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第四十六物語 「but sccustomed~現状を変えるために~」

「大変、ご迷惑をおかけしました」


あの後、村中がバタバタと慌ただしくなり、今回の事件が直ぐに広まってしまったらしい。


まだ、半分以上の村人が信じられないという面持ちらしい。


中には、俺らを恨む者や、疑う者、逆恨みする者までいるらしい。


だが、ナイアと呼ばれる少女が吸血鬼だと言う事実には多数の目撃者がいる。


村長を含め、家に飛び込んできた者は、回復力と吸血。


逃げた後にも、目撃者は多く居たらしく、凄まじい速さで逃げる吸血鬼の少女を沢山の人が見たらしい。


村としては、まさか、自分の村に吸血鬼が住んでいるなんて想像もしていなかったらしい。


疑ったのが、馬鹿らしいくらい、この村は潔白のまっ白だった。


そんな中、俺が一番に思うことは不謹慎なことだった。


「逃げなければ良かったのに……」


思わず口に出た言葉は、逃げる原因を作った俺が言ってはいけない台詞だった。


あのまま、取り乱さずに逃げないでいたら、危ないのはこちらだったのだ。


村人は、吸血鬼の事実を知らないわけだから、端から見たら、俺達がいたいけな少女をワイヤーで拘束しているという奇怪な状況。


後は、信頼の高い吸血鬼の少女がどうとでも言いくるめれる。


「お詫びと言ってはなんですが、最大限、誠意を見せる様に……」


「そんな構いません。それより、村人の方々は大丈夫ですか?」


出た。猫被りマリ姉。


とか、考えてたら、睨まれた。


「その事ですが……、あの家に見張りの者をつけても宜しいですか?」


「え……?」


ヒマリちゃんが驚くけれど、まぁ、そうだろうな。


「も、もう一度、ナイアの襲撃が無いとは、限りません……ので」


「それに村人の逆恨みの警戒でしょ?」


「ユウちゃん!」


「いや、本当のことだし……。言いにくいなら、言ってあげた方が良いじゃん」


はぁ……。


マリ姉の言うことも最もだけれど、俺達は今晩が過ぎたら、直ぐに立ち去った方が良い。


異世界に来て、逃げてばっかだな……。


ドンドン!!


「「!?」」


突如、この家の扉を叩くおとが響き、村長さんとヒマリちゃんがそちらを警戒する。


「暴れる……!」


「……きさ……!」


外から聞こえて来るのは、言い争う声。


「まさか、また……」


「いや、それは無いよ、ヒマリちゃん……」


多分、吸血鬼がもう一度来ることは無い。


本当は今すぐ決着をいんつけたいけれど、その前に俺は解決しないといけないのだ。


逃げて来た問題から……。


そろそろ、俺は今まで負の連鎖を断ち切らないといけないのだ。


「良いよ。入れてあげて」


「ユウトさん!?」


「で、ですが……」


ヒマリちゃんも村長も焦るなか、マリ姉だけは、ただ無言で佇んでいた。


「邪魔よ!」


そして、俺が上げるまでも無く、扉が空い……。


バキャ!


…………、訂正、壊された。


瓦礫がこちらに飛んで来るのを、当たる前に、マリ姉が鞭で大きな破片だけを弾いてくれる。


「ありがと、マリ姉」


「どうするの?手伝った方が良いかしら?」


「うんにゃ、ここは俺1人で良いよ?ヒマリちゃんを宜しく~」


俺の軽返事に、はいはい、と仕方無さそうに返事をしてくれるマリ姉。


持つべきものは、マリ姉だ。


「…………っ!」


そんなやり取りをしていると、乱入してきた者かから強く睨まれてしまう。


乱入してきたのは、以外にも女の子だった。


いや、意外じゃないか、だって、この女の子は、吸血鬼の少女の為に一番に乗り込んで来た女の子だ。


勝ち気そうな女の子は、その強気な瞳に淡い赤の髪をサイドテールにして、横にたなびかせながら、告げる。


「教えなさい!」


どうやら、随分と嫌われてるみたいだ。


いや、まぁ、友達を吸血鬼呼ばわりされちゃ、そうなるだろうけれど……。


でも、彼女の親より先に来るって言うのは、個人的に好印象だったりする。


俺は、最初に飛び込んでくるのは、その三人の誰かだと思っていたから。


「あれほど、家から出るなと言っただろ!」


荒くそう発するのは、村長さん。


「知り合いですか?」


いや、村長だから、村人と知り合いなのは当然だったか……。


「……私の、孫です……!」


当然じゃなかった、その展開は予想外った。


「無視してんじゃ……、ない!!」


瞬間、少女の方を何も見てなかった俺の前で家の上部分が真っ二つに割れる。


「お、おう……」


何が起きた……?


