第十八物語 「とあるprinceの剣戦乱舞…」
~ 王?フ?? ??? ~
そこには…、その戦場には一輪の花が咲き誇っていた…。
それは一人の少女のことを指すとは思わなかった者は、一目でその意見を曲げた。
まだ成人すらしていないその身に纏うは、所々に銀を散りばめた水色の鎧。
圧倒的な威圧感と歴戦の騎士を思わせる風格を合わせ持ち、更にその少女の可憐さや美しさ儚さを写した様な鎧姿は、戦場に在りながら誰もを魅了するような、そんな、魔法が施されているようだった…。
その少女が右手にもつのは騎士の象徴とも言えるべき剣。
圧倒的な存在感とオーラを放つその剣は、類い稀なる神々しさを持っている。
この国の長は事実上、彼女であり、この国で三本の指には入るだろう…。
「皆!絶対に死んじゃ駄目だよ!」
凜としたその声がやけに響き渡る。
その声は味方の士気を上げ、敵の士気を下げるような魔力を持ち合わせていた…。
味方に降りかかる火の粉はその一振りで振り払い、その圧倒的な強さで敵を倒すものの、敵も味方殺さない、否、殺させない姿は、どこか神聖でもあった…。
「馬鹿な…こんなことが……」
誰かの悲痛な呟きがやけに印象的だ…。
何故ならば、この戦争の死者、それが0だからだ…。
勿論、捕まった者や捕らえた者は大勢いる。
こちらは寧ろかなり多い位だ。
だが、明らかに死人が出るような攻防でさえ、この華は親友の魔法部隊の副隊長や仲間と共に戦い、無傷とまではいかないが死者は出さなかった…。
時に奇策を用いて、時に正面から、時に時に無謀を乗り越えて、どんな逆境すらも乗り越える…。
そんな彼女の奇跡とも呼べる所業は数えきれる物ではない。
だが、彼女が奇跡を起こす様な人物だとしても、必ず戦争に有利な訳ではない…。
「いきがってんじゃねぇよぉおお!小娘がぁああ!」
突如として現れた中年の大男が体剣を少女に向かって振り下ろす!
少女は苦しそうになりながらも、その剣を受け止めた。
「バリザア!」
「これで何度目か分からんがぁ…、いい加減諦めなぁあ!!」
バリザアと呼ばれた大男はヒステリック気味に叫ぶ。
何度も剣がぶつかり合わせるバリザアと少女。
「まだ、私は!諦めない!」
「ならば、ここで死になぁあ!お前たちの最後の砦でよぉ!」
バリザアの叫びに負けじと少女が言い返すが、バリザアの更なる言葉に口ごもってしまう…。
そう、少女達にとってここが最後の砦なのだ…。
最初から、この戦争の結果は見えていたのだ…。
敵の戦力は十倍以上…。
どう足掻いても勝てるはずがない…。
だが、戦いを止めれない理由があるのだ…。
それは、無条件克服の際の国民の扱い…。
まるで奴隷を扱うようなその内容だけは少女は撤廃させなければならないと思っている。
だから、続けるのだ…、諦めずに…。
しかし、死人こそ出さないが、領地は徐々に奪われていった…。
対する少女は敵の多くの兵士を無力化し、誰も殺さずに捕まえて、領土と引き換えを提案したが敵はその要求を拒否。
つまり、無力化した兵士は見捨てられた。
敵の考えは代わりならいくらでも効くなのだ…。
普通ならそこで殺されてしまう敵の兵。
だが、未だに少女はその人達の面倒を見ている。
それも、敗北に近付く原因の一つであるのに…。
だが、止めることはない。
少女が…、優しいから…。
国の皆もそれを認めていて、尚且つ、希望を諦めていない。
だから続いているのだ…、この戦争は…。
「死ねぇえ!」
大剣が勢いよく少女に振り下ろされる。
「そんなんじゃ、私は倒せない!」
少女は紙一重でその斬激をかわし、バリザアに一撃をくらわす。
「ぐわぁあ!」
勿論、峰打ちだが、バリザアのは剣は砕け、戦闘不能に陥る。
これで、この戦いは終わりに思えた…、が…。
「待ちなぁ!」
「え?ぐうぅ!」
バリザアは近くに居た女性の剣士を拘束し、手に持っていた剣を強奪。
その首筋に剣を添えたのだ。
「何を!?」
少女が叫ぶのも無理はない。
それは、これまで行われなかったことだ…。
ここは戦場だが、騎士の誇りを持つ者が多く集っている。
負けて、悪足掻きをする者など、一人も居なかったのだ…。
この男を除いて…。
「大人しく降参すれば、止めてやらないこともないぞ?」
「○○○様!駄目です!私なんか気にしないで!この男を」
「黙ってな!」
「がっ!」
「止めなさい!」
騒ぐ女性の剣士を黙らせるために暴力を振るい、自分に向かって叫ぶ少女に余裕の表情を見せるバリザア。
