜ろうとする者がおり、ファンタジー系のゲーム内を思わせる雰囲気だ。
そこで数分待つと、自分の名を呼び、走り寄ってくる者が視界に捉える。
「おーーい!ヨウヘイさーーーん!」
「おぉ!ユニちゃんおはよう!」
「はいシルさん。おはようございます。」
「おはよう。ユニ。早いな。まだ時間前だろ?」
「ヨウヘイさん達こそ早いですよ!えーと、んじゃ、あ、行きますか!」
「あぁ。分かった案内頼む。どこへ行くんだ?」
「ここから南にいった所に、迷いの森って呼ばれてる、すごく複雑な地形の森です。そこの近くで、最近猛獣の目撃情報をよく聞くので、一度調査と、いたら討伐という形の任務です。」
「なるほど。俺はユニに付いて行けばいいのか?」
「はい!私についてきてください!では、しゅっぱーつ!」
シリアスなシーンがありますが、これはファンタジーモノです
とってつけたような内容がありますが元から考えていました。可愛いいよアリス。
自分が中学生の時の教科書が見つかり、表現技法を使いまくってます。読み返してウザくなってきました。