第十二物語 「linkしたって碌な事には……」
アイテムにG判定をくらった夜……。
俺達は質素な宿屋に来ていた。
と言ってもこの村はここしか宿屋はなかったのだが…。
飯付きで三千円。
ファンタジーなので、魔法石を応用したシャワーもあって中々良い場所だと思う。
ベッドの上に寝転がっているナウ。
あ、マリ姉はシャワーを浴びている。
流石に俺は何もしていないと言う訳ではなく、一人黙々と端末を弄っていた。
仕事探しナウ♪
フリータは辛いよ~、いや、傭兵だけど…。
とりあえず、この端末の機能をみるとメール的な物、通話的な物、地図的な物、写真機能的な物、依頼版的な物が主らしい…。
この端末無駄にハイスペックで科学のデータ技術と魔法の具現化技術の混合でボタンを押すと空中に画面が表れ、それをそのまま操作出来るらしい…。
いや、ぱねぇ…。
ちなみにこの世界も一世代前あたりの携帯が普及していたりする…。
いや、実際俺達の世界の技術パクっただけだったけど。
まぁ、詳しくは再現できないらしく細かい所は魔法石だよりだったりするらしい…。
電波の送受信とか…。
そっちの方が案外効率が良いのだそうだ。
まぁ、こんな科学と魔術の最先端を組合せた端末は滅多なことじゃ持てる人は居ないが…。
異世界からの流通は老人達みたいなのが管理してるし、使い方を理解出来る人が少な過ぎる。
あ、この端末の名前は i futureらしい…。
なんでも、iPho○eをパクって改造したらしく、その過程で未来的になってしまったかららしい…。うん…。パクるなよ…。
パクりダメ、絶対。
まぁ、実は未だ完成してないらしく…(こちらにはワイヤレスネット環境が復旧していないので完成するわけ無いのだが…) 容量が余りまくっている…。
だから、改造してくれて構わないとも言ってた…。
いや、緩い…。
日本で改造したら違法じゃなかったか?いや、覚えてないけど…。
まぁ、使いづらくはなる…。
ネットに繋げれなかったりと…。
それがこちらでは何の問題もないのだ…。
ちなみに伝えるとこのifutureの容量には、老人とナターシャさんのメアド?(らしき物)と今まで出会った人達との写真が入っている位だ。
閑話休題…。
難しい話ぽくなった……。
反省…。すると思ったか?
いや、嘘です。はい!
とりあえず、依頼版の依頼内容と場所と地図を見比べ…、どうしようか…?
「必ず、どっかの町を経由しないと行けないんだよなぁ…」
うぅん…。
「モンスター退治にお尋ね者探し…、宝探しに護衛ねぇ…。いまいち、パッとしないんだよなぁ……」
ちなみに金払いもあんま良くない…。
「しかも…、地味に時間掛かるし…」
そう思っいながらスクロールさせると………。
「おっ…」
あった…。面白そうで、経験を積むのにも良さそう…、金払いも良い…。
依頼内容
極秘
主に戦闘
期間
10~15日
報酬
最低五百万
交渉可
条件
15日以内に到着
強者
ちょっと犯罪臭するけど、中々良さそうだ。
あと、町三つ挟んでの場所だし…。
こっちには、マリ姉要るし!
「問題なし!さぁ、決めたぜ!」
担当者(老人達と別の組織が担当しているらしい)にメールを送る。
しばらくして、電話がかかって来てそれに出る。
『ユウト様ですね』
「はい」
出たのは女性のオペレーターだった。
『依頼をお受けいたしますか?』
「はい」
『受注は取消すことは出来ませんが宜しいですか?』
「はい」
『では、定刻迄に依頼人と接触してください。では』
ふぅ…。終わった。
明らかに無感情だよ…。
苦手なんだよな…。
会話から入るタイプなのに…黒石さんは…。
冷たいにゃ~。
いやね?何だろうな。
あちらからしたら、俺達は素性を伝えられてないので、突然飛び入りしてきたおかしな奴なのだ…。
信用業においてこんなに厄介者はない…。
相手の対応も冷たくなってしまってしょうがないだろう。
しかも、最初の依頼が極秘って、相手側からしたら「空気読め」なのだろう…。
いや、黒石さんは読まないよ!空気ブレイカーですよ!
