第二十三物語 「soやはり平常運転…」
マリナ無双&KYユウト
しばらく経って、顔を覗こうとするヒマリちゃんに更に強く抱き締めることで必死に抵抗する俺…。
何故なら…、俺は目から汗を流していたからだ……。
たとえ、気付かれていても、この顔だけは見られないように死守している…。
さっき抱き締めた、一番の理由に子供っぽさを感じながら、……絶対にニヤニヤしている、ヒマリちゃんをどう対処するか考えることにした…。
はぁ…、ハートが強いと言うか…、自分で言うのも何だけど…。
本当に女の子は凄いな…。
あんな事があった後なのに、もうこんな対応をしてくれて…。
更に、俺ですら原因の分からないあの症状は、俺が原因かもしれないのに「ユウトさんが悪くないって、私は知ってますから!」と俺も被害者の枠組みになっていて……。
笑って、過ぎ去ることの出来ない筈の出来事を乗り越え…笑っていて…。
あ~あ、ホントに…
…………………。
惚れてしまった…。
あ~あ、これで(地球を含めて)三人目か…。
全く、優柔不断な自分に嫌気が差す…。
ちなみに言っておくと、皆、今も、同じくらい、物凄く大好きだ…。
…本当に優柔不断だぜ…。
夢は皆を幸せにするハーレムルートと言うのはここだけの秘密だ…。
まぁ、でも、三人とも片想いだしな…。
【とんでもない勘違いをしているが突っ込む者が居ないことを悔やむ…】
………………。
ここら辺で止めにしよっと…。
俺のトップシークレットを再び心に仕舞いつつ…。
ついつい、考えてしまう……。
そう言えば…と…。
未だに戻らない一人目は、今頃、俺の為に何かしてくれているだろうな…、と……。
ホントに嬉しい限りだけど、無茶は余りしないでくれよ…?
マリ姉…。
…………………。
「ああ!今、ユウトさん!他の女の子のこと考えましたねぇえ?」
「……………」
「こんな状態で良く、そんなこと出来ますね!マリナさんに言い付けますよ?」
訂正…。
やっぱり、怖いよ…女の子…。
何故かしら?
今、凄くユウちゃんに殺意が湧いたのだけれど…?
気のせいにしておきましょう…。
今は、目の前のこいつを倒すことに集中する…。
「いちお、聞いておきましょうか…?名は何て言うのかしら…?」
社交辞令以外の何物でも、無いけれど…、習慣の様な物だから、仕方ない…。
「これは~、これは~、失礼しました~。私は名を不命と申します~」
そう言って、腰を折り片手を前に執事のような一礼をする不命…。
その仕草に私は、イライラを募らせる…。
元から、ユウちゃんにちょっかいを掛けられて、かなり激怒している私だけれど…。
何て言うのかしら?
不命の動き全てにイラついてしまう…。
理不尽だと自分でも思うが、本心だからしょうがない…。
それに、まるで、人のイライラを募らせるその動きは、彼方も狙ってやっている気がする…。
いけないわね…。
自分がかなりヒートアップしていることに気付いて、心を落ち着かせる…。
落ち着きなさい、マリナ…。
何時でもクールによ…。
「それじゃあ…」
パシン!!
何かが何かにぶつかった音が夜に響いた…。
不命が後ろに吹っ飛ぶ…。
犯人は私なのだけどね~。
暗闇で見ること難しい鞭は避けることが、さぞや、難しいだろう…。
嘘はついてないわよ?
クールに怒っているだけだから~(ニヤリ)。
「危ないですね~」
不命が何事も無かったように良い放ち立ち上がる。
「あら?まだ、起きられるのかしら?」
マリナはそれに驚くことは無く、寧ろ、まだ痛め付けることが出来ることに喜びを感じていた…。
Sである…。
「あ~、残念ね…。倒れたままでも、いたぶれたのに…」
訂正、ドSだった…。
話が反れた様だが、兎に角、マリナは今怒っている…。
何故か…。
お気に入りの物に、無断で横槍を入れられたから、と言うのが答えだろう…。
怒るのは当たり前だ…。
でも…。
考えて欲しい。
あなたがもし、男だったとして…。
女の子が大切にしている物を無断で弄くったら…と。
仲が良いのなら、ともかく…、知らない仲だったら……?
