第八物語 「queenマリナ様…」
少し遅れてしまいました…。
今回バトルメインです!
まりなさんの活躍にこうご期待!
「じゃあ、行こうか!マリ姉」
「ええ、ユウちゃん」
白の大きな扉に近付く。
すると、何処からか声が聞こえてきた。
『異世界から来たれし、少年よ。汝、力を求めるか?』
「ああ、求めるね!」
男の子は強さを求める生き物だ!
『汝は何故求めるか?汝はもう戦えるであろう?』
「関係ない。大事な人を救えないうちは、まだ力とは呼べない。俺が持ってるのは、まだ愚かさだけだよ…。」
そう。何も護れないのなら、意味がない。
俺はまだ普通の中学生だ…。
『我には分からぬな…。だが、誰かのために力を手に入れたいと言うのならば、力を試すこととなる、それでも良いのか?』
「当たり前ですよ!じゃないとここに来た意味がない」
まぁ、ほぼマリ姉任せだったかな?
『そうか…。なら、問おう。汝の願いはなんだ?』
「決まってんでしょ!女の子達を救う!ただの下心だ!」
『………………』
「あれ?リアクション消えた!?」
『………入れば?』
「ノリが軽くなった!」
ドアに手をかけると、目映い光に包まれ、光が収まり目を開けると真っ白な空間の中に一人だった。
いや、厳密には何かがいる。
灰色で統一された甲冑が剣を地面に刺し、佇んでいた。
距離は近い…。
『汝、力を手にしたかったら、そのガーディアンを倒せ』
「分かりやすくて、良いね!」
俺はトンファーを 呼び出し、腰を落とし肩を開いた状態で構える。
ガーディアンは地面から剣を抜き両手で剣の先を前にかまえる。
「いっくぜぇ!」
その声と共に俺は前に走り出す。
~ マリナ side ~
ユウちゃんが消えた?
いや、違うわね。
何処かに飛んだのかしら?
何にしても…。
「ここから先は一人と言うことね…」
『汝にも問おう。汝は力を求めるか?』
「ええ。求めるわ…」
『それは、何故だ?』
「私の為に、人の為に、皆の為に、傷付いちゃう馬鹿な子が居るのよ…。そういうのって、ほおって置けないでしょ?だから、支えるためよ」
その人には、あんまり無茶して欲しくないから…。
傷付いて欲しくないから…。
だから、隣で支えたい。
成るべく、傍にいたい。
『汝は恋をしているのか?』
「そうね…。そんな時期もあったわね……。でも、今は違うわ…。分からなくなっちゃったし……」
だって、それは…。
私が抱いてはいけない感情なのだ…。
その人を本当に思うならば、絶対に抱けない感情…。
『ならば、何故…、汝は泣いているのだ?』
「え?」
私が泣いている?
目元を拭うと確かに水があった…。
そっか…。
そうなんだ………。
私は…。
でも、駄目だ。
これは涙じゃない。
只の醜い欲望の塊。
だから、涙じゃない。
「これは、汗よ?」
『そうか…。もう一度問おう。汝の願いはなんだ?』
「馬鹿な従兄弟を守ることよ…」
それが今の私の抱ける願い。
『汝の願いを叶えるためにガーディアンを倒すが良い!』
そう言って、目の前が目映い光に包まれて着いた先は黒の空間。
光に包まれた時『汝の本当の願いが叶うと良いな…』と聞こえたのは多分、私の気のせい。
あまり黒の空間と言うのは好きじゃない…。
でも、思い入れも無いことはない。
その黒の空間には、一つの白がいた…。
腰に二丁の銃。
その下に二本の棒。
背中に二本の剣。
そんな、白がそこにいる。
『さぁ、ダンスの始まりよ!』
私は近付いてくるガーディアンに対し、腰の鞭に手をかけた。
~ ユウト side ~
距離が縮まり、手始めに右の手をトンファーと共に放つ。
が、相手は剣を右側から叩きつけてきて、金属と金属がぶつかる音が響く。
すかさず、左手の攻撃を腹の辺りにくらわそうとしたら当たる直前に一歩下がられ、上段から剣を降り下ろしてきた。
それを左のトンファーで受け流しつつ、今度こそ右のトンファーの一撃を叩き込む。
ガーディアンは後方にそのままの姿勢で飛ばされる。
追撃の為に、低姿勢で飛び込む。
ガーディアンは対するように下から切り上げてくる。
上手いな…。
威力は少ないがガードしにくく、良いタイミングだ…。
普通だったら、下がらないといけないだろう…。
普通だったらな!
切り上げてきた剣の刃の部分を右足で踏みつける。
「生憎、このローファーは特殊性でね!」
金属も通さないぜ!
