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If start story (イフ・スタート・ストーリー) ~ボッチな問題児は異世界で大暴れするようですよ?~  作者: 過ち凪
短編章 「VS hero story」~俺と雷神の承認試験~
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閑話

大発表。

 空の風景をバックに小さめの校舎の屋上からユウトは、左手を開きつつ前に付き出す。


 その手からは、蒼の雷が迸っていた…。


 その蒼の雷は、まるで蜘蛛の巣の様な、ターゲットカーソルの様な形をしていて…。


 ユウトは、そこから弓を引く様な動作をして…。


 トオルは、直感的に回避した…。


「蒼弓黒矢……」


 直後、地面に突き刺さる黒の閃光。


 だが、そんなことより、トオルは気になることがあった…。


「…お前…左手が……」


 そう、ユウトの左手が動いていたのだ…。


 最初の攻撃をくらい、今の今まで、意思を失った様に垂れ下がっていた左手は、今もなお、動いていた…。


 まさか、演技だったのか…。


 そんなことをトオルは思うが、ユウトは…。


「トオル君にヒントを貰ったのさ…」


 そう呟いた…。


 ユウトは、雷を操る過程で磁力を操ることは出来ない…。


正確には、電気が発生する余事象として、磁力は動いているがそれを観測や操作することができない。


 トオルがやってのけたことを、ユウトは出来ず、反対にユウトがやってのけたことを、トオルはすることが出来ない…。


 だが、二人共、共通的に行えることもあり、生体電気を扱うことが二人共に出来たのだ…。


 トオルは、自己の体を雷の生体電気を操り、強化している。


 それをヒントに、ユウトも蒼の雷で生体電気を操り、神経を失って動かない左手を無理矢理動かしているのだ…。


 強化こそ、今だに出来ないが、たとえ全神経が千切れてもユウトは蒼の雷で無理矢理自身の体を動かすことが出来るようになった…。


 ユウトがバチバチと微弱な電気を発している左手をトオルに見せて、トオルは、それを納得する…。


 トオルが納得した様子を見ると、戦闘再開とばかりにユウトは弓を引き、黒の閃光を放った。


トオルは、それを辛うじてかわすが、追い詰められるのも時間の問題だろう…。


 蒼弓黒矢。


 左手の蒼の電気は、まず大きな十字を描いていて、そこから派生するように、蜘蛛の巣の様な、ターゲットカーソルの様な模様を描いている。


 どこか、大袈裟な弓の様な蒼の雷はミリ単位の精密操作を可能とする制御装置。


 その中心に右手を添え、後ろに引き、ユウトはラインを引く。


 宛ら、歴戦の弓師のように…。


 出来たラインに、物理効果のある黒の雷を流すと、そのラインに添って、黒の雷はターゲットに向かい飛んでいき、音速より早く打ち出された黒の閃光は、大抵の物を貫通する…。