答は単純にして明解。
女子の逆鱗に触れる。
そして、更に、それがマリナだったなら…。
結局、何が言いたいのかと思うだろうが、言いたいことは簡単だ…。
女子を怒らせたら怖い…、と…。
「じゃあ、始めましょうか~!…………………………………………………躾を…ね?」
マリナの指輪が光り、左手に白の鞭が降臨する。
名称『カタストロフ』…ナターシャに、もしもの時用に用意された鞭で、当たる瞬間内から側面が鮫肌の様にザラザラした刃で出てくる…、敵の肌を削り取る為の魔法の鞭…。
最悪とも呼べる武器に…。
「『五倍速』」
マリナの能力が乗せられる。
「紅く咲きなさい…『紅桜』…」
二本の鞭が、紅い血を咲かせるための宴曲が奏でられる。
右手の『ジャジメント』と左手の『カタストロフ』を合わせた、黒と白の隙の無い、十八連撃。
ヒュン、と風を切り裂く音を何度も響かせ、赤き血を求める蛇の様な鞭。
当たったら、大怪我を負いそうなその連激を…。
不命はまともにくらった…。
バシン、と鞭から出るには、余りにも強すぎる一発目の打撃音が辺りに響く。
そして、次々に、上、右、下、左、と様々な角度から鞭がクリーンヒットしていく。
打撃と斬撃が奏でるハーモニーが何度も何度も鳴り響き、最後に一際大きな音を響かすながら、何メートルも吹き飛ぶ不命…。
「終わりね……」
マリナは、そう呟く。
これだけの攻撃を繰り出したのだ、当然の台詞だ…。
実際、不命はピクリとも動かない…。
打撲と切り傷を身に刻まれ、体の至るところから出血している……。
「……!?」
黒い血を…。
マリナは、その非現実的な光景に目を見張り、一瞬動きが硬直した…。
「あ~、見られてしまいましたか~」
「なっ?ん…で…?」
起き上がれるのか?血が黒いのか?と続く筈の台詞が続かない…。
本来、赤い筈の血がどす黒い色をしていることにより生まれる、生理的嫌悪感が生まれる。
マリナの見ている光景は、余りにも非現実的だった…。
その間に、ムクリと起き上がる不命…。
「いや~、その答はこの血に全て込められてますけど~。お答えは出来ませんね~」
「だったら、力づくで!」
ようやく、落ち着いたマリナだったが少し遅かった…。
何故なら…。
「ではこの辺で~、ごきげんよう~」
不命が黒いカラスに包まれる。
不命はこの場から逃げ出そうとしているからだ…。
「待ちなさい!」
マリナが声を張り上げるが、不命は、取り合う気は無いと言うように一礼を返した。
そして、そのまま、闇に紛れて姿を消した。
「くっ、逃がしたわね…」
誰も居ない夜に、マリナのそんな呟きが響き渡った…。
「ただいま…、ユウちゃ「てい!」あいたっ!な、何するのよ!ユウちゃん!」
帰ってきて、早々、ユウちゃんに何故か額チョップを貰った…。
これから、言おうとすることは私には分かっていたから、対処をすることにした。
頭を擦りながら、涙目で抗議すると…、「うっ」、となるユウちゃん…。
可愛い、そして、チョロいわね…。
これで、主導権を握れるかと思ったら、違った…。
ユウちゃんの隣で、にこにこ笑顔のヒマリちゃんが…、「ゆ・う・と・さ・ん?」と死んだ魚の様な目を向けると「ひぃ…」とユウちゃんが怯える…。
この短時間の間に何があったのかしら?
何だか、二人の距離が縮まっている気がする…。
何だか、面白く無いわね…。
嫉妬…かしら……。
「で?ユウちゃんは何で私にチョップをかましたのかしら?」
「あ………、……何で無茶したのかなマリ姉?」
忘れてたわね…。
キレて良いのかしら?これ?
まぁ、無茶したのは事実なのだけれど…。
「別に、無茶なんか「てい!」いたぁ!な、何でよぉ…」
「嘘おっしゃい!巧妙に隠してるけどね!汗の量が何時もより多いし!表情筋も1割固まってる!」
「ぎゃ…、逆に良く分かるわよね…ユウちゃん…。ちょっと、怖いわよ?」
「だまらっしゃい!」
「えっ?え?え?」
いきなり叫び出すユウちゃん…。
流石についていけないわよ!?
「ああ、もう、兎に角、マリ姉、一人で無茶するの禁止!!」
「いや、ユウちゃんに言われたくな……」
「黙っらっしゃい!」
「私はユウちゃんが分からない!」
いきなり、どうしちゃったのよ!ユウちゃんは?
頭でも打ったの?
「兎に角!」
一際、大きな声を張り上げるユウちゃん…。
「何よ…」
それに返事を返す私。
そして、ユウちゃんは…。
「僕の為に頑張ってくれるのは、凄く嬉しいけど!マリ姉が傷付くのは駄目!!」
そう言った…。
直ぐに私は反論したくなって…。
「でも、ユウちゃんも同じことを………」
「僕は良いの!マリ姉は駄目っ!ヒマリちゃんも駄目っ!二人は俺が守るから勝手に危ない所に行っちゃ駄目っ!」
「え~…」
凄い、理不尽だった…。
と言うより、ユウちゃんがおかしかった…。
「ねぇ、ユウちゃん。どうしたの?」
ヒマリちゃんにそう質問してみる…。
するとヒマリちゃんは目を数秒泳がせた後、申し訳なさそうに話を切り出す。
「すいません!マリナさん……。実は、ユウトさんを落ち着かせる為にジュースを出したら、間違えてお酒を………」
「………………………」
えぇ………。
それで、こんなテンションなの?
