第三物語 「pleaseしてほしい抱き枕」
朝…。
やっぱり、あんま眠れねえよな…。
地球で言う6時だろうか?
目が冴えてしまった…。
昨日、遅くまでマリ姉がナターシャさんにこの組織の経費削減の意見を出していた。
随分と改正された経費は予想以上に周りが良くなっている。
老人が泣きながら、それだけはご勘弁をと泣きながら頼んでいたから余程良い出来なのだろう。
仕事が出来る女の人なのだ。マリ姉は…。
そう言う所に劣等感を感じてしまう、自分が情けない…。
ユウト「やっぱり、馬鹿馬鹿しい…」
そう言って、二度寝しようと寝返りをうつ…。
プニッ…。
ユウト「ん…?」
なんか柔らかい感触が目の前にあるのだが…?
うん、気のせいかな?
気のせいだよね?
気のせいなんだよね?
マリナ?「う、うぅ…、んん…」
なんか、マリ姉さんの艶かしい声が近くから聞こえたのは気のせいなんだよね?
ま、待て俺!
状況を整理しろ!
素数を数えろ!
じゃ、無くて…昨日の状況だ!
確か…、
ナターシャ「では、こちらのお部屋とこちらのお部屋に」
マリナ「あ、私、ユウちゃんと同じ部屋で寝るわよ?別に良いわよね?」
ユウト「ん?ああ、従姉妹だし…、何度も一緒に寝たし…良いよ?」
ナターシャ「かしこまりました…。では、こちらに…」
……………。
いや、待て決め付けるのはまだ早い!
これがぬいぐるみの可能性もある!
思い出せ!思い出すんだ!俺!
マリナ「ねぇ、ユウちゃん?」
ユウト「何?マリ姉?」
マリナ「私、夜中寝ぼけながら起きることが有るから気を付けてね?何するか分かんないし…」
ユウト「うん?分かったよ」
……………。
いや、これ…。
やっぱ、アウ………。
そ、そんなことないはずだな…。
まだ、セーフだ。
マリ姉が寝惚けて此方に入ってきたかも知れないだけだ…。
従姉妹と同じベッドで寝るくらいはセーフな筈だ!
問題は何故こんなにも柔らかく体の暖かさがダイレクトにきているかだけだ。
いや、待てよ…………
マリナ「ねぇ?」
ユウト「何マリ姉?」
マリナ「電気消してくれない?」
ユウト「ん?分かったけど、何で?」
マリナ「服を脱ぎたいのよ…。私、最近寝るとき裸にならないと眠れないのよ……」
ユウト「まぁ、身長伸びたしね…」
本音を言うと身長だけではない…。
む、胸もだ…。
つうか、むしろそっちが原因じゃね?
マリナ「抱き枕(人も可)がある時はそれで大丈夫何だけど…、借りれそうになくて。ユウちゃん、いきなり脱いだら怒るでしょ?」
ユウト「うん!当たり前だよね?」
マリナ「私はユウちゃんなら良いんだけどね~」
ユウト「俺が悪いわ!」
マリナ「そう言う訳で、悪いけど電気消してくれない?」
ユウト「ん~。分かったよ」
……………。
アウトぉおおお!!!
アウトだよ!
情状酌量のよちが無いよ!
じゃあ、待て…。
目を開けたらぜんさん裸体晒しちゅうのマリ姉が要るってことですかい!?
くっ、抜け出さなければ!
マリナ「う……、あっ…ん!」
動けるかぁあ!!
何か、少し身を動かしただけなのに色っぽい声出すし!
つうか、いつの間にか後ろに手を回されてるし!
どうすんのこれ!どうすりゃ良いの!?
謎の声『楽しめば良いのだよ。少年』
誰だ?つぅか、ふざけんじゃねぇ!
誰が寝ている従姉妹にちょっかい出すか!!
謎の声『つまらんの…。思いっきり抱き付いて思う存分、楽しめよ…』
誰がやるか!
つうか、お前だれよ!?
謎の声『ふ、貴様の心の中の悪魔よ!さぁ、手を差し伸べるが良い!』
ユウト「どこにだよ!?」
思わず大声を出してしまう。
警察ざただわ!!