 黒の雷を一直線に発車するユウト。


 またもやトオルは、かわすが地面に開けられた穴に驚きを隠せてはいない。


 弓に限り無く近く、それより上位の威力を持つ技。


 それが、蒼弓黒矢である。


「(まぁ、それもこれも、あっこから脱出したから使えるんだけど…)」


 そんなことを弓を打ちながら、ユウトは考え…、少し前に思考を戻す。






トオルのハンマーの攻撃に堪えきれずに、ほうかい寸前の螺旋黒楯…。


ユウトは、直ぐに対抗策として、もう一つの技を発動する。


「貫通黒抉!」


左手を中心として、蒼と黒の雷が三角錐状に巻き付くように展開した。


「くっ…!」


多重に技を発動したことによって、ユウトの頭に不可がかかるが気にしてもいられない。


このままだと、ユウトにあるのは死だけだからだ。


貫通黒抉。


螺旋黒楯とにているが、その形状が小さく、密集していて、どちらかと言うと何かを抉り取る様な印象をしている。


その姿はまるで巨大なドリルの様だ…。


それをユウトは地面に突き立てた…。


グィイインと地面を削り取る音が辺りに響き、土が抉られ辺りに飛び散る。


そして、地面が窪み、ユウトはその場に沈む。


黒の雷は物理抵抗こそあるが、それでも音速より早く動くため地面を削るスピードはかなりの速度だ。


直後、螺旋黒楯が自重で壊れるが、ユウトにダメージは無い。


進路を横に変え、そのまま掘り進んでいき、目測で学校の真下に進む。


時間との勝負。


トオルが穴に気付いて、中に雷撃を放たれたら確実に危険だ。


幸いにも今のところ、トオルは気付いていないようだが…。


ガガガッ!


