第十一物語 「itemは苦労して手に入れたのに…」
では、第二章!
行ってみよう!!
「はぁ…」
やっと、着いた…。
くたくたである…。
「マリ姉?そろそろ解除してくれない?」
「仕方無いわね…」
その声を聞くと共に体が軽くなったのだ…。
指輪の重力倍化が解かれたからである…。
とあるダンジョンをクリアした俺達はそのダンジョンの一番近くの村に来ていたのだ…。
今はまだ夕方…。
村の前で、立ち止まる。
「どうするマリ姉?」
これから、何をするのか決まってない…。
無計画だ~。にゃはは。
「とりあえず、質屋さん的な所に向かわないと…、この世界のお金なんて持ってないわよ…?」
「あ、そっか…」
金が無ければ宿も取ることは出来ない…。それはマジ勘弁…。
幸い、こちらには金と銀が沢山ある…。
なら、行くっきゃない。
「でさ、マリ姉?」
「なに?」
「質屋どれ?」
「知らないわよ…。そんなこと…」
「ですよね~」
それは、困った…。
つうか、見た感じどの家も同じだからわかりようがねぇ…。
「聞いてきなさいよ?ユウちゃん?」
「はぁ~い…」
そこら辺の村人を探して、同い年の女性に話しかける…。
……………………。
~ マリナ side ~
「で、なにか言うことは?」
「本当に申し訳ありませんでした!」
私は今、怒っていた…。
何故かと言うと…。
「私はどのくらい待っていたと思ってるの?」
「返す言葉もありません」
頭を90度ピッタシ下げるユウちゃん…。
あれから、30分は帰ってこなかった…。
人が見つからなかったならまだ分かるのだけれど…。
「会話楽しそうだったわね~?」
「すいませんでした!」
ユウちゃんは一人の女の子との駄弁りに30分もかけたのだ…。
しかも、二人ともすごく楽しそうに!
どうしたら、あんなに初対面スキルが身に付くのかしら?
ナンパじゃないのよ?
笑顔が止まらないわね…。
「ひぃ……!」
私の笑顔を見たユウちゃんが怯えてるけど気にすることじゃないわ…。
「あの子…、手ぇ振ってたわよね…?」
コクコクと頷くユウちゃん…。
「つまり、それだけ仲良くなれていたのに寛仁なことは聞かずに私を待たせていたのよね~?」
頭を思いっきり下げるユウちゃん…。
「すいませんでした!すっかり、使命を忘れてました!」
「へぇ~♪」
使命を忘れて、待たね!って言い合うほど仲良くねぇ…。
その後頭部に蹴りを落とす私…。
ドスッ!と鈍い音がする…。
ユウちゃんは地面にめり込んだ…。
私は本当は余り、怒ってはいないのかもしれない…。
だって、あれ、ノリでやっちゃった♪
テヘッ(*'-')
まぁ、怒っていたのは、間違いじゃない……。
自分の好きなゲームを目の前で30分間プレーするのを、ただただ見せ付けられる感じだろうか…。
とにかく、不愉快にはなる…。
と、まぁ、ふざけるのは止めにして…、すべき事をしないといけない…。
今私達は鑑定屋と言われるアイテムを鑑定したり、換金してくれる場所に来ていた…。
「いらっしゃいませ…」
女性の店員が出迎えてくれる…。
「すいません、換金頼めますか?」
「はい。どちらの品でしょうか?」
「これを!」
そう言って、使える分の15分の1程の金と銀を出すユウちゃん…。
「はい…?……」
いや、駄目でしょ…。
ほら、店員さんがポカーンとしている…。
「え、?本当にこれをですか?」
我に返った店員さんが、質問してくる…。
この村は、そこまで大きい訳無いじゃない…。
そこに金と銀を持ち込んで…、どうするのよ?
「うん…。お願いしたいな~」
「いえ、でも家にはこれを換金出来るお金は…ないです…」
やっぱり、そうでしょうね…。
どうするのよ?ユウちゃん?
「うん。換金出来るだけで大丈夫だよ!」
笑顔でそう言うユウちゃん…。
いや、何言ってるのよ…。
アホなの?
こんなの普通に考えたら、相場が分からない良いカモよ?
