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第4話 村の壊滅

ユロンが泣き疲れて眠ってしまってからしばらくして、辺りがうす暗い中一台の馬車が村に入ってきた。


村の広場で馬車が停車すると、中から十数人の鎧を着た兵士が降りてきた。


「これより状況の確認と生存者の捜索を行う!では、散開!」


最後に降車した隊長と思われる男がそう告げると、兵士たちは散らばって行った。


彼らはユロンが昼間出掛けていた街――マルクニスの兵士たちである。


「ふう。今はこんなことをしている場合ではないというのに、厄介なことだ」


男が呟くと近くにいた一人の兵士がそれを嗜めた。


「そうのようなことは仰らないで下さい、ガイール隊長。この村は我々の管轄なのですから」


実際、ガイールは薄情なわけではなく、村の壊滅が掠れてしまう程の事件がマルクニスでは起きていた。


「それに姫様を攫った賊はこの村を通った可能性もあるのです。これが奴等の仕業だとしたら、生存者は有力な情報ともなります」


マルクニスはクエリオス王国の第三王女が統治しているのだが、その王女が王都から帰還する途中で隣国と繋がっていた護衛に裏切られ、誘拐されてしまったのだ。


「わかっている。いや、すまなかったな。気持ちばかりが前に出ていたようだ。礼を言う、ニナ副隊長」


「いえ、出過ぎたことを申しました」


「フッ相変わらず真面目だな。あまり真面目すぎると男が出来ないぞ。この前も師団長殿が勧めた見合いを蹴ったらしいじゃないか」


ガイールが仕返しとばかりにニナの弱点を攻める。


「なっ!からかわないで下さい!今はそのような状況ではないのですから。

それに前回の男性は女癖が悪いと噂されていた方だったので、それを確認する前に話をを進めることは良くないと判断したまでです」


ニナは初めて感情らしい感情を出して慌てていた。


「ハハ、悪かった。ふう。それにしても…確かにひどい有様だな」


ガイールは改めて周りを見渡した。


そこにはあまりにも惨たらしい死体がいくつもあった。多くは老人だったが、中には赤ん坊までもが殺されたというより嬲られて死んだような状態で死んでいた。


その光景はの戦争を経験したガイールでも口を押さえたくなるもので、戦争を経験したことのないニナのような若い世代には少々刺激が強すぎるものだった。

今も遠くから兵士が嘔吐する声が聞こえる。


そんな光景を目の当たりにして平然としていられるニナは尋常でない精神力の持ち主だ。

副隊長を務めていることからもその実力が窺える。


(姫様どうかご無事でいて下さい)


この惨状を見て弱気になっていたガイールの元に、一人の憔悴しきった兵士が走り寄ってきた。


「ほ、報告します。生存者なし。村人は全員殺されています。

傷口や太刀筋から推測すると、下手人は我が国の訓練を受けた者と思われます」


「そうか。ご苦労だった。顔色が悪いぞ。少し休んでろ」


「はっ。御心遣いありがとうございます」


ガイールは報告に来た兵士を下げてから報告の内容を吟味した。


(クエリオスの訓練を受けた者、か。おそらく姫様を攫った賊だろう。

この村に立ち寄ったということは、隣国のムラトニア帝国に向かっていることは間違いないな。最悪、もうムラトニアに着いているかもしれんな)


「この国の者ということは下手人は奴等でしょうか?それにこの方角、ムラトニアに向かっているようですね」


「ああ。おそらくそうであろう。だが……」


ニナも同じ事を考えていたようで、ガイールに確認をしてきた。


(何故村人を殺した?村など入らずに通り過ぎてしまえばよかったものを…そこが引っ掛かるな)


ガイールが思考を巡らせていると、遠くで兵士の声が聞こえた。

ガイールたちがいるところのちょうど反対側だ。


「生存者がいたぞ!」


その場にいた全員がその声に反応し、急いで声がした方へと向かって行った。

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