トンファーの左の先端で顔面を殴り、横を向かせた所を右の先端でアッパースイングをくらわせる。
だが、バランスが余り良くなくダメージが少ない……。
と思ったら、踏んでいた剣の感触が消えさる。
「なっ!」
感触だけじゃない…、実際に消えたのだ。
必然的にバランスを崩してしまう…。
そこに剣を捨てたガーディアンの拳が頬に当たる!
「うぐっ!」
パンチの威力が強い。
学ラン部を狙えば良かったのに…。
後頭部から後ろに二メートル程、飛ばされてしまう。
あんにゃろう、剣を消せるのかよ!
トンファーを放して両手で地面に手をつき体勢を整える。
が、さっき消した剣を持ったガーディアンが追い討ちをかけに、剣を降り下ろしてくる。
間に合え!
右に飛びながら、剣が当たる瞬間に棍を剣の軌道に 呼び出す。
そのまま、意地で棍を両手でつかみ取る。
ガブアン!
空中で交差した剣は一瞬スピードが落ちたが勢いを殺しきれず棍の打撃部が俺の頭に当たる。
いってぇ!
つうか、殴られた時に口の中きっちったじゃん!
だが、剣の攻撃は直撃を避けることが出来た。
更に痛みを抑えながら、棍を傾けていなす。
ちょっと、剣が左腕をかすった…。
あ、あと、棍落とした…。
転がりながら、距離を放して体勢を立て直し、もう一度横なぎにはらってきた剣を足の裏で受け止める。
正確には、ローファーだが。
「まだ、終わらねえぞ…」
左腕からは軽く血が流れ、頭にも打撲がありクラクラする。
気付かないだけで頭から血が出ている…。
「へへっ…、楽しくなってきたぜ…」
薄く笑いながら相手を深く見つめ直す。
その笑みは獣の獰猛さにみちあふれていた………。
~ マリナ side story ~
ガーディアンが両手に銃を構えている。
(やる気ね?)
マリナは、鞭を手に構え直す。
(来るわね……。)
一時が過ぎたあとマリナより、ガーディアンが先に動いた。
銃はリボルバー。
カートリッジには幾何学的な魔方陣が展開されている。
マリナは右から発射された弾丸を一歩体を動かすことで回避した。
「私に銃は当たらないわよ?」
普通の人間にできる事ではないが、マリナはそれを可能とする実力をほこっている。
通常の銃に対して、引き金を弾くタイミング、射線の向き、相手の呼吸、などなどの様々な要因。
それら、全てを見切って弾丸を予め避けれる場所に移動する。
それこそがマリナが銃を回避出来る理由だ。
ただ…。
(厄介ね…)
(やりづらいわ…)
その天才的とも言える技術を見せながら、そんなことをマリナは考えていた…。
何故ならガーディアンは引き金を弾くことが無い普通では無いタイプの銃だからだ…。
バレットの魔方陣から弾丸が打ち出されるため、トリガーを引くことがなく、予備動作が限り無く少ないガーディアンを相手にするのはかなり集中力をよういられる。
戦闘とは、把握できる物が多いい程有利に進める事が出来る。
一つの物だけに大量の集中力を使うのはかなり危険だ。
例えば、この部屋にトラップがないとも限らない。
その可能性は低くとも、仮想じゃない現実では命を無駄にすることなんか出来ないのだ。
ガーディアンはそんな苦労も知らず、左のリボルバーから弾丸を放つ。
当然の如く避けられるが、今度は交互に連射をしてくる。
右、左、上、下と僅かに体を動かすことで全てを回避するマリナ。
右八発、左八発、計十六発の弾丸を撃った所でガーディアンはホルスターに両手の銃をしまう。
(誘ってるのかしら?)
ならば、とガーディアンに近付くマリナ。
同じように近付いてくるガーディアン。
先に攻撃したのは、他ならぬマリナだった。
鞭は中距離で有効的に戦う事が出来る。
残りは近距離武器しかないガーディアンには確実に先制攻撃できるだろう。
鞭を右から振るう。
その動きは普通の者の目には、捕らえることは難しいだろう。
だが、ガーディアンはその攻撃を両膝についている、棒をクロスさせて受ける。
「くっ!」
本来ならば、棒に阻まれても鞭の湾曲する特性を活かしてガード部位を支点として曲がり後ろから攻撃することが出来る。
だが、クロスさせたことにより、マリナの計算した方向とは違う、ガーディアンの好きな方向に曲がらせているのだ。
マリナにとって、厄介なことこの上ない。
ガーディアンは後方に下がり、再び銃を取り出す。
そして、連射。
それらを全て回避するマリナ。
その動きには隙などの無駄はない。
そして、十六発撃った所でもう一度銃をしまい、下がってしまうガーディアン。
マリナはもう一度攻撃しようとして…、止める。
(このままじゃ、同じことを繰り返すだけだわ…)
そう、いくら繰り返したって同じこと。
そして、気付いたことがあった。
(銃は16発ごとにホルスターに直さないといけない。多分、再充填だと思うけど…。短くとも8秒♭(フラット)はかかってしまっている)
「なら!」
マリナは再び銃を取り出したガーディアンに近付いていく。
ガーディアンはマリナに向かって銃弾を放つ。
近付くことにより、先ほどより当たりやすくなった銃弾がマリナの頬を掠める。
(負ける気は無いわよ!)