と、そんなことを考えながら進んでいると、手応えが変わる…。


どうやら、学校の真下のコンクリートの土台にたどり着いたようだ。


物体が硬くなったことで、進む速度はやや落ちたが、コンクリートでも問題なく削れた為、気にせずに掘り進む。


ある程度まできたら、また進路を変更して、上えと上がる。


色々、ヤバそうな物を貫通するので、学校が倒壊しないかな~、とか割りと真面目に考えるが、考えるだけで、削り続ける。


最後に比較的柔らかな床をぶち抜き、ユウトは学校内へと侵入したのだった。


その後は、階段をかけあがり、屋上の狙撃ポイントから蒼弓黒矢を発動して、あの展開に繋がったのだった。






ユウトのそんな回想が終わり、現在。


どちらかと言うと、不利に立たされているのはトオルだが…、ユウトは安心など出来ない。


トオルは、こちらを一撃で葬る事が出来るのだ。


念には念を込め、右手で描くラインを人差し指と中指の二本を使い、二本作る。


そこからでる、黒の閃光は当然二本分。


その二つの閃光がトオルに襲いかかる。


「ミョルニル!」


だが、トオルはミョルニルを目の前に突きだし、その大きさを変えた。


具体的には、トオルの体を全て覆い隠すほどに…。


ミョルニルを楯にトオルは構え、弾かれる黒の閃光。


ミョルニルは神の道具アーティファクトと呼ばれる、最高位に属する武器で、その強度ははかりしれない。


ユウトは、武器の強度に舌打ちするが、攻撃の手を止めない。


一度作ったラインを崩さずに、何度も黒の雷を乗せて、打ち出すことで連続射出させる。


一回一回ラインを作り直すのは、命中率を最高位で保つためにやっていることで、別にやらなくても問題は無いが…、その分命中率を下げ一発一発が雑になる。


だが、トオルを覆い隠して止まないミョルニルには丁度良いくらいだ…。


何発も何発も連射し、攻撃の手を休めることの無いユウト…。


だが、次第に自身の思考回路は別のことを考え始めていた。


「(可笑しい…、なにも仕掛けてこない……諦めたのか?………いや!違う!まさか!)」


ユウトは、トオルに何の動きがないことから一つの可能性に行き当たり、慌てて後ろを振り返る。


「後ろががら空きだ!」


そこには、トオルがいたのだった。


よく考えれば、すぐに分かったことだ。


トオルは自分の姿を隠して、ユウトが掘った穴から自分もやってきたのだ…。


既にチャージが完了している雷を放つトオル。


即死級の一撃にユウトは、


「反鏡雷反!」


まさかの自分に当たる寸前の雷をトオルに逆に返してみせたのだった…。


最初にトオルの雷を曲げた技の応用編。


しかし、かなり危険と言うかユウトは、大ダメージを受ける。


「(やっぱり、全部は返せねぇか…」


致死量に至らなかったもの、結局雷をくらい何割か威力が減少した雷がトオルに帰って行く。


「はっ!?ふざけんなぁああ!!」


だが、やられたトオルは堪ったもんじゃない。


明らかに予想外の反撃にトオルは思わず叫んだ。






結果から言うと、トオルを襲った雷は、トオルに当たる寸前、何故か有らぬ方向へと向きを変えたのだった…。


「(くっ…、まだ、反鏡雷反を使えこなせてないのか…)」


ユウトは、そう考えるが事実は別の所にある。


だが、それについて与えられた情報が無い今は、気付くことは出来ない。


「(あ…、アブねぇ…まさか、返すとは誰も思わねぇつの!…運が良かったのか…)」


また、当事者のトオルも、今の現象が何故起きたのか分かっていなかった…。


だが、今は戦闘中…。


些細な意識は後回しにしなければならない…。


これまでの経験から直ぐに頭を戦闘用に切り替える両者。


先に動いたのは、ユウトだったが、トオルはスピードで、有にそれを上回る。


ユウトがバックステップをした時、トオルは自身の射程範囲に…。


そのままトオルは右手に力を溜めつつ、右手を振りかぶり雷を放つ。


瞬く雷光の攻撃。


稲妻独特のバチバチとした音を響かせながらユウトに向かったそれは…。


「消えた!?」


対象が突如消えたことによって、外れたのだった…。


「(いや、違う…!)」


ユウトがさっきまで立っていたのは、屋上の端…。


そこから、一歩、踏み外せば…。


自由落下…。


慌てて、端に近付きつつ、下を眺めるトオル…。


果たして…、そこにユウトは、居た。


明らかに物理法則を無視して、何故か、空中に立っていたのだった…。


唖然とするトオル…。


「よっ!心配した?」


目が合って、トオルにニヤリと笑かけるユウト…。


「はっ!そんなわけないだろ…!」


トオルは慌てて、そう返すが…、


「そっかそっか~、トオルさんはツンデレさんなのかぁ~」


「はぁ!?ふざけんなぁあ!!」


ユウトの台詞にいらっときて、雷撃をぶちかますトオル…。


何故か空中に固定されているユウトにジャストミートするコース…。


それをユウトは避けた。


横っ飛びで…。


「アブねぇ!ちょ!いきなり何すんのよ!」


「知るか!今は戦闘中だろうが!」


口喧嘩しつつも、ユウトの不自然な動きに苛立つトオル。


ユウトは、そのまま地上に落下することなく。


空中に踏みとどまる。


黒空立動。


ユウトは、実はその場に浮いているのでは無い。


立っているのだ。


正確には空中に展開した黒い雷のわっかにだが…。


蒼の雷を空中に円上に展開して、その上に黒の雷を通す。


具現化した、その上にユウトは立っていたのだ…。


今までの盾やドリルと、あまり変わらない戦法。


だが、まだまだ、蒼と黒の雷は応用すればいくらでも使える。


それが、今のユウトの強みなのだ。


「(面倒臭いから…、今までの全部合わせて、蒼作黒現クリエイトシリーズって、名前で一纏めにしとこうかな…)」


だが、シリアスな戦闘中、ユウトは多すぎる技にいい加減名前をつけるのが面倒臭くなっていたのだった。


まぁ、トオルにしてみたら、全くの余談の内。


そんなことをトオルは知るわけも無く、「ああ!もう!しゃらくせぇ!」とかなんとか言いながら、飛び降りる!


