戯言物語 「存在しないプロローグ」
物語には必ずしも主人公がいる。
というより、居ないと始めることも終わることも出来ない。
それは、男の子でも、女の子でも、子供でも、大人でも、老人でも、成人でも、悪人でも、男の娘でも、頭脳は大人でも体は子供でも、じっちゃんの名にかけてでも。
主人公がいる。
だが、それが主人公かと問われると、必ずしも全員そうでは無いと思う。
悪人の殺人日記だってあるし、大人の経済学みたいなもなだ。
そう言うのは、俺は便宜上語り手と読んでいる。
語る手と書いて語り手。
一先ず、語り手の話は置いておいて主人公の話をしよう。
ヒーロー。
英訳では主役となるが、日本に生まれた現代人なら、別のイメージを持つ。
正義の味方。
選ばれた者の力を持っていたり、誰かのピンチを助けたり、誰かから頼られていたり……。
そんなヒーローだが…、始めに言っておく。
俺はヒーローではない。
先程の後者であり、語り手なのだ…。
誰もが憧れるヒーローに憧れて、現実に潰されそうになって、現実から目を反らした。
そんな偽者なのだ。
どうしようも無く理不尽な世界を引っ掻き回す。
どちらかと言うと、悪役の方が似合う語り手なのだ。
だから、今回の物語は…………。
世界に振り回されて、
ヒーローになれなかった少年の、
ヒーローごっこの物語。
本物に憧れて、手を伸ばし、諦めて、悟った、どこにでもいる少年の語る物語。