11、 ピウラの計画(けいかく)
やっとなみだがおさまってくると、ピウラはあきれているのではないかと気づいて思わずあやまった。
「こんなことを言っているぼくは、シアワセでわがままなんだよね。ごめんねピウラ」
するとピウラは、いきなりぼくの目の前で服のすそをたくし上げ、手と頭をぬいてそれをぬいだ。ぼくが思わず顔をおおうと、ぼくの腕にぬいでまるめた服をぎゅっとおし付けた。そろそろと顔を上げると、うすい毛おりの短い下着一まいになったピウラが腕を組んでにらみつけていた。
「さっさとあんたの服をぬいであたしにちょうだい。さむくてしかたがないわ!」
おどろいて、ピウラを見ているぼくに「早く!」ともう一度どなって、ピウラはぼくの着ていた服をむりやりぬがそうとした。
「分かった! 自分でぬぐから」
そう言ってぼくはうしろを向いてこそこそと服をぬぐと、うしろ手にそれをピウラにわたした。
だって、女の子とちがって、ぼくは下着を着ていないから。
ピウラはぼくの手から服をうばい取った。ぼくはピウラにせなかを向けたまま、あわててピウラにわたされた服を着た。
長いすその女の子の服を着たぼくはなんともまぬけなかんじがするが、ピウラのほうは男の子の服がよくにあっている。
今度はぼくの頭にまかれているロープの頭かざりをぬき取って、自分の頭にはめた。髪が長くなければなかなかきまっている。そう思っているとピウラは自分の髪の毛をふたつに分けてきように三つあみを作ると、それを頭のロープの上にくるくるとまきつけた。
アクリャにえらばれるのはきれいな顔の女の子だからだ。たしかにピウラはきれいな顔なのかもしれないけれど、今目の前にいるのは、どう見てもやんちゃそうな男の子だ。これまで気の強いことを言う姿ばかりを見てきたのでよけいにそう思う。
はんたいにぼくは……。長いスカートをはいた姿がなんともなさけない。こんな姿でばれずにアクリャワシにしのびこめるのだろうか。
うつむいているぼくの頭に、ピウラがぱさっと大きな布をかけた。
「短い髪とその顔はこれでかくしておくのよ」
見ると足もとにたくさんのほしいもが転がっている。ピウラはいつの間にか、わきの倉庫からほしいもが入ったふろしきづつみをもってきて、中身をあけてぼくの頭にかけたのだ。
かぶった布からほこりっぽいにおいがただよってきた。
「いいこと」
というと、次にピウラは地面に人さしゆびの先を立てて見せた。ピウラのゆびのかげが短く地面にうつった。
「このかげがゆびと同じ長さになったら帰ってくるのよ! それまであたしはこの倉庫にかくれているわ。見つかったらかくれんぼしていたふりをしてにげてみせるわ。
あんたはくれぐれも気をつけるのよ。あの水桶のある中庭の右がわの通路を行けば織物の館に行くわ。この時間、ママコーナはみんな上級生のアクリャに織物のやり方を教えているはずよ。窓からそっとのぞいてあんたの母さんをさがしなさい。でも見つかりそうになったらすぐににげてくるのよ。今度はただじゃすまないからね!」
ぼくがおねがいしたことなのに、ピウラはひとりで手ぎわよくこの作戦をととのえてしまった。ぼくが何か言うひまもなく、ぼくのねがい事をかなえる準備ができたのだ。
ぼくはただだまってピウラにうなずくしかなかった。




