第四物語 「battleは準備から」
うん!
まだ、戦いません!
本日は空が青いな…。
ピクニック日和である。
ハドソン「良い旅たちの日じゃな…」
ナターシャ「そうですね…」
これから、《勇者の神殿》に行く俺達を老人が見送りに来てくれた。
そして、誤解の解けたナターシャさんもいる。
まぁ、少し頬が赤い気がするが。
目もあったら避けられるし……。
今の俺の格好はジーパンに灰色のTシャツ、上から黒のコートという格好だ。
そして、マリ姉は少し長めの薄いピンクのスカートに服(名前は知らない)の上から白いローブを羽織っている。
絶賛ファンタジー中である。
ファンタじゃないよ?
ハドソン「ほれ、頼まれていたものじゃ」
そう言って、俺に渡されたのは水色の宝石があしらわれた指輪と銀色のブレスレットだった。
マリ姉さんにも丁寧に巻かれた鞭とオレンジの指輪が渡された。
ナターシャ「この指輪は、魔法がかかっていて別の空間が展開されています」
ハドソン「平たく言えば、四次元ポケ○トじゃ」
ユウト「平たく言い過ぎだろ!著作権どうすんの!?」
驚きだよ。
ドラえも○なめんな!
ハドソン「頼まれた物はその指輪の中に入っておる」
つうか、学ランは?
戦闘服じゃないの?
ローファーと学生鞄は受け取って着ているが学ランだけは受け取っていない…。
代わりにファンタジー装備受け取ったし…。
ちなみにローファーは前より柔軟性に優れ、学生鞄は普段柔らかいのに衝撃を受けると硬くなり、双方軽いと言う素敵使用だ!
いやっふぅ!
ユウト「なぁ、学ランは?」
ハドソン「それは、ブレスレットに入っとるぞ?」
ユウト「どういうこと?」
ナターシャ「私が説明致します。と言うよりは、曖昧な説明しかしないのならば引っ込んでいて下さい」
ハドソン「毒舌!?」
あ、老人が隅っこに座ってのの字を書き始めた…。
うん。
ほおって置くよ?
ナターシャ「そのブレスレットには、貴方の学ランが収納されています。願うと自動で装備される仕様となっております。また、あなたが危機におちいった時も同様です」
魔法。
便利だな…。
良く見ると右手に着けた銀のブレスレットからチェーンが垂れており、その先に学ランを催したキーホルダーが付いていた。
ユウト「あれ、もとの服はどうなるの?」
ナターシャ「ご安心下さい。ブレスレットに収納されます」
ユウト「でも、また何で面倒臭いことを?」
ハドソン「アホ。そんな目立つ格好を日常的にしててどう得するんじゃ!」
ユウト「あ、復活してたんだ…。チッ!」
ハドソン「今舌打ちしたじゃろう!」
うん。したよ?
何か?
ハドソン「ほれ、最後にこいつじゃ」
そう言って、端末を渡される。
携帯電話を少しコンパクトにして画面だけが大きい感じかな?
