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2章7節 異変

「おーい遅いぞヨーヘー。さっ、薬品の調合とか、事前準備とか、在庫の確認とか、どれを任せようかな。」

「在庫の確認なら任せてくれ。」

「まぁそれしかできなさそうだしな。分かった、んじゃ、この紙に書いてる物と個数を確認してきてくれ。」

「分かった。」


正直薬品の調合などできるわけがないし、事前準備は何をさせられるか、、

ある程度なら文字は読めるようになったし、これなら出来るはずだ。

しかし紙と言えど、それこそ技術が発達してないのもあるのだろう。

一昔前の海賊が持つ宝の地図のような紙質で、なんとなく雰囲気の出た感じだ。

そこに元の世界の住人が見れば読めるはずのない文字と数字が書かれている。

ふと窓の外を見ると外はもう夕暮れの空で、元の世界で6時位だろう、となると、もしも予想が正しければ


「おーいシル!今って後12時か?」

「あー12時半だな、なんだ?もう腹がすいたのか?」

「いや、大丈夫だ、ありがとう。」


やはり、この世界は元の世界の2分の1の速度で進んでるわけか、

それなら大凡の時間の把握も・・・

ん?待て待て、シルはどうやって時間を判断してるんだ?時計があるのか?この全く技術の発展してない世界で?

それともこの村だけで、王都の方では普通に車が走ってて・・・・


「なぁ、シル。時間ってどうやって確認してるんだ?」

「やっぱりお前魔法もロクに使えなかったか、通りでいちいち確認してくるわけだ。」

「は・・え?どういう事だ?」

「だから、時間把握魔法だよ、物心ついて大方会話が出来るようになってからすぐに親に教えてもらうだろ、大抵どこの家でもそうじゃないのか?王都や西の都市、この村でもそうだろ。」

「ま・・・魔法か・・ちなみに、どんな魔法なんだ?」

「普通にそこそこの文章を読み上げて、それで終わりさ。そうすると視界の右上の方に時間と日付の文字が浮き出るだろ。」

「は?お・・おおうそうか。」


何だソレ・・・まるでヴァーチャルの世界みたいじゃないか。

しかし、何故技術が発展してないのか。その必要が無いのだ。

なるほど、なら車じゃなくて箒に乗って移動してるのか?


「いやぁまさかそれを知らない人がいたのは初めて知ったよ。まぁ生憎俺は覚えてないんでね。知りたかったら他の人だな。」

「あぁ、それなら別にいいぜ、大体で時間把握できるからな。」

「ほぉ、それはすごいな。ソールの位置で大凡つかめるのか。」

「まぁ慣れたからな。」

「そうか。で?今どれだけ進んだ?」

「あ・・ま・・また後からだな!終わったら飯食おうぜ!」

「早く終わらせてこい。」



それからあまり時間は立たずに俺は仕事を終わらせ、下へ降りるとシルがもう夕食を作り終えていた。

シルは以外にも近所でも料理上手と評判が良いらしい。

・・・見た目はとても気持ち悪いが



そしてむさ苦しい男2人での夕食を終え、水も軽く浴びて、シルはそそくさと自分の寝室へ閉じこもった。

さぁお勉強でもしようか。

数字は一緒なのがありがたいし、この本を読む感じこの世界の歴史について載ってる本らしいが、恐らくこの文字、仮に平仮名もどきとして、この世界では平仮名もどきしかなく、カタカナや漢字、英語、フランス語など複数の言語があるわけではないようだ。

それが唯一の救いだった。

因みにこの本を読む限り、この世界には

人や亜人、人や亜人に似た知能を持つ動物、知能の低い動物、精霊、

そして、大昔に人類と戦争があった魔族が居るらしい。

エルフや龍など、本当にファンタジーの世界なのだなぁ、と再認識させられた。

あの時襲ってきた獣は知能の低い動物に当たるらしい。

それに魔族にも知能のある奴とない奴が居て、知能ある魔族が低い知能の魔族を調教して戦力に云々、人類と並外れた身体能力の云々などと、当時の人達が手こずるような相手だそうだ。