真っ二つに割れた天井はスライドしながら、滑り落ちていく。


あ……、うん。


家は見事に天井開閉式に変貌した。いや、閉まらないけどね?


「ま、マリ姉さん?」


「自分で頑張るのよね?」


「いやぁあああ!?」


マリ姉が鬼畜過ぎる!?


いや、確かに1人で大丈夫とは言ったけれども、こうなるとは思って無かったんだからね!?


つうか、この展開、戦うの!?戦わないといけないの!?


「『風霧(かざきり)』!!」


ほら、女の子、なんか名前、呼んじゃってるよ!


光が収束して、武器が顕現しちゃってるよ!


鎌が出てきちゃったよ!禍々しいよ!


これは、凄く不味い……。


「ひ、ヒントくらいくれても良いんじゃない!?」


何で、ツンデレ口調になったんねん!


マリ姉は俺の焦りを見て、ニヤニヤしている。


こ、この従姉妹さんは……、嘘です!ごめんなさい!だから、心読まないで!あっちに行かないで!


「仕方無いわね……?」


ほっ……、どうやらヒントくらいはくれるらしい。


そのまま、少女へと近付いていくマリ姉。


まさか、マリ姉、自ら、少女に挑んで、その能力の正体を教えてくれるといのか……?


マリ姉、なんて、慈悲深いおか……。


「もしも、知りたければ、この子を倒しなさい!」


「マリナさんんんんん!?」


「そしたら、全部、話してあげるわよ?この子が!」


「ふざけてんじゃねぇぞ!こんちくしょう!」


事態を悪化させやがった!この従姉妹!?


「良いわ!教えてもらうわよ!ナイアに何があったのかを!!」


少女が鎌を構える……、って!?絶対絶命じゃん!?


かと言って、俺は吸血鬼の少女との戦いのことを話す気は毛頭ない。


俺の今後に差し支えるし、何よりも真実を伝えて、悪意が分散するのは、凄く不味い。


「くそ、どうすれば……」


「何をごちゃごちゃと!」


痺れを切らした少女は鎌の有効射程範囲外の、その場から動くこと無く、鎌を振りかぶる。


「『風霧』!鎌鼬(かまいたち)!」


「っ!?」


その台詞(ことば)だけで、俺は反射的に防御の構えをとってしまう。


直後、俺の胸辺りの列が一面。


その高さのラインに沿って、近くの家の柱やら、壁やらを巻き込み。


一刀両断された。


文字道理、鎌を起点とし、空気によって、引き起こされたカマイタチ。


どんな原理かは、分からないし、そもそも物理法則を歪めるから、超能力なんだから、理解できなくて良い。


問題なのは、その破壊力。


この空気の斬撃は、俺の人体を容易く、死に貶める。


ヒマリちゃんは、マリ姉に任せてあったし、村長は、その能力のことを知っていた様で、既にしゃがんでいた。


だが、感覚を、五感を、視界を共有するだけの俺には回避が出来なかった。


「まぁ、だから、ガードしたんだけど」


心の中で散々煽っといて、あれなんだけれども、、俺の周りだけ、その破壊は消えていた。


「何を……したの!?」


驚愕を浮かべてくれる少女。


うんうん、試したかいがあったぜ。


「秘密かな?」


そして、教えないのが黒石さんクオリティ!


一か八かで試したけれど、どうやら上手くいったみたいだ。


これなら、大分、戦闘が楽になる。


俺の希望も次に繋がりそうだ。


「なら!『風霧』!真空間!!」


「また、分かりやすい名前を!」


また、鎌は振るわれる。


さっきのが空気を刃としてぶつける技なら、今度のは、多分、空気を退かして、真空を作り出す技。


俺の推測通りに、少女の切った、鎌の切った斬撃線にそって、その空間に余白が出来る。


そのまま、空間が空白を埋めようと、辺りの物をを求め始めた。


「くっ!?」


体が強烈に引っ張られ、吸い込まれていくのを感じる。


足を踏ん張るものの、それすら意味をなさない勢いだ。


俺より先に、辺りの小さな瓦礫が吸い込まれて、横長く潰れた。


なんつう、技だよ!?