ユウト「何これ?」
ハドソン「お前の身分証明書みたいなもんじゃ。他には、色んな依頼や情報が入ってくる。金稼ぎの手段の一つじゃな…」
成程。便利だ。
ハドソン「最後に契約の決まりを説め「私が説明するので引っ込んで下さい」……………」
横からナターシャさんに割り込まれ落ち込む老人。
どんまそ!(ドンマイね)
ナターシャ「第一。異世界から来たことをむやみやたらと口外しない。まぁ、基本信じてはくれませんが…」
良く考えたらそうだよね。
まぁ、言う気無いけど…。
ナターシャ「第二。月に一定額振り込む。現在、借金となっている金額を全て払えば終了となります。振込先は通帳に挟んでおりますので…」
ユウト「そういや、どう振り込みの?」
ナターシャ「銀行があります」
ユウト「銀行あんの!?」
ナターシャ「有りますけど?ATMにでも振り込んで頂ければ…」
ユウト「ATMもあんのかよ!」
つくづく異世界感をぶち壊してくれる世界である。
何て異世界…。
ナターシャ「最後に自分の信じた道を進んで下さい。私達の仕事の都合上、犯罪を犯さないといけないこともございます。しかし、けして悪の道に走らないで下さい。自分の信じる正義のために行動して下さい。もし、これを破った場合あなた方は私達から狙われることになります…。」
………………。
これは、さっ…。
ふざけらんねぇな…。
こっから先は、只の事故満足だ。
ユウト「なら、俺からも一つ…。俺がここでする目的は一つ。力を手に入れることだ。それには、理由があるんだけど、その理由は誰かを救いたいってことだ。誰かを守りたい。でも、その為には力がいる。それが俺の此処に来た理由だ。」
ナターシャ「その理由だと、力を手にするためには何でもするように聞こえますが?」
ユウト「うん。そうだな。だけど、俺が守りたいものは目の前で理不尽に傷付く人達も入ってるんだ…。だから、こっちからも忠告しとく。もし、誰かが理不尽に傷付くような事をやったら、俺達二人がこの組織を裏切り潰すかんな!覚えとけよ?」
そう言うと、……ナターシャさんは、クスリと少しだけ笑った。
そして、いつの間にか復活していたらしい老人もフォッフォッフォと老人らしく笑った…。
ナターシャ「それは、楽しみですね」
ハドソン「全くじゃわい。どれだけ、強くなるつもりじゃ」
ユウト「そうだな…。とりあえず、目標はこの世界最強かな?」
ハドソン「期待しとるぞい!」
そう言って、老人と別れを済ませる。
何から何までお世話になった。
この恩は、金で返すか…。
捨て台詞にしちゃあ、カッコ悪い…。
ナターシャ「でわ、私がお送りいたします…。」
そう言って、ナターシャさんは絨毯を取り出す。
マリナ「終わったの?」
ユウト「うん。ありがと。マリ姉」
空気を読み、一言も喋らないでいてくれたマリ姉に礼を言う。
あ~あ、今回はシリアス会か……。
苦手だ…。
ナターシャ「では、お乗りください」
そう言って、絨毯を指すナターシャさん!
これは、もしや、あれですかい!?
あのアラ○ンに出てくる、あの魔法の絨毯ですかい!?
いやっふぅ!楽しそうなんだけど!
楽しみなんだけど!
ワクワクしながら一歩を乗せる俺on絨毯!
ナターシャ「では、出発します」
マリ姉も乗って空を飛び始めた!
いやぁ、最高!
ナターシャ「では、目的地に着くまでにこの世界においての力の説明致します」
マジで!?聞きたい!!
俺がはしゃいでいるとナターシャさんが説明を始める。
ナターシャ「この世界の力は生まれ持った強さによってレベルに分けられます。レベルは一から五まであり、最弱がレベル一。最高がレベル五となります。」
そこで区切るナターシャさん。そして、話を再開させる。
レベルか……。
とあるみたいだな…。
ナターシャ「そして、更に能力は熟練度が存在します。その能力をどれだけ使いこなせるかで六段階に別れており、上から順に悟り、最強、強、中、弱、見習いとなっております。この値は、使いこなせば使いこなすほど強く、また能力との相性にも左右されます。」
マリナ「一つ良いかしら?」
ナターシャ「何でしょうか?」
マリ姉が質問をぶつける。
多分、俺と同じ疑問だろう。
マリナ「たとえば、レベル三の見習いとレベル二の悟り。戦うとしたら、どちらが勝つのかしら?」
ナターシャ「良い質問です。一概にどうと言うことは出来ませんが、恐らくレベル二の悟りが勝ちます。また、相性等にも左右されますので良く考えないといけません」
成程、良くできたシステムだ。
だが、こちらの方が夢がある。
ナターシャ「私からは以上です」
そう言うと会話が途切れてしまう。
どうしたもんか…。
そう思いナターシャさんに近づいてみる。
深い意味はない。
他にも何か有りそうだからだ。
ユウト「ねぇ?ナターシャさん?」
ナターシャ「な、な、何でしょう!?」
あれ、顔剃らされた?
軽くショック!
ショッキング!!
そんなアレか!?
アレな人に見えるのか!?
そう思っていたら、全然そう言うことはなかった。
と、いうのも…、
ナターシャ「あの、その、今朝はすいませんでした…」
なんだそのことか…。
ユウト「いや、良いよ…。不幸が重なっただけだし…」
ナターシャ「い、いえ。私が事情も考えずに勝手に勘違いしたのが…………」
そこまで、言って顔を赤くして口をモゴモゴさせるナターシャさん。
何これ?めっちゃ可愛いんだけど…。
お持ち帰りしたい…。
テイクアウトコーナーは何処だ?