「でも、私が嘘を…「つかないよ?」…え?」
「君は嘘をつかない…。目を見れば分かるからさ…。だからさ…。お願いするよ…」
「……は、はい…。分かりました………」
そう言って奥に行く店員……。
おそらく、お金を取りにいったのだと思うのだけれど…。
「ユウちゃん?どういうつもり?」
私はユウちゃんに聞いてみる。
「どうも、何も…、ボランティア…かな?」
「……?」
「いや、さぁ…。病気のお母さんの為に、店番やってる優しい子。とても誠実で真面目に頑張る素直な子。だったら良いな~と。そんな子だったら手を貸したくなるよね?あと、笑顔にも~」
「ああ…」
そう言うことね…。
ユウちゃんはさっき30分も立ち話をしていた…。
その時、この事を聞いたのだと思う…。
そして、今言ったことは事実で、助けたいと思ったのだろう…。
このお人好しは…。
無駄に話してただけじゃないのね…。
ちょっとだけ…、ちょっとだけ後悔してしまった…。
「あいて!……何すんのマリ姉?」
「ご褒美よ」
私はデコピンをユウちゃんの額に軽くあてたのだ。
「はぁ~、ありがとね」
ため息を付くユウちゃん。
だけれども、その顔は笑っている…。
「お待たせ致しました…」
店員さんが戻ってきた…。
「来たわよ?」
「オッケー」
「こちらが、引き換えになります…」
そう言えば、こっちの世界のお金の単位ってなんなのかしら?
って!
「通貨円かよ!いや何で、円なんだよ!いやさ、せめて$だろ!何で円!なんなのこの異世界!何で、ファンタジー感ぶち壊してくれるのよ!」
同感ね…。
「……っ!」
ユウちゃんが、ツッコミ、店員さんが突然の叫びに怯えている……。
まぁ、気持ちは分からなくも無いけれど…。
円って……。世界観ぶち壊しよね…。
「あ、あの…、どうぞ…」
おずおずとユウちゃんに18万円程渡す店員さん…。
大丈夫よね?あれ?
換金したから利益は出ただろうけど…、今日のあの子の晩御飯代とか入ってないわよね…。
あの子はあの子で他の所に持っていかないと給料が出ないのよね。
「では、換金出来なかった分はお返しします…」
「あ、良いよ…」
「え?あの…」
「釣りは取っときな~」
いや、それはお金払うがわのセリフよ…。
「あ、いえ…、頂く訳には…」
律儀ね…。
「だが、断る!」
……律儀ね…。ネタに…。
「あ、ですが…」
「じゃあ、このアイテム鑑定してくれない?それで、手を打とう!」
そう言って、グーをしながら決め顔…。
正直、いらっとするわね…。
「あ、ありがとうございます!」
それでも、店員さんは律儀な様で何度もお礼をする…。
ここは、私の出番ね♪
「大丈夫よ。こんなのに頭を下げなくて」
「ひど!え、俺に何の恨みが!?」
「足で踏む位が丁度良いんだから」
「ドS!!いや、ここで出さなくても!つうか、無視すんな!」
「貴方も大変ね…。こんな客を相手にするんだから」
「辛辣!?やめて!ゴミを見るような目で見ないで!」
ユウちゃんはガクガク震えながら、床に座り込む…。
「掃除が大変ねぇ…」
「うわぁ~ん!」
ユウちゃんは泣きながら走り去っていった…。
あ、こけた…。
締まらないわね…。ユウちゃん…。
その様子にクスリッと店員さんが笑みをこぼす。
「仲が宜しいんですね」
「ええ…」
遠くから宜しくねぇ~!と聞こえた気がするけれども、気のせいだろう…。
まぁ、ユウちゃんも本望なんじゃないかしら?
この子が笑ってくれて…。
「私の従兄弟は、馬鹿なのよ…」
「そうみたいですね…」
笑いながら応対する店員さん…。
今頃、泣いてるんじゃないかしら?