いや、険悪になるだけで良いこと無いけど……。うん。
「はぁ…」
俺はもうすることないな…。
ベッドの上で力を完全に抜いて脱力する。
何をしようか?
寝るか?
おい!誰だ!今、覗けっとか言った馬鹿な奴!
なるh……。いや、嘘です。ごめんなさい。だから軽蔑しないで!
危うく、黒石さんの人気が落ちる所だったぜ…。
おい、誰だ、今、もう落ちてるとか言った奴!
呪うぜ!
じゃなくてぇ…。
することあった!
俺の能力、なにか未だ知らない!
使ってみようぜ!
仰向けのまま右手を伸ばす。
能力発動!
……………。
………………………?
あれ、なんか変な気分だ?
これが俺の能力?
何だろう?
体が暖かいと言うか…、気持ちいいと言うか…、なんだこれ…?
やけに解放感に包まれていて、何処からか水の音が聞こえてくる…。
徐々に俺の能力の感度が上がっていく感じがして、段々とぼやけていた物がクリアになっていく…。
何だ………?
いや、水に濡れたような感触もある…。
『…ん~、…………ふぅ~、…………』
今のは!?
ま、マリ姉の声?
どうなってるんだ?
耳元から聞こえてくるような…、直接頭に響くような声だ………。
何なんだ?これ?
存在しない筈の腰までの長さの髪が水に滴る様な不思議な感触。
暖かい雨に打たれたようで不快感などない知っている感じ。
今、手を伸ばしている筈なのに腕を組んだ感覚もあり、何処かズレている…。
いや、まるで 体が2つ有るような………。
まさか!?
分かった…。分かってしまった……。
だが、気付いた時にはもう遅い…。
『それにしても、ユウちゃん…。別に入ってきても良いのになぁ~』
「ぐh……………」
マリ姉の一言に叫びそうになった口を慌てて抑える…。
あ、危ねぇ…。
危うく、気付かれる所だった。
気付かれたら何されるか分かったもんじゃない…。
つうか、常に俺を弄ることしか考えてねぇのか!マリ姉よ!
そんな愚痴を溢したくなるが今はそれ所じゃない…。
俺の能力…。
それは………。
五感をリンクすること…。
特定の相手の見ているもの、聞いていること、触っているもの、匂っているもの、食べているものがダイレクトで伝わってくるのだ…。
不味い!
理解してからは、更に能力が加速してしまった…。
今までぼやけていた感触が最高感度になって、視界が 2つになる…。
もう1つの視界からはシャワーと風呂場の天井が見える。
更に甘い香りが鼻にくる…。
マジでやばい!
俺が女ならまだしもこれは、やばすぎる。
なんだよ!感覚リンクって!
ヤバイのはそれだけじゃなく、なんと言うか………そのぉ…。
非常に言いづらいのだけど…。
胸板辺りに男にはない重みを感じていて、その下の組んだ腕に柔らかい感触が…その…、…のし掛かっている………。
更に水に滴るそれは、シャワーの水滴が跳ね何とも言えない感情を生み出す…。
女なら平気なのだろうけれども、男で初めて体験する俺には耐え難い!
いや、マジで!
つうか、マリ姉が下向いたらアウト!
俺が鼻血で死ぬ!
いっそ向いて………ゲフンゲフン!…な、何でもない!
煩悩退散!
くっ!今すぐ解除しないと…。
しかし、焦っているせいか、一向に能力が解けることはない…。
寧ろ、解けないことに焦りを覚え、更に焦って一向に能力が解除出来ないと言う、スパイラルに陥ってしまっている。
そんな中マリ姉が上を向いたまま伸びをする。
伸びをすることにより、全身が心地よくほぐれ、更に水滴を跳ね返し何とも言えない幸福か、ギャアアア!
なに考えてんだ俺!
死ねぇ!俺死ねぇ!
壁にガンガン頭をぶつける俺。
「悪霊退散!」
最早なに言っているのか分からない…。
そんな時だった…。
俺の両頬に軽く引っ張られる感触があった…。
いや、違う。
俺じゃなくてマリ姉だ…。
マリ姉が笑ってる?
