プロローグ
「おい、、おいレオン、奥のアパート、3階右から二つ窓、狙撃兵確認。注意しろ」
「了解」
そういい俺は狙撃兵の死角になる所を通り数メートル前進する。
数十年前のホテルとはいえ、今は廃墟だ。土埃が舞い、少し居心地が悪い。
しかし今はそんな事は言ってられない、一歩間違えれば自分の命を失う羽目になる。
細心の注意を払い、俺とハリスは短く、だが着実に前へ進んでいく。
「ストップ、、ハリス、、足音が聞こえないか?」
「このあたりは俺らしか味方はいないはずだ、、」
「、、、クソッ、隠れられるような場所がないな、、ここでRCを出すのは危険だ、、、見てこいハリス」
「了解」
そう言って足音の正体をハリスに確認させに行く、、、そしてすぐに間違った判断だと知ることになる。
タタタタッ、と聞き覚えのある音とドサッという音が聞こえる、消音器をつけた短機関銃の発砲音と誰かが撃たれた音だ、、いや待て、、ハリスが持っていたのは消音器のついていないアサルトライフルのはずだ、、、なぜ消音器も付いているのにここまで鮮明に聞こえる、、?ハリスに確認させに行かせてまだ10秒も経っていない、、まさかハリスが、、っ!?
「ハリスウッ!!!!!」
俺は勢いよく上体を起こす。もしハリスが撃たれたのならば背後から近づくのは敵のはずだ。そうなると逃げ道はない、、なぜなら前方には狙撃兵が、、、狙撃兵?そうだ、、前には狙撃兵がっ、、!
まずい、、っ!!
そう思った矢先 パアァァンッという発砲音と共に体中から力が抜け、視界が暗くなっていく。
状況を理解するのは容易かった。
あぁ、撃たれたのか、、世界が真っ暗だ、、だが辛うじて音は聞こえる。よく聞くとザッザッザッと複数足音が近づいてくるのがわかる。
話し声が聞こえるが、ハリスの声ではない、、、どうやらアラビア語のようだ、、だが何を話してるのかわからない、、段々音も失っていく、、、体も動かなくなってきた。どうやら俺はここまでらしい。
呼吸もままならず、脳の動きが鈍くなったのか数秒前のことすら思い返せなくなってくる。
意識も遠のいていく、、死ぬのか、俺、、
そうして意識が遠のいてくと同時に、真っ白になった。