「どうするんだ?」
「私のことはお気になさらず!」
明らかに女性の剣士の顔は恐怖に歪み、死に怯えている。
だが、王である少女や国のことを思う、女性の剣士はバリザアに屈してはいない…。
それだけ少女に信頼を置かれているのだろう…。
だからこそ、少女は思う。
目の前で仲間が傷付けられるのを黙って見られないと…。
だから、一瞬、降参しそうになる…。
だが、ここで敗北宣言をすると、今までの努力が泡と消えるのだ…。
国民が奴隷のような不当な扱いを受けてしまうのだ…。
決断出来るわけがない…。
「返事をしないなら…」
だが、バリザア少女の気も知らず、女性の剣士の首筋に傷をつけ始める。
「ひっ!」
「ま、まって!私は!私は!」
その行動に焦る少女。
「テメェがもたもたするからだろう?」
その少女の目に女性の剣士の首から出る赤い血が映る。
一瞬の迷いの後、皆に心の中で謝る。
目の前で傷付けられる仲間を見捨てることなど、この少女に出来なかったのだ…。
「バリザア…、聞いてほしい…」
「あん?何だ?頼みたいことでもあるのか!?人に頼み事をする時はどうするんだぁ?」
「くっ!」
最後まで偉そうなバリザアにかなり苛つくが大人しく従う少女。
少女は剣を置き、両膝を地面につける…。
「○○○様…」
女性の剣士が自分の不甲斐なさに唇を噛み締める。
「降参よ…。私達の国は貴方の国の配下に下る…。だから、だから…、誰も殺さないで!」
一輪の華が地に落ちた瞬間だった。
落ちて、尚も気高く咲き誇る華は僅か齢十四だと言う…。
「○○○様!何処かに行っちゃうの?」
少女に一人の幼い女の子が駆け寄る…。
戦争に負けた国の代表である少女は木の手錠をかけられ、しかるべき場所に輸送車で連れていかれる所だった…。
「大丈夫…。絶対に戻ってくるから!だから、それまで良い子で居ないと駄目だよ?」
そんな状況下に在るにも関わらず、少女は笑顔を絶やさず、幼い女の子に話かける…。
「うん!」
幼い女の子は元気よく返事をして、近くに居た母の元に戻っていった。
輸送車に乗り込んだ少女は真面目な顔を見せる。
「連れて行って…」
これから連れて行かれる場所は戦争を仕掛けてきた敵国の中枢。
そこで、この国の未来のために最後の交渉を行うのだ…。
その交渉において、少女は殺されることはない…。
ただでさえ、今回の戦争は言い掛かりで始まった物だ。
少女が負けを認めたから収まったが、下手に刺激を与えると、また、反乱が起きたり、他国の欲に満ちた介入を免れない。
だから、どう転んでも少女が殺されることはあり得ないのだ…。
だが、少女はそんな自己の安全など、眼中に無い。
今は国民の為に力を尽くすことしか、考えていないのだ…。
決意を固めた少女に怖いものなど無いだろう…。
~ ユウト side ~
「…………」
一つ…、一つだけ言わせてくれ…。
前置きがなげえよ!!
誰だよ!あいつら誰だよ!
知らねぇよ!あんなお姫様ぽい人知らねぇよ!
あんな知り合いいないよ!他人だよ!何でこんなの見せるんだよ!
バリザアにいたっては、誰だよ!全く関係持ってねえよ!
と、心の中で叫ぶもこの世界では影響など無く、周りは勝手に進んでいく…。
「姫様…、生きてかえってくだされ…」
輸送車が出発した後も、沢山の国民がその行方を見守っている…。
俺はそれを遠くから眺めている感じだ。うん。
う~ん…。
なんか、あのお姫様…、近い未来でいつか会う気がするんだよな~。勘だけど…。
まぁ、今は関係ないな…。
「俺達はこれからどうする?」
ふと、隣からそんな声が聞こえた…。
それは、つい最近聞いたことがある声だった…。
「さぁ…、個人的には離れたくないんだよね…」
「僕も同感だ。」
「でも、チャンスは今しかないぞ…?」
「それでもだよ…。あの○○○様には助けてもらったしね…」
「そうそう、あの人を見てると奇跡を信じたくなるじゃんか…。そうだろ?アルマ?」
そこには、あの村を襲った三人組がいた…。
さぁ、随分待たせて貰ったけど……。
ここからが本題のようだ。
~ ユウト side story ~
『くそっ!何で俺達が!』
『同感だ』
『まぁまぁ、アリバック、シャーガ。落ち着きなって…』
『でも、アルマ!あいつら絶対に俺達を馬鹿にしてるぞ!』
『それには、同感なんだけど…。敵さん帝国の兵は強いからね…』
今、三人組は牢屋に捕らえられている…。
それは、何故か?
