表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
If start story (イフ・スタート・ストーリー) ~ボッチな問題児は異世界で大暴れするようですよ?~  作者: 過ち凪
第二章 「in dream story」Ⅰ~手を伸ばすために~
20/77

第十四物語 「seedもtrickもございません♪」

「特大マジック死を呼ぶ土石の雨(ストーンシャワー)存分にお楽しみ下さい」


そう言って、ペコリと頭を下げる金髪。


「冗談じゃねぇぞ!」


まん中から砕け散った大小百を越える石や土のつぶてが降りかかる。


回避は出来るかも知れないが、この女の子を見捨てることは出来ない。


「ユウちゃん!」


流石のマリ姉もこの土石をどうこう出来る訳ではない。


だけれども、マリ姉は俺に向かって手を伸ばす。


俺はそれを信じて少女を抱き上げ手を掴んだ。


飛来する土石を避ける場所まで届くことは、不可能な距離で。






「大丈夫?手加減した?」


「問題はない」


全ての土石が降り注いで辺りが砂煙に埋め尽くされた時…、二人の男だけその場に立っていた。


「じゃあ、まとめて回収しますか~」


その男の呑気な声に…。


「腹が立つんだよ!」


「なぁ!?ぐふっ!」


俺は叫びながら、金髪野郎を蹴り飛ばした。


「アリバック!くっ!」


思わず仲間の事を呼ぶ紫坊主をマリ姉は今度こそ捉えることの出来ない神速の鞭で紫坊主を吹き飛ばす!


えげつねぇ…。


「な、何で生きてんの?」


「勝手に殺すんじゃねぇよ!こっちにも能力が有るんだよ!」


まぁ、俺じゃなくてマリ姉のだけれど…。


俺の能力あの状況じゃあな…。つかえねぇよ…。


「一体どんな能力を持って」


「教えるわけないだろ」


「まぁ、そうだろうね~」


敵からしたらどっちが何をしたのか分からないんだろうけど、俺からしたらマリ姉が何かをしたことしか分からない。


いや、俺がマリ姉の能力知らないだけなんだけれどね…。


一体、どんな能力なんだ?


まぁ、さっきの状況を思い出して考えてみよう。


まず、手を伸ばされました。


次に、俺が女の子を抱き抱えました。


で、マリ姉の手を掴みました。


そして、もの凄いスピードで引っ張られて勢い余って飛ばされました。


女の子が怪我しないように俺が下敷きとなり、クッションの役目となりました。


地面に擦らされて痛かった。


いやでも、女の子の体が柔らか…ゲフンゲフン!や、止めよう。うん。


だってさ…、横で鞭の音が……。


で、なんとか女の子を地面に寝かせ金髪に蹴りを入れたのがつい先程。


うん。分かんね。


精々分かったのは、加速することが出来るような能力ってことだけだ…。


まぁ、今は良いかな。


だって、俺のやることは…。


「さぁ、金髪。俺が相手をしてやるよ!」


この金髪をぶちのめすことだ。


「君?名前はなんて言うんだい?」


「ユウトだよ」


「僕はアリバック。よろしく!」


そのセリフと共に空中にナイフが現れる。


そのナイフを身を捻ってどうにかかわす。


「なんで、当たらないかな~」


「鍛え方が違うだろ?」


「ああ、そう言うこと」


俺が右見ろと首を促す。


そこには、マリ姉がいる。


何が言いたいのかと言うと、あの鞭を見ていたら嫌でも洞察力があがることだ。


俺はマリ姉を見ている金髪に不意打ちを放つ!


いや、偉そうに言うことじゃあけしてないな…。


いや、だって卑怯じゃん?


