大剣豪 一話 剣豪 1−3
剣豪の衣服は黒い直垂。
しかし、俺はまだ黒い直垂を着れない。
まだ剣豪で無い者は、白い直垂を着る。
この学校にいる生徒は、当然皆白い直垂を着ている。
明日で黒い直垂を着れる様になるのを願うばかりだ。
政府直轄の学校に通い始めて8年間、もう俺は16歳だ。
明日の卒業試験に落ちれば、後輩と一緒に授業を受ける事となる。
それだけは真っ平ごめんだ。
俺のプライドを傷つける事はなんとしても避けたい。
俺が思いにふけっていると、
グランドは白い直垂の生徒でいっぱいになった。
「明日は、おめえらの運命を握る卒業試験だ。
落ちた奴は留年、受かった奴は剣豪として任務を遂行する事になる。」
岩崎は必要以上に大きい声で喋る。授業の時はいつもそうだ。
「今日の授業は、剣の素振りだ」
グランドは反感の声で満ちた。ブーイングの嵐。
俺も正直岩崎の案には反対だ。
卒業試験を前に素振りというのは馬鹿にしているのだろうか。
岩崎はとてつもないブーイングにひるまず一喝した。
「黙れ! 素振りは基礎が詰まっているんだ!
卒業試験の前には素振りはうってつけなんだよ、馬鹿!」
ただでさえ、岩崎の声は馬鹿でかいのに、一喝するとなると、
鼓膜が破けそうだ。
「各自、木刀を持ち素振りに励め!」
周りはダラダラして嫌そうな顔して、
隣の者と愚痴を言いあっている者が多い。
そんな中、俺は木刀を手に持ち、素振りを始めた。
俺は、今までの苦労を無駄にしたくない。
素振りと言えども、全く効果が無いわけでもない。
俺にはサボっている暇は無い。
「おい、見ろよ。神童が素振りやってるぜ。
どうせ何やっても駄目なのにな」
「ああいう奴って、痛いよな」
わずかにだが、その言葉は俺の耳に届いた。
腹のそこから燃え上がってくる物があった。
腹のそこから燃え上がってくる物を、俺は拳の力にした。