「こいつらにも良いところはあるんだな…」
少女や三人組達の国に戦争を仕掛けてきたのは帝国と呼ばれる国だ…。
その帝国との交渉を少女は驚く程、快進的に進めた…。
なので、国民の安全は保たれはした…。
だが、それ以上の交渉内容は少女が居なくなった事で帝国は破棄したのだ…。
現在、この国は帝国の支配下にある。
更に帝国は安全は保証してはいるが、国民はほとんどタダ働きをさせられている。
その仕事をサボる事は出来ない…。
帝国の見張りが沢山いるのだ。
今回、この三人はその見張りに、いちゃもんを付けられていた子供を助けようとした。
だが、それを、見張りに反逆という、在らぬ罪により捕まってしまっているのだ。
「そんな、奴らが何で…」
そうユウトが呟いた所で場面は、また、切り替わる…。
いや、場所は変わってない…。
時が進んだのだ…。
『釈放だ…。さっさと出ろ』
何ヵ月か時がたち…、三人が外に出される…。
『なっ!?』
そこには、何時もと変わらない筈の国の変わり果てた姿があった…。
辺りからカフェや飲食店、工芸品を売る店が全て消えている…。
そして、その代わりの様に大きな工場が建てられていた…。
アルマ達三人はは変わり果てた風景を見ながら、足を進めていく…。
豊かな自然があった森だった場所は畑に開拓され、沢山居た筈の動物達の姿がほとんど見えない…。
「嘘だろ…」
ユウトのそんな呟きは三人組の気持ちを代弁するかのようだった…。
「こんなのって、こんなことってあるのかよ!」
ユウトの叫びは誰にも届かない…。
しばらくして、三人組が動き出した。
そして、アルマ達は知り合いを見つけて何があったか聞き出す…。
最初に大半の男が帝国に連れて行かれる所から話が始まる…。
そして、木が斬り倒されたらしい…。
反対した住民が大半だったが、少女の名前を盾に帝国が強引に押しきった形だ…。
そして、畑が作られる…。
残った男手はここにまわされた…。
帝国に輸入するための食材を作るために…。
次に喫茶店などが工場に変えられ女の人はここで、働かされることになったのだ…。
常に見張りが付いており、休むことも出来ない。
ここで、朝の7時から夜の9時まで働かされるのだ…。
給料は貰えないがこの国のご飯は配給制に変えられた…。
少なくも無いが多くもない…。
倒れる者はいないが、疲労は溜まる…。
それが、今のこの国だった…。
ある意味、今の風景の変わりように対して拍子抜けかもしれない…。
だが、その説明を聞いてぬるいと思った者は一人も居ない…。
そこには、酷いと言う感想だけだ…。
それは、生かさず殺さずを徹底している帝国の思想が見てとれたからだ…。
過労で倒れる者がおらず、何処からも文句を出させず、必要最低限の出費で効率を求める、まさに、生かさず殺さずの究極形態だろう…。
なにかの娯楽に逃げることも出来ない国民達は、特出すべき批判がでない今の状況を、いつの間にか普通と思い込み、半永久的に帝国の為に働かされるのだ…。
こんなに酷いことはない…。
『くそっ!俺達はどうすれば…』
そんな叫びを出してしまうシャーガ…。
帝国に歯向かうには、些か士気が足りない…。
このままでは、気付かないうちに支配が完璧になってしまうだろう…。
そんな時だった…。
『お困りのようですねぇ~』
声が響き渡る…。
『良かったら、打開策をお教えしましょうかぁ~』
変な口調を持つ黒いマントに身を包む男が現れる…。
「(なんだ、こいつ…)」
その男からは圧倒的な負をユウトは感じ取ってしまったのだ…。
「(こいつは、やばい…)」
さて、いかがでしたか?
あの王女様はだれなんでしょうね~
まぁ、気になる方は私の友達のモッチーの小説のミス・スタート・ストーリーでも!
ちなみに今回の夢の話は二章の謎に入っていくないようです!
ではでは!