だが、その攻撃を見えているかの様にかわす金髪。


「酷いなぁ~。ユウト」


「お前には通用しないだろうが!だから、OKだ!」


「うわぁ~。マジで酷い…」


失礼な…。


男子にはこの位が丁度良いんだよ。


でも、分かったこともある。


鷹の目なんて言うから上から見てるとばかり思っていたけど、どうも違うらしい…。


あいつは俺が右足を動かした時点で俺が動くのに気付いていた。


正確に言うと五㎝程動かした時に…。


その時点では上から見てるなら、体が邪魔して見える筈がない。


それなのに奴は気付いた。


多分だけれど、こいつは一つしか能力を持っていない。


それをあたかも二つも有るかの様に言ってるだけだ。


俺は右足に力を込め十文字槍を呼び出す。


「うわぁ!君もマジックを使うのかい?」


「マジックはマジックでも魔法道具の方だけどな」


軽口に軽口で返し、前に出る。


金髪は空の両手を虚空に降る振りをする…。


いや、振りじゃないのかもしれない。


一歩右に動いた俺の影をいきなり表れたナイフが横切る。


「避けちゃうんだ~」


「当たり前!」


近付く俺に迎え撃つために二本のダガーを取り出す金髪。


次第に距離が近付き俺の踏み込みを込めた槍の突きを金髪はクロスさせたダガーで受け止め上に弾く。


そのまま、懐に飛び込む金髪。


俺は槍を弾かれた動きを利用して槍を半回転させようとするが、金髪の方が早い。


右手のダガーが振るわれる。


そのダガーをまだ上を向いた状態の槍を使いなんとかガードする。


だけど、まだ金髪には左手が残っている。


そのまま振るわれるダガーを一歩下がることで回避しようとするが間に合わない。


ならばと、金髪の思考を一瞬だけずらす。


予想道理少し鈍った動きに合わせてダガーの刃の面に裏拳をあてて刃の軌道をずらす。


その僅かな隙に何歩か下がり間合いをとる。


一瞬入った邪念に首を傾げる金髪だが、俺がやったのだとは気付かなかった様だ。


俺がやったことは、能力を使うことだ。


こちらとあちらの感覚を共有化(リンク)させて自分が二人に増えたような感覚を与えたのだ。


どうやら、五感だけじゃなくて、感覚を共有化することもできるみたいだ。


まだ、使い慣れていないこの力だが、このくらいなら出来る!


種は秘密でよろ!


とりあえず、反撃いきますか!


「一騎当千!」


「なぁ!?」


俺は十文字槍を投げる。


まさかの行動に金髪は驚くが、なんとか体を捻って回避する。


「くぅ!」


だがな!


「安心してんじゃねえよ!」


「二本!?」


右手と左手に呼び出した槍を二本投げつける。


二重の螺旋槍(ツイングングニル)!」


投げた槍は螺旋を纏っている特殊な槍で人を抉るための槍だ。


槍は回転しながら、風を巻きこみ、まぁまぁの速さで飛んでいく。


あれ?勢いでやったけど…?俺ってこんなに力があったか(・・・・・・・・・)


そんな微かな疑問を書き消すように二本の螺旋槍が金髪を貫く!


あまりにもグロい光景になると思っていたが、そんな事はなく寧ろ、その光景は驚きを与える物だった…。


貫いた筈の金髪から血が出る事はなく、その体が霧に霧散した…!?


「こっちだ!」


「ぐぅ!」


右から声が響き、そちらを向くとダガーを持って懐に入り込んだ金髪がいた。


急いで体を捻るがかわすことが出来ず、右のダガーが腹の肉を切り裂く。


「がぁっ!」


地面にけして少なくない量の血が飛び散る。


「さぁ、おやすみ!」


そんな中アリバックの声だけが響いた。






~ マリナ side story ~


神速の鞭を放ち先制攻撃を当てたマリナは有利に見える。


だが、マリナは内心マリナは焦っていた…。


(私の能力は時間制限が有るみたいね…)


マリナの現在の能力は自分の時間の流れを早める事が出来る物。


通常の時間の流れより自分の時間の流れを早くして、他より短い間で物事を成すことが出来る。


この能力を使い先程、土石の雨から走って抜け出したのだ。


現在操れる時間は通常時~5倍まで。


その範囲であれば、自分の時間を早めることが出来る。


つまり、相手が一つの行動を行っている時にその五倍の早さで、考え、行動し、実行することが出来る殆どのパラメーターを上げることが出来る能力なのだ。


だが、その高い能力制には制限と欠点と弱点が存在する。


例えば力を五倍にする能力ならば制限は付かなかっただろう。


だが、殆どの能力値を上げれるこの能力は強すぎるために制限が設けられた。


それは一時間しか発動出来ないと言う制限だ。


その時間を超えたら能力が発動出来なくなってしまう。


この制限は致命的だ。


次に、欠点。


それは時間を早める能力だと言うことだ。


自分の時間を早める。


ならば、自分の中(・・・・)の一時間の制限はこの能力に適応されるのでは無いだろうか?


答えはyesだ。


一時間の能力制限を自分の時間を早める能力で縮めてしまう。


勿論、本人は普通に感じているが周りからすれば、全開(フル)の状態で十二分なのだ。


使われる相手からすれば、短い方が良いに決まっている。


そして弱点。


それは、疲れるのも早くなると言うことだ。


時間を五倍に早めているため他から見れば五倍疲れやすいと言うことだ。


勿論、上手く戦えば問題ないが真剣勝負に上手く戦うも何もない。


常に両方本気でやりあっていたら五倍早くマリナが疲れやすい。


つまり、この能力は戦闘において持久力が無いのだ。


強いが燃費が悪い。


それがマリナの能力である。


更にまだ使いなれていないこの能力の微調整やON、OFFにも一苦労してしまう。


必然的にマリナが取る戦闘法は…。


(短期決着!)