ユウト目掛けて。


「いや!それは、予想外!!」


ユウトは堪らすに横にかわす。


だが、トオルは、否、トオルもと言うべきか…。


空中で予備動作も無しに、曲がったのだった…。


「…っ!?」


流石の行動にユウトは対象仕切れていない。


と言うか、ユウトより、トオルの方が断然早い。


何故、トオルが空気中で曲がれたかと言うと、トオルは電気を操る要領で磁力も操ることが出来るのだ。


そして、ユウトは飛び降りたままな移動してないので、横には校舎がある。


その校舎には悪意のように、大量の鉄が含まれていて…、トオルはそれを確認したのち、その鉄を利用して磁力を操り、自身の体を曲げたのだ。


二人の距離は縮み、やがて0に近付く…。


格闘戦の間合いに入った所で空中で体を捻りユウトに右足の蹴りを放つトオル。


「ガグッ!」


ユウトは、それをギリギリで間に合った左手で受けて、左手が…吹き飛んだ…。


否、吹き飛ばさせたと言った方が正しいのかも知れない…。


トオルの一撃は簡単にユウトを粉々にする…。


だから、ユウトは左手を切り捨てた…。


左手を囮にすることで、最小限、自身の身を守ったのだった。


元々、神経が切れていて、蒼の雷で無理矢理動かしていた手だ…。


ユウトにとっては、惜しくは無かったし、痛みも無い…。


そして、蹴りを放ったトオルには僅にだが隙がある…。


ユウトはそこを見逃さない。


圧倒的に身体能力で負けている今、これを逃すことなど許されない。


だから、ユウトは右手をカウンターの要領でトオルの腹に放つ。


今度は予想外だったのは、トオルの方だ。


普段ならかわせたはずの一撃も、予想外の反撃には対処出来なかった。


トオルの体にぶつかる右手…。


だが、肉体的なスペックの違うトオルにはそこまでのダメージを与えることが出来ずに、反動で後ろに距離をおくのが精一杯だった…。


後ろに下がりつつ、黒空立動を足場に展開するユウト。


トオルもトオルで体制を建て直すために、磁力を操り、学校の校舎の側面に着地した…。


静寂する二人…。


場を先に動かしたのは、ユウトだった…。


「なぁ~?大丈夫か?」


主に話すという方向で…。


明らかに左手を失ったユウトが言う台詞では無かったし、場には全くそぐわない言の葉。


戦闘中の行動に対する呆れと、からかわれた(とトオルは思っている)ことに対する憤りを感じるトオルだったが、返した言葉は「お前は、アホなのか…」の一言だった…。


それに対する言葉も場には全くそぐわない台詞。


「何かさぁ…、トオル君は実は良いやつなんじゃないかな~ってさぁ…?」


「はっ?お前何言ってんの……?」


本当にトオルの言った通りだった…。


世界のどこに自身の左手を千切られて、相手を良いやつだと形象する馬鹿がいるのだろう。


ここに居るが…。


実際には、ユウトの方にもちゃんとした理由がある…。


何を持ってしてユウトがそう言ったかと言うと、トオルの戦闘中の甘さに対してだった。


ユウトも充分甘い方なので言えた義理ではないが、先程の蹴りはトオルが本気で来ていたら、ユウトには左手を生け贄にする暇すら無かったのだ。


それが、出来てないのは=(イコール)全力を出せていないと言うことで、ユウトは、そこにトオルの人間性を感じていた。


「(なぁ~んか…、聞いてたのとは違う気がするんだよにゃぁ……)」


ユウトはトールに言われたトオルの特徴と実際に会っての印象が違うことに疑問を覚えてそう思ったが、トオル本人はそんなことなど露程も知らず、ユウトの態度に意味がわからない様な表情を見せる。


だが、所詮、それだけのこと…、今は関係ない。


誤解を解いて置くと、別にユウトは話して、和解しようとしているわけでは無い。


ただただ、独り言を呟いているに過ぎない…。


それは、前に負けたとある吸血鬼の女の子とのバトルの影響が少なくない割合で理由を形作っている…。


ただただ、勝ちたい…。


ユウトは純粋にそう思い始めていた…。


「真相なんか分かんない……。だけど…、勝ちたいから…止めないぜ…?」


最後にユウトはトオルに聞こえない位の声で呟き…、唇を引き締める。


想いは力となる…。


「さぁ、全力の二分間だ!しっかり戦ってやるぜ!」


はっきりと自分の意思を口に出したユウト。


その瞬間、白の雷が翼の様に背中から生え、失った左手を補うように黒の手が左腕を形成する…。


ライトル二期が本格始動しました!おめでとう!

そして、あの人も参戦しております。

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