だが、マリナの勢いは寧ろ増している。
だが、近付き過ぎてしまった…。
左の最後の弾丸がマリナにロックオンされている。
(回避不可能ね…)
マリナは焦ることなく冷静に分析している。
それがどれだけ外れたことか理解せずに…。
目の前にあるはずの死。
恐怖は欠片もなく、気分が高揚している訳でもない。
ただ、ただ、マリナは冷静に銃を見つめていた。
タン!
ロックオンされていた弾丸が発射された…。
金属の衝突音が響く…。
ただし、人と金属ではない…。
金属と鞭が衝突する音だ。
銃弾を放つより先に、鞭を放ったマリナ。
銃の発砲音が響かない。
それは、何故か?
端的に説明すると、銃口に鞭が突き刺さっていた……。
ガーディアンの銃弾は魔力の塊で出来ている。
マリナは、一足先に飛んできたその魔力の塊を空中で鞭の威力で霧散させ(説明されてはいないが、マリナの鞭も相当な強度と破壊力を持ち合わせている)、そのまま銃口内の連射用の魔法陣を破壊したのだ。
それにより、ガーディアンの銃は鞭で銃の魔力回路をショートさせられ、もう使えない状態に追い込まれたのだった。
マリナは銃弾の先端と鞭の先端部を連結させる作業をミリ単位の誤差もなくやってのけた……。
それを行った彼女の技量の方がどれ程、規格外であるか…?
それを考えると恐ろしい。
(まぁまぁね…)
だが、そんな神業を平然とやり遂げながら、あまり満足していないらしい…。
結果としてはこれでマリナは銃を封じた。
次の攻撃を繰り出すマリナ。
ガーディアンは急いで棒を取り出すが遅い。
マリナの攻撃を片側でしか受けれなかった。
更に近付いていた為に、鞭の長さは余っている。
今度は片側だけじゃなかったので湾曲しガーディアンにヒットする。
鞭はガーディアンに少なくないダメージを与え、更に余剰の長さで棒に巻き付く。
そのままマリナは鞭を手に引き寄せ片方の棒を奪う。
同じように二度目の攻撃でホルスターごと銃を壊し一本しかない棒を奪った。
棒を二本纏めて折りほおり投げる。
正直えげつない…。
ガーディアンは応戦するために残った銃を放とうと構える。
が、それを見たマリナが鞭を振るい発射口を抉ってしまい、暴発した。
爆発に巻き込まれるガーディアン。
(駄目ね…)
マリナは不適に笑っており、感情を持たないはずのガーディアンが恐怖したようにも感じられる。
ガーディアンは最後の抵抗とばかりに剣を取り出す。
「来なさい!」
先に動いたのはガーディアンだった。
二刀の剣を上から降り下ろす。
マリナはそれを鞭を両手で持ちガードした。
更に刺そうと突きを繰り出すガーディアン。
マリナはそれを両手の位置を調節しずらす。
逆にマリナが剣を鞭で絡めとろうとした所でガーディアンは二歩下がる。
しかし、追い討ちをかけに直線的な鞭の一撃を叩き込むマリナ。
ガーディアンは剣をクロスさせてそれを受ける。
ギリギリで持ちこたえたガーディアン。
だが、次の攻撃には反応出来ず剣が折れてしまった。
何故なら…。
「悪いわね…。さっきまでの鞭の攻撃のスピード本気じゃないのよ」
そう、先程までの攻撃は全力じゃなかったのだ。
ガーディアンの行動のしかたに妙に人間性があったからこその(全力を出さない)行動。
それにより、ガーディアンの判断判断を狂わせたのだ。
「さぁ、最後よ!」
その言の葉と共に鞭の渾身の一撃がガーディアンの胸辺りを貫き、光となってガーディアンは消滅した…。
どうでしたか?
マリナさんチートすぎる。笑
今週の何故何夕凪さんのコーナ~!
1、
まりなさんの鞭はユウトと違い、
量より質を重視した武器でナターシャさんから授かりました。
名称『ジャッジメント』
と言って軽さと硬さとしなやかさに特に優れていて、
他の能力も中々の物です!
2、
ガーディアン
謎の声(このダンジョンのマスター的なポジション」の人が作った、
試練のために作られた守護者。
今回、灰色と白が出てきましたが、
黒と銀と金もいます!
色によって能力が違い、
それぞれの人に合わせて出します。
ふぅ~。
だれが得するんだ?これ?
まぁ、暇だったらまた、書きます。
物語は一章終盤!
次回は黒石さんが活躍します!