今までの探り合いや睨み合いを止め五倍速で一気に鞭を振るうマリナ。


その目に迷いの感情は無い。


鞭は波を描いて紫髪の坊主頭のシャーガ(まだ二人は知らないが紫坊主頭の名前)に向かう。


その動きは普段より速く目で捉えることが出来ない。


だが、目で捉える事が出来ないからと言ってガード出来ない訳ではない。


マリナの鞭が当たる直前に石の壁が突如現れて鞭を防いだ。


石の壁には大きくヒビが入ったが壊れてはいない。


シャーガはマリナが動くより前に詠唱していたのだ。


呪文を…。


「魔法使いね…。それも土石の魔法かしら?」


マリナはいつ攻撃されるか分からないので能力をOFFにしていない。


ゆっくりと上手く話すことで時間の能力を隠している。


「気付いたか…」


「成る程、さっきの土石の雨も貴方の仕業ね」


確かにさっきの土石の雨はシャーガの仕業である。


なんらかのアリバックの能力で土石の玉の作業が終了した段階で二人の前に現れたのだ。


「隠す程の事はない。俺はシャーガ。土石の魔法の使い手だ」


「マリナよ。十六才の淑女」


お互いに名乗り合う二人。


ユウトがこの場に居たら絶対につっこんでいただろう名乗り合いだが。


「じゃあ、再開しましょうか!」


そう宣言し鞭を強く振るうマリナ。


それに対して会話の途中から詠唱していたシャーガ。


マリナの鞭が既に出ていた石の壁のヒビを広げる。


そして、次の3度目の攻撃で石の壁は砕けた。


だが、シャーガの詠唱は終わっていた。


マリナの前に先程の三倍はある岩石の壁が表れた。


「厄介ね…」


確かにこのままではマリナにとって不利だ。


マリナとシャーガではマリナの方が攻撃のスピードが早い。


だが、それをシャーガは土石魔法(今回は主に石)特有の硬さでカバーする。


まず、第一の盾でガードする。


その間に第一より硬い、第二の盾を準備する。


そして、第一の盾が壊れたら第二の盾を出す。


それの繰り返しで段々と強い壁を用意するのがシャーガのとった行動。


「あんまり好きじゃないわね。そう言うの」


少し苛ついた様子で言うマリナ。


シャーガに対してマリナがとった行動は単純明快だった。


ただ距離を詰め、壁の横から回り込む。


速度が五倍のマリナは瞬時の早さで目的の場所に辿り着くが…。


「甘いな」


シャーガも馬鹿ではない。


魔法でトラップを既に仕掛けていた。


マリナはそれを踏んでしまうが、直ぐにトラップだと理解でき、後方に飛ぶ。


マリナが踏んだ場所から尖った土のトラップが飛び出す。


だが、マリナは既に空中だ。


そのまま鞭を三度振り、土のトラップを壊し、空中から着地した瞬間に鞭をシャーガに放つ。


シャーガは自分の反応速度を越えている鞭の攻撃を今までの経験でガードするが、ダメージを免れる訳ではない。


「ぐぅう!」


鋭いダメージを受けシャーガは吹き飛ばされるが、その間マリナは黙っている訳ではない。


前に踏み込みながら空中のシャーガに三度追撃を放つ。


四度目の鞭の射程範囲が届かない位置までシャーガが飛ばされて、ようやく動きを止め腕を組むマリナ。


「手応えが無いわよ?」


地面を転がるシャーガに挑発的に笑いかけるマリナは妖艶に輝いていた。


いかがでしたか?

やはり、今日の4話投稿(最後は微妙)は疲れました~。


この戦闘シーンを楽しんでいただけたらなによりです!


さて、ではこの辺でいつもの何故何夕凪さんのコーナー行きましょうか!


今回はこれ!

ユウトの能力。


今のところ人の様々な機能を共有(リンク)させることが分かっています。


感覚共有(リンク)


・その人間が感じている事象や事象にたいする感想を大まかに知ることが出来る。


・大まかな感情もだいたい理解できるが、詳しくは分からない…。



五感共有(リンク)


・相手と自分の五感を繋げたり感じ取ったり出来る。



以上です!


さてさて、大分分かってきましたがまだまだ謎が多いのは確かです。

今後もユウトさんの活躍にこうご期待!


では!また来週!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