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If start story (イフ・スタート・ストーリー) ~ボッチな問題児は異世界で大暴れするようですよ?~  作者: 過ち凪
第二章 「in dream story」Ⅰ~手を伸ばすために~
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第二十物語 「そして物語はto be after」

ああ、十話づつで一章完結する気だったのに…。

一方で三人組はあの不命に出会っていた…。


別に自分達から出会いたかった訳では無い。


あの男の方から来たのだ…。


『どうですか~。お金儲けの話に乗る気になりましたか~?』


前と変わらない口調を見せ、空気を読まない不命にシャーガは立ちを隠せない。


『ふざけているのかお前!こんな時に!』


『こんな時、だからだと思うよ?』


『アルマ!?何を!?』


だが、アルマは少なくとも表面上は冷静に対処しようとする。


不命が何を言いたいかも分かっているのだ。


『さすがです~。良くお分かりですね~』


それを褒めるような言葉を不命は発するが、態度に変化は見られない…。


『いったい、どう言うことなんだ?アルマ?』


そんな不命を無視するような形でアリバックは問いかける。


アルマは言うのを一瞬ためらう、が、この三人では隠し事はなしだな…、と思って話を始める。


『帝国は子供達を見捨てるつもりなんだ…』


『『!?』』


その内容は二人を驚かすに値する内容だった。


アルマは、あくまでも推測だけどね…、と前置きをして話を続ける。


『あの子達を助けるためには、レベル5の強以上の医療系能力者が必要だと思う…。でも、そんな人達は中々居ない…』


それは憶測ではなく、事実を元にした話だ。


帝国は[レベル4の強]の[免疫力の使い手]を持つ、かなり上位にあたる能力者を筆頭に医療能力集団を伝染病対策に派遣したが、それでも伝染病は治せなかった…。


つまり、この伝染病は死者こそ出さないが、相当に質の悪いものだ。


対処するには更に上位の能力者を呼ばなければならない…。


『ええ、その通りですとも~』


アルマの話に不命は乗っかってきたが当然、無視だ。


『他国にはいるだろうけど、自分達の国で精一杯なその人達を呼ぶにはどうしてもお金がかかる…。そうだろ?』


『大正解でございます~』


不命が褒めるが、アルマは嬉しくも何ともない。


能力が更に高位の能力者を呼ぶにはお金がかかる。


それは、その能力達は既に難病を患う患者についているからだ。


予約も大抵一杯で、他の国に出向く程の移動なら、現在の患者の措置を他人に任せるしかない。


それにも、また、お金がかかる。


つまり、どう転んでもお金がかかってしまうのだ。


『それで、返答はいかがでしょう~?』


不命の中では肯定が答えだと決まっているのだろう。


当然だ、子供達を助ける方法は他にない。


不命は愛想笑いの様な表情をして確認とばかりに聞いてくる。


アルマは、それに…。


『NOだ…』


否定の返答を返した。


不命の表情が固まる…。


『………。どうしてもでしょうか~?』


『ああ…』


不命の年押しに再度首を振るアルマ。


実を言うと、アルマは最初から否定する気でいた。


確かに子供達を助けるには莫大なお金が必要だし、そのお金を用意出来る仕事は、かなり魅力的だ。


だが、アルマは本能的にこいつに関わってはいけないと感じ取っていた。


関わってしまったら最後。


子供達を助ける処か更に不幸にしてしまう。


自分達だけじゃなく、周りすら巻き込んで不幸のどん底に落とされる。


それほどまでに、この男は危険だと…。


『それでは仕方有りませんね~』


嘆息しながら、自身のフードを手に取る不命に身構える三人…。


そんな中、不命の目が妖しく赤色に光る…。


『皆!目を閉じるんだ!』


『遅いですよ~。『悪夢(デイドリーム)』開眼~』


そう、三人は身構えるのが遅すぎた…。


赤い光が視界を埋め尽くす。


混沌(カオス)を司る世界にようこそ~』


不適に微笑む不命。


『私の仕事を受けてくれますよね~?』


『ああっ…。子供達を救うためだから、どんなことでもやるさ…』


意見をあっさり曲げたアルマに誰も反対しない…。


その場には使命の為なら何でもする、と言う決意に満ちた三人の戦士がいた…。


異様ともとれる光景。


まるで誰かに無意識に自分の考え方を曲げられたような…。


そこにユウトがたどり着いたのは、丁度この時だった。






~ ユウト side ~


『私の仕事を受けてくれますよね~?』


『ああっ…。子供達を救うためだから、どんなことでもやるさ…』


「受けちまったか…」


倒れた子供達で一種のネットワークを作ってきた俺が着いた時には交渉は成立していた…。


確かに、あの子供達の状況を見たら俺でも受けるかも知れない…。


あんなのは酷すぎる…。


『では、内容ですが~。実は奴隷となる人材を拐って欲しいのです~』


「!!」


何を!?