つうか、天使どこ行った?
悪魔『天使なら、先程葬ったぞ?』
て、天使ぃい!
俺の天使ぃいい!!!
悪魔『さぁ、押し倒すがいい。そして、脅し続けるが良い!』
外道過ぎるわ!
最低だこいつ!
悪魔『押し倒しちゃえよ!ヒュウーヒュウー』
ユウト「何でうざい友人のノリだよ!!」
こいつ、ノリノリだな!
そんなときであった…。
バン!と音がして扉が開く!
ナターシャ「さっきから大声がしましたがら、何かあ………………」
肩から少し下はかけ団で隠れているが、俺と裸のマリ姉が一緒にベッドで寝ている姿を目撃するナターシャさん…。
ユウト「……………」
ナターシャ「……………」
そんな時、マリ姉がんぅ~と声を洩らして目をこすり始めた…。
起きたのか!なら、誤解を解いて貰わなければ!
マリナ「うぅ……。おはよ………、ユウちゃん………」
ユウト「おはよう、マリ姉」
あれ、寝ぼけてる?
全然舌が回ってない…。
ナターシャ「……あ、の、何でマリナ様は裸なのでしょうか?」
マリナ「……ふにゅ?ユウちゃんのぉ……(異世界に連れてきた)せいだよぉ…?」
ユウト「マリ姉!?その言い方だと誤解されるんだけど!?」
なんか、俺が脱がしたみたいじゃないか!?
心なしかナターシャさんがひきつっている様な気がする…。
ナターシャ「お、お二人は昨日何をされていたのでしょうか………」
マリナ「……うみゅぅ~?夜遅くまでゅぇ……してたよぉ……」
「会話ぁ」とごにょごにょ寝ぼけたまま付け加えるマリ姉!
なんで、一番大事なとこハッキリと言わないんですかマリナさん!!
誤解されるわぁ!
ほら、案の定、会話って部分が聞こえて無くてナターシャさん、顔真っ赤にしてらっしゃるから!
ユウト「ち、違うんだ!ナターシャさん!誤解なんだ!」
マリナ「誤解ぃゅ……?……にゃかにゃか…にぇかせてくりぇなかった…くしぇにぃ………。わたしゅ、ユウちゃんが寝るまでゅぇ………、起きてたんだよぉ………?」
プゥと頬を膨らませるマリ姉…。
あ、可愛らしい…、じゃねぇよ!誤解が更に深まったわ!
何ですか!?俺に恨みでも有るんですか!?
ほら!ナターシャさんが更に赤くなって体をプルプル震わせながら「ね、寝かしてくれなかった………」とか何回も呟いちゃってますから!!
ユウト「違うんです!ナターシャさん!」
そう声をかけるとハヒッ!?と声をあげて一歩後ずさるナターシャさん…。
ナターシャ「だ、だ、だ、大丈夫ですから!そうですよね!一緒に寝てただけなんですよね?」
そう言いつつも段々と距離をとられる。
ユウト「絶対信じてませんよね!?」
ナターシャ「いや、信じてますよ?」
マリナ「ぅう…、まだ眠いよぉ…。また、あの時(地球のお泊まりの時)みたいにぃ…気持ち良くて眠れるぅ……、ありぇ(ナデナデ)…してぇ~。」
ナターシャ「き、き、き、気持ち良くなる…………!?」
ユウト「待てぇい!マリ姉!そして、ナターシャさん!」
誤解深めなくて良いから!!
もうしゃべらないで!
マリナ「……ぅん~、皆にしてたでしょぅ………?しょたいめんの子にもぉ~、(ナデナデ)してたのにゅぃ…………」
ナターシャ「み、皆?しょ、初対面?」
真っ赤になったナターシャさんは、続いて怯える様な目で俺を見る…。
うん!
黒石さん軽くショック!
ユキト「な、ナターシャさん?」
ナターシャ「ひぃ!ご、ごゆっくりぃ!!」
そう言って逃げ出して行く…。
オワタ………。
その後マリ姉が起きるまで、一時間。
ナターシャを説得するのに二時間を費やすことになる。
どうも、多分今回急ぎなんでミスってます…。