潰れた瓦礫が、更に細かく刻まれる。


嫌だ!あんな風になりたくねぇ!


はっ、そう言えば、マリ姉とヒマリちゃんは!?


自慢のローファーで、もう一度地面を踏み直し、辺りを見渡す。


そして、居た、マリ姉とヒマリちゃん……。


技を出される前に、真空間の有効射程範囲から、脱出していた。


いやいや、薄情過ぎんだろ。


つか、村長!あんたも逃げてんじゃねぇよ!


そんなことを考えている間にも、俺は引きづり込まていく。


はぁ、また一か八かの賭けか……。


仕方無く、足を広げて、両手を大きくして。


呼び出し(コール)


辺りにナイフを散りばめる。


その数、8本。


ナイフは一本残らず、真空に吸い込まれていき、俺はそれを追いかける様に前に出た。


後は、ナイフに向かって、蹴りを入れるだけ。


8回も要らない、一番、蹴りやすそうな中央の一つ。


「うらぁあ!!」


そこに、俺は、白い閃光の蹴りを放った。


その蹴りは、周りのナイフを巻き込み、真空に向かって、いや、その先に向かって、飛んでいく。


「っ……!?」


元々、真空に引き寄せられていたナイフに、蹴りの加速度、そして、白い閃光を乗せた、速さの一撃(八撃?)。


その速さをもってして、ナイフは俺よりも断然速く、その真空へと近付き、触れ、潰されるよりも早く、真空を通り抜ける!


「なっ!?」


それらが、減速するも、狙い違わず、少女に襲いかかった。


そもそも、真空は、そこに空気が無いから、生まれる現象。


そこには、空気抵抗など、存在せず、物は本来、簡単に通り抜ける事が出来る。


そこに、物が引き寄せられるのは、空気を引き寄せているから、いや、正確には、何もない場所を埋めようと、空気が流れこもうとしているから。


つまり、通り抜けるのを邪魔しているのは、同じように引き込む力となる。


その二つ力に挟まれて瓦礫は崩れた。


その力の大きさは殆ど同じ、つまり、その力に強い力を加えてしまえば、簡単に通り抜けることができる。


「なめないで!!」


だが、その通り抜けた、八本のナイフすら、鎌でガードされた。


一度目の横切りで三本。


裏打ちで、一本を弾き、鎌を回転させて、残り四本を弾かれた。


「なめてるのはどっちかな?」


真空はこの少女が鎌でガードした瞬間には、消えていた。


その真空に引き寄せられていた俺は、その勢いを利用し、


呼び出し(コール)!!」


俺の十八番、トンファーを呼び出し、一撃を放った。


「ぐっ!」


その攻撃を鎌にガードされるも、その勢いで、後退させられる少女。


ああ、また、やった。


少女が地面に踏ん張りを効かせるあいだに、全く無い余裕を、無理やり見せびらかせる。


「さてと」


「くぅ!?」


この子、本気で俺を殺しにきてるよな……。


多分、周りが見えてない。


「マリ姉!」


「流石に……、これは仕方無いわね……」


このまんまだと、別の所に被害が行くと、マリ姉は踏んでくれたのか、参戦を決めたようだ。


「に、2対1なんて卑怯よ!!」


え、何あの子、凄く、周り見えてるんだけど?


何で、単身突入してきたの!?


「はぁ……」


「何よ!卑怯者!」


酷い言われよう。


まぁ、その心配は要らないだろう。


「大丈夫だって、1人で戦うから……ね?」


「なら、なんで、その人を……?」


やれやれ、分かってないな~?


「戦うのは、マリ姉1人だよ?」


「へっ?」


「ふふ!」


「あ~、ご、御愁傷様です……」


俺とマリ姉は、同時にニヤリと笑った。

最近、ユウト君が覚醒フラグを乱立してますが、2、3話先になります。

考えたの俺なのに、コラボで先にだされ……、なんでもないです。

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