『ああ、分かった…。子供達を助けるためだ…』


「!?」


余りにも強く意思を持ち、即答した紫坊主に驚く…。


「お前ら!それで良いのかよ!」


思わず、届かない声を叫んでしまう程には…。


確かに子供達を救わなければならないだろう…。


「でも、それはなんか違うだろうよ!」


強くもう一度叫ぶが、当然届くことはない。


だが、これで話は繋がった…。


あの村が襲われたのはそう言うことだ…。


しばらくしたら、村人は全員、こいつを通じて奴隷商に売られるのだろう。


そしたら足取りが掴めなくなるな…。


早めに行動しないとな…。


『数は四十人弱で良いですよ~。一つ村に辺りをつけています~。用意も出来ていますので~』


悔しいが、この仕事は正確だった…。


俺達と言うイレギュラーが居なければ完璧に成功してた位だ…。


『分かった…。他には?』


『仕事が終わったら報告してください~。隣の国に居ますので~。段取りは、この国を出てすぐに使いが居ますので、聞いてください~。では、ご検討を~』


そう言って、不命は鴉に包まれ消えた。



話が上手すぎないか?


そこで、ようやく、一つの疑問が浮かぶ…。


何であんなに会話がスムーズにいったのかと…。


もう少しかみついても問題は無かったんじゃ…?


しかし、そんな思考は中断せざる終えなかった…。


アルマ達が仕事につくために瞬間移動する、と同時に視界が黒に染まった…。


意識が何処かに引っ張られる感覚…。


起きるのか…。


それは夢からさめる兆候だった…。






「はぁ~」


溜め息を付いたら幸せが逃げるらしいよ~。うん。


ほんとに俺の能力ってなんだろうな~。


いや、起きたら朝だっただけだけどね…。


早朝。


地球でいったら四時くらい…。


別に睡眠し過ぎたことに怒っている訳じゃあない…。


理由は逆!


目が冴えすぎてることにある…。


黒石さんは、あの眠気に包まれる起きた時の微睡みが好きなのですよ~。


微石さんですのよ!


いや、訳分からんけど…。


つまり、俺は寝るという行為の全てが大好きです!


さぁ、二度寝しよう!


と言うか、今までの前振り何だったよ?


ダメ人間が此処にいた…。


「ん…?」


そこで、始めて右側の違和感に気付く…。


別におれが鈍感だから気付かなかった訳じゃない…。


なんか、寝てる間にデフォルメとかした感じだ…。


言葉じゃあ、説明しづらい…って!


「マ…!!…、リ姉…!?」


「…んっ……」


あ、アブねぇ…。


驚きで叫びそうになった所を自力で抑えた…。


何で此処にって…、決まってるか…。


抱き枕が無かったのだろう…。


ヒマリちゃんがいる手前、裸になることも出来ず、かと言って眠れないのは嫌で、結局、こうなったと…。


「も~う、しょうがないなぁ~」


幼馴染みキャラ風に言って見たけど…、これ?何処に需要があるよ?


まぁ、いいや~。ニャハハ…。


それにしても…。


「寝顔は可愛いんだよな~」


うん。


無防備なマリ姉、マジ天使です!


普段はクールにしてるから、綺麗ってイメージなマリ姉。


だが、安全な場所で寝ている時に見せる、無防備な寝顔。


子供のような無邪気な寝顔に大人っぽいロングでストレートな黒髪がめっちゃ良い。


そこには何時もの威圧するような雰囲気は無く、むしろ俺に体をまかしてくれている信頼感と、何処からか湧いてくる心地よさがある。


ほんとに可愛い…。


ツンデレ理論だろうか?


あ、そうだ!写メ撮ろ~。


そう思って左手を動かそうとして………。


プニッ!


「え?」


「……あにゅ………」


左にも人がいることに気付いた…。


って!ヒマリちゃん!?


何で同じベッドで寝てんの!?


そこにも、天使がいた…。


子供らしく、甘えるような蕩けるような、何とも言えない、可愛らしく透き通った笑顔。


警戒心など、皆無でその笑顔だけで何も要らないと言えるような満足感に満たされてしまう。


思わず、ニヤけてしまった…。


「ふにゅぅ~~」


更にヒマリちゃんは、眠ったまま、俺の左手に抱き付いてきた。


「いや…、うん……」


何だこれ…?顔が熱いぞ…?