当時の人が今とどの位違うのかはわからんが。

そしてこの世界は、地球みたいに丸くなく、とてつもなく広い平らで世界の果てまで行くと永久空間と呼ばれる、何も出来ずに落下し続ける空間へと落ちるそうだ。名の通り永久に、だ。

しかし今の今まで世界の果てを見たことがある人がいないと言う。

なんと不思議な話なのか。

その世界で、魔族側の陣地と人類側の陣地、そして、遥か上空に神が存在する神域と呼ばれるものがあり、最近になってまた魔族が人類地の方で目撃されていると言う。

何でも、神域への入り口が人類側の地にあるのだという。

これも見た人はいないという。

・・・・・ガバガバな内容の本だな・・これ・・・

見たことは無いが果てがある、みんなが言ってるから神域がある、魔族が言うのだからそこへの入り口がこっちにある。

まぁ、そのどれにも夢がある話じゃないか。

神域へ行けば俺も元の世界へ帰れるか

いや、そうか、俺はもう死んでいるんだ。


「ん?そういや、俺今本読めたよな。あぁ!これで解読終わったぁ!なんてつかれる作業なんだ。よし、眠いし、今日はもう寝るとしよう。お疲れ様、俺。」


そうして、掃除し綺麗になったベッドへと身を投げ、深い眠りにつく。

何故解読したばかりの言語の本をすらすら読めたのか、疑問に思うこともせずに。




窓からの日差しに抱かれ、外の五月蝿さに脳が反応する。

どの位眠ったのだろうか。もうシルの店は始まってるのだろうか。

なるほど、だとしたらこの時間帯は外は賑やかなのかもしれない。

そう思い、シルからもらった普段着に着替え、階段を降りる。


「あっ!ヨウヘイ!やっと起きてきたか!」

「あぁ、おはようシル、もう店を始めてるのか?」

「そんなことより!!大変だ、大変なんだ。魔族の・・魔族の群れを見たって、村の衛兵が・・・!」

「魔族?」

「そう。魔族だ。流石に知ってるだろう?かの大戦の事は。」

「あぁ、数千年前の領地争いのだろ?」

「そして、その時魔族との大戦で英雄が云々で、ある交渉をして終わったってのも知ってるだろ?」

「あ・・・あぁ・・・当たり前だろ・・?」

「良かった。その時、結ばれた契約に、魔族はこの土地へ攻めこまない。って物なのだが・・」

「魔族の群れ、小隊が攻めこんできてるかもしれないって話だろ?」

「あぁそうだ。仮にそうだとしたら、サリの群れがいなかったのも、辻褄が合う。サリの肉は魔族にとって食料になるからな。」

「どうするんだ?」

「今は衛兵と村長が王都に向かって騎士団に見てもらうように頼みに行ってるところだが・・帰ってくるのに2日かかると予想されてる。見たのも、この近辺の森だ。今日中にこの村のすぐそこまで来るかもしれない。」

「だったら戦えばいいだろう?」

「なっ・・バカか!この村の人たちが魔族と戦えるわけないだろう!返り討ちにあうだけだ・・・」

「奴らは飛び道具や魔法を使うのか?」

「いや、飛び道具は使わない。魔法は、魔族の中でも上位の奴らが使う魔法以外は殆ど防げる。」

「なら遠くから狙えばいいだろう。」

「何を言ってるんだ?弓でも使えるのか?仮につかえても奴らに対抗出来る程強さも数も、、」

「違う違う。俺と初めて会った時、腰と背中にかけてたモン、シル、どこにある?」

「それなら倉庫だが・・あれが何なんだ?魔族に対抗出来るのか?」

「まぁ、多分だがな。銃って言うんだ。」


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