「本当にすいません!」
「いや、良いのよ」
真摯に頭を下げるヒマリちゃんを許す。
問題は…。
「ねぇ?」
「はい?」
「どの位お酒を出したの?」
その一点に置いてだった。
「小さいコップ一杯分位に注いで…。でも、お酒って分かった瞬間取り上げたから…、その半分です」
ヒマリちゃんが思い出すようにそう語る。
「なら大丈夫かしら…?」
「何がですか?」
首をチョコンと傾けて頭に?を浮かべるヒマリちゃん。
うぅん、言っても良いのかしら?
まぁ、大丈夫そうね…。
「ユウちゃんはお酒を一定以上飲むと、悪魔になるのよ………」
そう、ユウちゃんは酒癖が悪いのだ…。
「え?えぇっと……」
「うぅん…、分かりにくいわね…?試してみる?」
ヒマリちゃんにいちお提案して見る。
「だ、大丈夫、何ですか!?」
「私は百メートルをキープするけど、それで良いなら……」
「私、見棄てられてる!?」
ごめんなさい、ヒマリちゃん。
私は世の中の全てを掌握する自信は有るんだけど…。
眠気と酔ったユウちゃんは別よ?
「まぁ、このままにしておけば無害だから…」
「そ、そうですね…」
そう結論付けると、ユウちゃんが待っていたかの様に話し出した。
「マリ姉~!もう、危ないことしない?」
「しないわよ…」
それにしても、半杯でこんな感じとか…、ユウちゃんお酒に弱すぎないかしら?
ユウちゃんは私の回答に納得したようで、満面の笑顔だった。
「む!なら良し!ナデナデ~」
「ちょ、ユウちゃん!?ふみゅう~、はっ!?」
ちょ、このナデナデは、反則でしょ!ふにゃ?
「わ、私もし「ナデ~ナデ~」アフッ…」
あ、ヒマリちゃんが台詞を言い終わらない内に堕ちた…。
「ひ、ヒマリちゃ…んにゅう~、はっ!?」
私もそろそろ危ないかもしれない…。
と言うより、新しい発見ね…。
ユウちゃんの、只でさえ反則的なナデナデが酔うと更に上手くなる何て…。
これはヤバイかも知れない…。
「マリ姉よしよし~」
「ふみゅう~」
あ、私も堕ちた…。
ここからは、音声のみでお楽しみ下さい。
と言うか酔ったユウトたち悪い…。
「はぁ…はぁ…死ぬかと思いました…」
「そうね…。質が悪いわね…」
「ふ、た、り、共!一緒に寝よ!」
「なっなっな!」
「ちょ、ユウちゃん話を聞いてくれるかしら!?」
「やじゃ~!ドン!」
モフッ!
「「キャッ…」」
「ちょ、ユウちゃん…、女の子二人をベットに押し倒すなんて、犯罪みたいよ…?」
「そ、そうですよ!ユウトさん…。そう言うのは段階踏んでから……ゴニョゴニョ…」
「ヒマリちゃん?私、知ってるんだけど?お昼のこと…」
「はひっ!」
「ケンカはメッ!」
「「ヒャン!」」
「いきなり、女の子の素肌撫でるとか!何するのユウちゃん!」
「むぅ、一緒に寝よ!」
「駄目ね。これっ…」
「し、仕方ないですから、一緒に寝ましょう…」
「まぁ、私も元々、そうするつもりだったし…、良いけど…」
「やったぁ!許可貰った~」
カチッ!カチッ
「「へっ…?」」
「う?」
「キャアアア!ちょ、何で!?ユウちゃん!ホック外したの!?」
「な、な、な、な、服の上から、出来るなんて、酔ったユウトさん、どれだけキャラ変わっちゃってるんですか!?」
「えへへ、褒められた…」
「「誉めてない!!」」
「ゆ、ユウちゃん?まさか寝るって…、あっちの意味じゃないわよね!?ヒャッ!?首筋なめっ、駄目っ!?」
「そ、そうですよ!ユウトさん!ふにゃ!お、おへ、おへそ…だ、ダメですっ…」
「レロッ?」
「なめながら、喋れないからって、その返答は、ひゃん!左手何処に突っ込んで…あん!ひっ、やめっ…」
「ユウトしゃん!もう…、もう…許し…あ、んん!?」
「むひゅひゅ?いただきます」
「いただきますって、どう言う意味っ!?ひ、あっ!?」
「て、言うより…!ユウトさん!何を…あ、んっ!?」
「ニヤッ…いただきます…」
「「いただいちゃダメっぇええ!!!」」
しばらく、この部屋から甘い声が響き続けたと言う。
本当に質が悪い…。
はい!いかがでしちゃか?
あんなことがあったのに平常運転。
それがユウトさんクオリティ!!
すいません調子乗りました。
ちなみにユウトさんは酔っていても多分R15以内に収まる行動しかしていません。
多分ですが……。
というか、
週一投稿が目標なのに先週はすいませんでいた…。
ちょっとばかし、
打ち合わせをしていたもので…
次はちゃんと出せるように頑張ります。
期待はしないでください。
ps、最近R15タグをつけるべきか迷っています。