ああ、マリ姉以外には、あんまり、こういうことされてないから動揺してんのか…。


つうか、いくらなんでも…、会ったばかりの奴にこんなんで良いのかな?ヒマリちゃんは…。


と、そんなことを赤い顔を誤魔化すために思ったが…、すぐに考えを改める…。


ああ、そっか…、違った…。


俺は馬鹿か…。


何で忘れてるんだよ……。


ヒマリちゃんは、今、独りだろ…?


支えてあげないでどうするんだよ…!


家族や友達を拐われて、動揺しない奴なんか居ない…。


どうしても不安で、でも、優しいからその本心を隠して心配をかけまいとする。


でも、だからこそ、誰かに頼りたくなってしまうのは当たり前だろうが…。


お前が助けてあげなくてあげなくてどうするんだよ!黒石さんよっ!


隣で幸せそうに眠るヒマリちゃんを見る…。


とても幸せそうな笑顔だ。


世界はどうしようも無く、理不尽で、この笑顔を奪おうとしてくる…。


そんなの許せる訳無いな…。


だから、ヒマリちゃんの為に少しでも理不尽に抗ってみせる。


「だから、安心して良いよ…。ヒマリちゃん…」


両手が塞がっていて何も出来ないから、せめて笑顔を見せる…。


それに答えるかのように、ヒマリちゃんが強く抱き付いてきた。


良い夢でも見ているのかな?


何にしても、今、笑顔なら…。


そんなことを考えていたからだろうか?


反対側から俺の手を離すまいと、更に強く抱き付いていた彼女の温もりに気付けなかったのは…。


正面で今、笑顔を見せている女の子の虚勢に気付けなかったのは






~ ヒマリ side ~


「………ぅ…」


朝だ…。


何だか起きたくないな…。


良い夢も見れたし…。


それに何と無く、ずっとこうしていたい…。


ずっと、温かい○○○を抱き締めていたい……。


……。


…………?


………………○○○?


って何?


何だか、昨日感じたような…?


まぁ、良いのかな?


起きたくないし…。


何よりずっと、抱き締めとめていたい。


ギュー!


なんとなく、力強く抱き締めてみる。


もっと、この温かさを感じたかったからだ…。


「…うっ……」


え?あれ?


何でこんなに近くから誰かの声が聞こえたの?


聞こえない筈の声が出て焦ってしまう。


強く抱き締められて、出した様なうめき声だったような…?


声の主と思わしき人は頭を撫でてくれた。


「よしよし…。もう大丈夫だよ…」


あれ?


誰かに声と撫で方と抱き付き心地が似ているような…………。


不味い気がして、恐る恐る目を開くと…。


「あっ……おはよ…ヒマリちゃん…」


「ゆ、ユウトさん……?」


目の前にいつの間にか抱き付いていたらしい、ユウトさんが居た…。


また、知らない内にやっていたことに理解が追い付かない。


そんな中ユウトさんがいつもの笑顔を見せる。


やがて、自分のやっていることに気付いて顔が赤くなる。


うぅ~、やっちゃったよ~。


やっぱり、私、ユウトさんに甘えすぎだよぅ…。






~ ユウト side ~


目を覚ましたと思ったら、突然動かなくなったヒマリちゃん…。


どうしたんだ?


しばらくすると、ヒマリちゃんは何故か顔を真っ赤にしながら、


「お、おっ、おはっ…」


と朝の挨拶らしき物を口ごもりながら、しようとしてくる…。


ほんとにどうした?


「落ち着いて。大丈夫?」


笑顔で問いかけるが、顔の赤みは一向に収まらないみたいだ…。


「………ふにゅ…」


そんな時にマリ姉が目を擦りながら、パッと起き上がった。


「あ、おはよ。マリ姉…」


「みゅ…?おはよ……。ゆうちゃん~………。ギューして!」


そう言ってマリ姉は、背中に飛び付いてくる。


また、寝ぼけてる…。


「へっ?ま、まりなさん?」


ヒマリちゃんはマリ姉の姿に驚いてるみたいだ…。


まぁ、普段はクールなマリ姉がこれじゃあな…。


無理もないよ…。うん…。


「ああ、マリ姉は寝起きが悪いんだ…」


「そうなんですか…?」


いつの間にかヒマリちゃんの顔の赤みは消えていた…。


良かった…。多分、驚きが何かしらの感情を上回ったのだろう。良かった…。


だけれど、マリ姉は相変わらず寝ぼけていて、どうにも不安定だった…。


「ムゥ~。他の~…、おんにゃのこ…ばっかりぃ~」


そう言って、腕に強く力を込め出す、マリ姉。


グフッ!


