2章8節 少数精鋭
「おい・・おいヨウヘイ!なんだよこれ・・」
「初めて見たろ?銃って言うんだ。俺がここに来る前に使っていた武器でな。まず、このデカイのがエンハンスドカービン。で、この小さいのがベレッタだ。」
「エンハンスド、、何?」
「エンハンスド カービン」
この二つはどっちも、生前の戦争で使っていた武器の二つ。
エンハンスドカービンは、正式にはH&K416と呼ばれるモデルで、ベレッタはM92と呼ばれる物だ。
どちらも、今回の契約先であったアメリカ陸軍で採用されてる武器で、信頼性が高い”らしい”。
「これでどう戦うってんだ?」
「簡単さ、この弾薬って言う物をここに入れて・・・後はこの、トリガーってとこを引く。そうすると・・ダダダダッって、な。」
「強いのか?」
「多分弓や剣よりは強いと思うぜ・・・そうそう、ここに化学者や、色々な物質について研究する奴はいるか?」
「あ、あぁ化学研究なら王都の方で行われてるぜ。」
「そうか・・分かった。」
となると、王都やらへ行くまで一発は弾薬を残しといたほうがいい、どちらも残り5マガジン分しか残っていない。
無駄に使うのはよそう。
一通り、用意が終わって、この村に残っていた少ない衛兵、力自慢の鍛冶屋ウィル、そしてその他の村の青年が集められ、村長が話始める。
「えー諸君。ここに集められた理由は、勿論みんな知っとるじゃろう?魔族じゃ。魔族が進行してきたのじゃ。見た者は、少人数と言っていた。恐らく、偵察としてじゃろう。騎士団が来るのには後2日程かかるとみられる。今偵察を撃退したとして、本軍もしくは少し強化された小隊が攻めこんでくるのにも3日以上はかかるはずじゃ。じゃから、今撃退できれば、恐らく後は騎士団がなんとかしてくれる。よって!諸君らに、その魔族の小隊を撃退または討伐の作戦令を下す!何か異論がある者!・・・・・無いようじゃな!よし、今こそ!魔族に恨みを晴らす時!行くぞ!!」
「「「「ウオオォォォォ!!!!」」」」
「な、なぁシル、、この村って魔族に攻めこまれたとかあるのか?」
「いやぁ、無いな。ただ戦争に巻き込まれた位だろう。」
「それは結構重大な事だな。そりゃここまで恨みも大きくなるわ。」
「俺はそれより、その銃とやら、エンストカーブだかを早く見たいな。」
「エンハンスドカービンな、長いからカービンでいいぜ。」
どうせカービンと言ってもStGやM1があるわけでもない。この際、この世界ではカービンと言う名前の武器と言う事にしても悪く無いだろう。
王都で量産してもらえたならば、ヨウヘイカービンと名付け・・一躍有名に。
などと前の世界では思いもしなかったような妄想をしている。
しかしこれじゃあ元の世界に戻りたくないみたいだ。・・・いや、実際にそうだろう。
今の世界の方が、いつ死ぬかも分からない戦争に巻き込まれ続けてるわけではないし、この村の雰囲気が好きだ。
やはり、魔族により村が滅ぼされるのを黙って見過ごすわけにも行かない。
なんてこと無い。敵は近接のみ、聞いた話では、このレベルの魔族は恐らく動物の硬い革の防具のみらしい。
これなら弾丸も貫通するだろう。
後は、騎士団がなんとかしてくれる、とも言ってたな。
「よし、ヨウヘイ、行こうぜ。」
「あっ・・おう!」
―――そうして、数十名の部隊は山の麓まで進軍する。