ユウト「あ、思い出さなくて良いから!あと、気にしなくても大丈夫!」
ナターシャ「わ、分かりました…」
そう言って会話が止まってしまう。
あれ、俺ってこんなに会話スキルなかったか?
ナターシャ「あの………」
ユウト「ん?」
ナターシャ「これは、秘密にするように言われたことですが…」
ユウト「何々?」
秘密と言われると気になってしまう。
思春期ですから…。
ナターシャ「端末有るじゃないですか?」
ユウト「それがどうしたの?」
ナターシャ「あれ、本当はダンジョン攻略者しか貰えないんですよ?」
その言葉が、意味することを察してしまった。
あの野郎…。
老人の癖に…。
本来なら力を手に入れる段階で死ぬかも知れないのに大事な端末を渡すことはない…。
つまり、俺達は死ぬことはないという信頼の証として、あの老人はこの端末を持たせたのだ。
期待に答えるしかねぇじゃねぇか…。
ナターシャ「ねぇ…。黒石さん?」
物思いに耽ろうとしたところ、そう言われた。
一見、普通に見えるような会話の始まりかた…。
だがしかし、その時初めて俺は名字ではあるが名前を呼ばれたのであった。
ユウト「ユウトで良いよ…」
ナターシャ「分かりました。ユウトさん」
そう言いつつ少し真剣味をだすナターシャさん。
まぁ、普段から真面目だから真剣味も何もないのだが…。
まぁ、要するに勘である。
そんな感じがしただけだ。
ナターシャ「契約の決まりとは関係ない。私個人のお願いを聞いて頂けますか?」
ユウト「何かな?」
あくまでも軽い感じで聞き返す。
それが俺だ…。
ナターシャ「死なないで下さい」
その言葉に…、
そのファンタジーの危険性を含み、警告し、個人的な感情があるその言葉に………、俺は…。
ユウト「分かった…」
了承した。
ただし…。
これで終わるのは俺じゃない…。
ユウト「だけど、こっちからもお願いがある」
ナターシャ「何でしょうか?」
ユウト「困ったことがあったら、俺を呼べ。絶対に力になるよ…」
これが俺の答え。
流儀…。
そして、精一杯の恩返し。
ナターシャ「やっぱり、変わった方ですね…」
ユウト「良く言われるよ…」
お互いにクスクスと笑い合う。
そして、目的地に着くまで話をしていた…。
心なしかマリ姉が怒っていた気もするが気のせいだろう。
目的地に絨毯が着地し、俺達は降りる。
目の前には神殿の様な建物が立ちはだかっていた。
ナターシャ「ここから先は能力のない人にしか入れません。なので私はここまでです。」
ユウト「ありがとう」
ナターシャ「最寄りの村はあちらの方角にあります。歩いて30分程かかりますが魔物が出ることは滅多にない道です。元々此処に近付く魔物は居ませんし。それではお気をつけて…」
そう言って、絨毯の上に乗り上昇する。
最後に「後武運を」と残して去っていった。
俺達がクリアして能力を得たら後は自由行動となっている。
俺はまた神殿の方を向いた。
ユウト「とうとう、来ちゃったね。ダンジョン」
マリナ「そうね」
ここで、深呼吸を一つする。
そして、コート姿ではあるが、学生鞄を左肩に引っ提げる。
ユウト「さぁて、行きますか~。マリ姉!」
マリナ「そうねユウちゃん。行きましょうか!」
そう言って、目の前にあったドアの右側をマリ姉。左側を俺が勢い良く開け放った!
そして、同時に右足をダンジョンの中に踏み込んだ…。
いかがでしたか?
一日遅れの四話です!
すいませんした!
battleは次回からやっちゃいます!
でも、なぁなぁになっちゃうかもですけど…(-_-;)
てな訳でクリスマスです!
やっふう!
彼女いないよ!
お一人様だよオオオオオオオオ!
うわぁん!爆ぜればいいんだ!
…………。
すいません取り乱しました…。
皆さんは楽しんでください…。
俺はTUTAYAに行ってきます・・・・・・・・・・¥……。