せ、背中に柔らかい物の感触が強く当てられるだとぉ!


と、まぁ、お約束の様な展開になりながらも、そういや、ヒマリちゃんばっかり構ってたなぁ…と頭の並列回路で、考えていたりする。


そりゃあ、拗ねるよ…。うん…。


「ごめんね…。マリ姉…」


そう言って、マリ姉の頭を撫でる。


「ふみゅ~」


気持ち良さそうに目を細めるマリ姉…。


いつもの風景がそこにあった…。


ふと、視線を感じて振り向くと…。


「ムゥ~」


何故かヒマリちゃんが唸っていた…。


ん?ヒマリちゃん?


何で頬を膨らませて、敵を見るような目を向ける?


「ど、どうしたの?」


「何でもないです!」


お、怒ってらっしゃる…。


俺、悪いことしたか?


そんなことを考えてると…。


「メッ!……ゆうちゃんは~………、私のなの~!」


何かマリ姉が対抗し出した…。


いったい、どうしたんだ?


で、何で「ムムム…」と唸りながら数歩ヒマリちゃんは近づいてくるのかな…?


「ユウトさん!」


「はい?」


「私も撫でてください!」


「はい………?」


意味が分からない…。


いや、個人的には人を撫でるの好きだけれども…。


まぁ、いっか…。


「ほい~」


ナデナデ


「えへへっ~、ありがとうございます!」


「ムゥ~!」


ヒマリちゃんの行動に対抗心を露にするマリ姉は…。


「ゆうちゃんは…、わたしのなの~!」


そう言って抱き付いてきた…。


もう、どうなるんだよ…?これ…。


この後、寝ぼけているマリ姉がヒマリちゃんにとんでもないことを口走ったりして、また一悶着あったりした。


昼は飯を食べて、中学生らしく三人で遊んだりもした。


だから、だろう。


楽観的に楽しんでいたのがいけなかったかも知れない…。


夕方に俺に罰が下ったのは…。






『成る程、成る程~。面白いですね~』


月夜の中、ユウト達の家を遠いところから眺める者がいた。


『夢が現実となる正夢と言った所でしょうか~?』


その者はユウトが夢の中で見た不命だ…。


『取り合えず、繋がり(コネクター)が出来たので彼にしますか~』


暗闇の中に、良からぬ企みを隠し…。


そう言って音も出さずに消えさった。


という訳で!

いかがでしたか?第二十話!


個人的には一話のように十話ずつで終わらせる予定でしたが、

明らかにオーバーしました。


なお、あとがきは作者の都合で明日の朝に付け加えて書き直します。

時間が!

親が!

後ろに!

助けt・・・・


 ~翌朝~


という夢を見たんだ!

なんや、あの後こっぴどく怒られました。

学生は辛いや。


さてさて、コメディ最高ですね!

じゃぁ、行ってみましょう!


今週のナゼナニ夕凪さん!


 前話


完全同調(フルダイブ)


・相手と自分の意識を完全に共有する絶技。

・正しく説明すると精神的に繋がるという解釈。

・正し、強制的に行おうとすると強い拒絶反応があるために意識のある状態の人間に使用することはほとんど不可能。

・寝ている間も人間本来の自己防衛が働くので拒否(ブロック)される。

・術者を完全に信頼しきっているか、意識が完全に無い場合のみに効力を発揮する。


夢の橋渡し(ドリームコネクト)


・誰かと誰かの夢を共有(つなげる)する技

・この場合のみ対象は自分じゃなくても許可。

・発動条件は「完全同調(フルダイブ)」と大体同じである。


Q、なんでユウトは夢の中で、また、別の夢に入ることができたんですか?

A、アリサと出会った場所、そこが夢ではないからです。詳しくは後々。


Q、なんで夢の世界なのにユウトが介入で来たんですか?

A、先ほどと同様にそこが、夢ではなく、干渉が可能な場所だったからです。以下同文



 今話


Q、なんで三人組は不命と話している時意見を急に曲げたんですか?

A、


悪夢(デイドリーム)

・相手の思考を本人に気付かれないように悪の方や強欲な方向に持って行ってしまう技

・更に自分が望む方向へと相手を洗脳する

・本人が自覚することによって解ける。


これを受けてしまったからです。 


Q、不命の言ってたコネクターってなんですか?

A、それは後々話すことになりますが、今は、ユウトの共有と不命の技同士がお互いに干渉してしまったと説明しておきます。




ふぅ、

終わった。

何か質問があればどしどし下さい!

出来る限りお答えすると思うので。


とりあえず、

今後は元プロローグを再度挟み、データ集を更新した奴を記載し

その後二章の後編に参りたいと思います。


ではでは!

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