でも、この笑い方は………?
そんな時に頭にもう一度声が響く…。
『で、ユウちゃん?いつまでそうやって、覗いてるつもりなのかしら?』
「なぁ!?」
ばれてる!
「いつから!?」
『最初っからかしら?違和感あったし…、しかも、途中からそっちの感覚が流れてくるんだもの…面白いわね~。これ』
やばい!さっきの笑みは獲物をかるときの笑みだ!
しかも、俺制御ミスってたのか!
兎に角、脱け出さないとどうにもならない!
つうか、殺される!
『ダメよ♪』
「あふっ!」
な、何だ今の感触は!?
お腹辺りに変な感触が!
『ユウちゃん?知ってる?コチョコチョとかは自分にやっても効かないのよ?でも、人からやられると効いてしまうのよね~。じゃあ、問題♪感覚、感触だけが行き渡る今の状況で私の体をまさぐってみたら、どうなるのかしらね~?私はどうもならないけれど…。じゃあ、びしょ濡れ同然のユウちゃんはどうなるのかしらねぇ?』
「ひぃ!?」
『あら、怯えた声も良いわよ?じゃあ、たぁ~ぷりと可愛がって、あ・げ・る♪』
「助けてぇ!」
~ ここから先は音声のみをお楽しみ下さい…。つうか、ぶっちゃけ飛ばしてもらって結構です。 ~
『さぁ、お仕置きよ?』
「ちょ!やめぇい!」
『あら、体を洗ってるだけなのに?なにかおかしいかしら?』
「ひゃ!どこ触って!」
『私の体よ?何か悪いかしら?』
「明らかに悪意が!うくっ!」
『(ペロッ…)』
「親指舐めるな!つうか、しゃぶんな!艶かしいわぁ!止めろぉ!止めてください!お願いします!」
『あら?癖よ?』
「そんな癖ねぇだろうがぁ!」
『私は何ともないんだけれどねぇ~』
「俺にあるんだよ!主に女の子に指をなめられる感触と女の子の指をなめてる感触が同時に!」
『あ~、ならこれは?』
「あ、クスグッ!た!」
『じゃあ、最も面白いことしましょう!』
「こら!ボディソープとスポンジで何を、って!ニャアアアアアアア!!!」
~ 時は進んで ~
「もう…お嫁にいけない……グスン」
「あら、私が貰ってあげるわよ?オーダーメイドウェディン「あ~!急に元気出たわ!うん!大丈夫!」
「あら、残念…」
「つうか、いつになったら服着てくれんの?いつまでタオル一枚なんだよ!」
「それが、のぼせちゃったみたいなのよ…。ユウちゃん弄るのが楽しすぎて…」
「のぼせるまでやんな!つうか、訴えるぞ!」
「あら、先に訴えられるのはユウちゃんじゃない?」
「ぐっ!返す言葉がない…」
「処でユウちゃん?いつまで寝転がってるの?」
「いや、なんか頭痛い…。眠いし…。多分、能力の代償だ…」
「あ、それなんだけど…。ユウちゃんの能力…、多分もっと使い道有るわよ?」
「何で?」
「分かんないけれど、ダンジョンで言ってたわよ?」
「何でマリ姉何だよ…。普通俺じゃねぇか?」
「知らないわよ…。じゃあ、寝ましょうか…」
「突然話変えんな!つうか、布団入んな!抱き付くな!」
「え~?丁度良い抱き枕なのよ…」
「なら、服着ろ!」
「おやすみ~」
「寝るなぁ!」
「今夜は寝かしてくれないの?」
「違うわ!何でやねん!」
「良い突っ込みね…。でも私知ってるわよ?そうやって他の女の子にも何度も突っ込んで」
「わざとかぁああ!!」
「ええ♪」
「反省してねぇえ!」
「……………zzz……」
「寝るなぁあ!!」
いかがでしたか?
いやあ!
久々にユウトがひどい目に会って、
マリナさんはドSに輝いていました!
書いてて楽しかったです!
さてさて
次は出来れば6時ごろにお会いしましょう
次回物語は急展開を!