「だから、笑ってあげてくれない?それだけで満足するから…」
「はい。お陰さまですっかり笑顔です」
心からの笑顔で対応してくれる店員さん…。
もう、ユウちゃんの目的は良さそうね…。
なら、この黒い指輪を見てもらわないと。
「じゃあ、この指輪をお願いできるかしら?」
「はい」
私が指輪を前に付き出すと、店員さんが両手をかざして目を瞑る。
店員さんの手を淡い黄緑の光が包んでいて、その光が黒の指輪も包み込んでいった…。
しばらく時間がたち、「分かりました」と店員さんが言った…。
「これは、凄いです…。Bランクのアイテムです…」
「Bランク…」
この世界のアイテムにはランクがある。
まず、通常のアイテムにはA~Fのランクがつく。
勿論、Aが最良、Fが最低だ…。
本当はもう少し詳しいく、正確には更にランク事に三段階に分類されて、シングル、ダブル、トリプルとなるのだけど…。
詳しいことが分かる能力者はなかなかいないらしいのだ…。
ちなみに店員さんは驚いているが私の鞭も同じランクだ。
そんなことを考えていると、店員さんが話し出す…。
「能力は想いを重いに変える事ですね…。」
「どういうことかしら?」
店員さんの説明の意味が良く分からなかった…。
「この指輪は持ち主の相手への好きや仲良くしたいなどの+(プラス)の好意感情の強さの分だけ、相手の重力を増やせるんです。家族や友達、恋人や大切な人の…。余り、使わないとは思いますが…。相手の事をどれだけ好きか分かりますよ?」
~ ユウト side ~
一体何があったんだ…。
「どうしたの?ユウちゃん?」(ニコニコ)
ま、マリ姉が…。
ウフフ~って交換音が付き添うな程の笑顔だ…。
「ま、マリ姉?」
「なぁ~に?ユウちゃん~」
な、な、な、何があったぁあ!!
いや、何があったってレベルじゃねぇよ!地球災害レベルだよ!!
国防相を呼べぇええぃい!
「あの、次はどの品を?」
なんか、店員さんもニッコニコだよお!!
何、あの微笑ましい物を見るような目!!
いや、笑顔にしてあげられたらな~、とか下心で思ってたよ?
でもさ…、あれはなんか違うぅ!!
いや、良いんだけどさ!
「ほら、ユウちゃん?アイテム鑑定してもらったら?」
「あ、う…うん…」
とりあえず、十字のネックレスを差し出す…。
内心、納得なんかできてないけど…。
店員さんがアイテムに手をかざす…。
一体どんな能力なんだろう…?ワクワク…。
「……………」
……………。
あれ、どうしたんだろ?店員さん固まってる?
「あ、あの…?」
「………………」
……………………。
何で、返事がないんだ?
「………」
「………………」
いや、え?
何で、無反応!?
「わ、わかりましたよ…」
ようやく反応した店員さんからそんな言葉が漏れる…。
心無しか汗をかいているようだ…。
そして、次に放たれた言葉は驚きだった…。
「ランクについては、分かりませんでした…。新種かもしれませんねぇ~」
「え?」
なんだそれ?分からないならともかく…、新種?
つまり、今まで調べたことのない能力を持っているってことか?
「一体どんな力なんですか?」
期待を込めたセリフだった…。
新種と言うならば、どれだけ強いのか気になったからだと思う…。
だけどそんな期待はすぐに打ち砕かれた…。
「能力は分かりませんでした…」
「そうですか…」
優れた物は余程の強者じゃないと判定しずらいと老人に聞いた…。
それだけ強いのか…。
「使用条件だけは分かりましたけど…」
「本当ですか?」
そのセリフに更に驚く。
ナターシャさんから稀に魔術師しか使えない等の条件付きのアイテムがあると言っていた…。
その分数が少ないとも…。
それだけ、レア度が高いアイテムなんだろう…。
そう考えていると神妙な面持ちで店員さんが語りだす…。
「使用条件は……」
「使用条件は?」
「無能力者であることです…………」
「へっ?」
無能力者?だって…?
いや、待て……。
確かに異世界から来た俺達は無能力だった(・・・)…。
だから、あのダンジョンに有るのは分かる…。
でも、さっき俺達は能力を手に入れなかったか?
それじゃあ……。
「おそらくですけど…」
更にこの世界に無能力者なんていない…。
ならば、只の役立たづにならないか?いや、カッコいい見た目だけれどもさ!
おずおずと話し出す店員さん…。
「新種は新種でも新しいランクの物で………」
「…新しいランクで…?」
ゴクリと唾を飲み込む俺…。
マリ姉は相変わらず、微笑んでいて話を聞いていない…。
そんな中、店員さんは無情な言葉を紡ぐ…。
「このアイテム……、ランクGじゃないんでしょうか?」
はい!
いかがでしたか?
非常にドンマイだね!ユウトさん!
今回は特に話すことないので終わります
続きは12時ごろ出せるかな?