表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/1

第九話 「野球部新チームで主将?」

 主人公ハルトがプロ野球選手を夢見てソフトボールから軟式~硬式野球へと取り組み、活躍してプロ野球選手となる物語。しかし、プロ野球選手として全盛期の時期に病に倒れ、プロ野球選手としては選手生命を絶たれてしまう。

 だが、いつも寄り添ってくれる妻ナミがハルトを支え、苦悩を一緒に乗り越え、プロ野球選手ではなく、指導者として歩み続けて行き、プロ野球選手を育てるという新たな目標に向かって走りだす。

 夏休みは残り少なく、明日からナミと宿題を片づけたり新学期に備えていた。

 甲子園行くと夏休みは減り、寂しい気持ちにもなるが「あの経験はそう誰でも出来る事では無い」と大石先生に言われた事を思うと不満は満足に変わった。

 翌日、朝飯を済ませ、ナミのマンションに出掛けた。

 ナミから「野球が強くなると勉強が疎かになるのはわかるような気がする」と初めて野球と勉強の両立が難しい事を理解したと話していた。

 まあ、そんな事を言っても高校生だからやるしかないけど、ナミのおかげで何とか留年しなくて済んでいるのは明らかだ。「ナミ、いつも有難う」


 夏休みが終わり久しぶりの学校だが、俺達野球部員は高校野球全国大会の準優勝となったため、全校生徒やこの地域でも有名人となっていた。

 おまけにマスコミ等が取材に来たりでしばらくは落ち着かなかった。

 その後、高校野球選抜(U18)に選ばれた部員が発表されたが、勉強の遅れ等を理由に参加を辞退させていただいた。

 U18に参加すると海外遠征があり、約二週間程学校から離れるため、ナミは「辞退した方がいいかも」と話していた。

 その後は、秋の大会や期末テストもあり休まる暇が無かった。

 勉強では、ナミの存在は大きく、なくてはならない存在だった。


 練習は再開し、練習の無い日はナミと一緒に勉強していた。

 練習後に監督から秋の県大会日程の説明があり、新チームの編成が発表され、「新キャプテンは、ハル頼むぞ」と言われた。

 「えッ、俺?」と驚くが皆はうなずいていた。

 「わかったよ、皆よろしくお願いします」と言うと皆拍手していた。

 ベンチ入りの選手が発表され、俺はショートで変わらず、新エースはマサトで甲子園(春夏)特に夏の活躍は監督も高評価で、抑えはケンとなった。

 監督はマサトとケンを組み合わせて投げさせたいと熱く語っていて、中継ぎは三名が指名された。

 他のポジションも決まりミーティングを終え、シャワーを浴びて帰宅した。

 ナミにメールで報告すると「納得だわ」と返ってきたが、俺は不安しかなかった。

 後にナミは「キャプテンだからと言ってもハルは普段通りでいいんじゃない?」と話していた。

 確かに変に意識しない方がいいと思っていた。


 今年の大会は「春・夏甲子園出場校の準優勝校」というレッテルを貼られているだけにどの高校も俺達を相当意識して試合に望んで来ると思っていた。

 俺達はいつものように無理をしない練習を続け、後は精神的な強さというか平常心で試合に望めるかが鍵だ。

 また、俺の目標は「高校野球全国優勝」では無く、あくまでも「プロ野球選手になる」なので、もっと先を目指している事を常に意識して怪我の無い野球を心掛けた。


 秋の大会初日の一回戦が始まった。

 俺達は第二試合で先攻から始まる。

 俺は三番ショートで初回に一・二番の一年生は足が早く、塁に出れば足でかき回す作戦だった。期待通りにフォアボールと内野安打で三・一塁となり、俺の打順だ。

 初球は内角高めで二球目を狙うと、ライト前に落ち一点が入り、三・一塁のまま四番はセンターオーバーのツーベースヒットで更に二点が入った。

 その後も二点が入り、初回から五点を入れエースのマサトとケンの好投もあり、七回七対0のコールド勝ちとなった。

 新チームは順調に一回戦を突破でき、皆自信に繋がった。


 二回戦は明後日で、第一試合(後攻)との事だ。

 二回戦は天気が良く、皆気合が入っており、監督は「落ち着いてこの試合も勝つぞ!」と話し守備に着いた。

 この試合は、マサトの先発ではなく一年生トウマが公式試合初登板だ。

 球速はそれ程ではないが、制球と変化球が良いとコーチが話していて監督が先発で登板させたかったようだ。

 マウンドに内野陣が集まり、トウマを落ちつかせ試合が始まった。

 初球は高めの投球だが、徐々に制球が良くなり、内野ゴロを打たせていた。

 三人全てを内野ゴロとし、変化球がいい所に決まり、立ち上がりは良かった。

 その裏、俺達は打線が爆発し、六点を叩き出すと二回表・三回表とトウマは落ちついて投げ切り、0点に抑えでマウンドを降りた。

 俺達は三回裏の攻撃で二点を追加し、四回からは早くもケンが登板して七回までニ安打無失点で切り抜け、チームは二試合連続の七回コールド(八対0)で快勝した。


 三回戦は翌日の三試合目で先攻となり、マサトが登板した。

 この日は両チーム投手戦となり、五回裏が終わり0対0だった。

 六回表に俺の打席から始まり、初球が左足にデットボールで出塁した。

「プロテクター付けてて良かったよ」とプロテクターを勧めてくれたマネージャーに感謝だった。

 実は夏の大会まで俺は左足に付けるプロテクターが苦手だった。

 凄く違和感があったので付けなかったが、今大会からマネージャーに改良してもらい着けるようになった。

 前程の違和感が無く「これならいける」と付け始めた。


 続く四番は甘く入ったカーブをレフトスタンドに運び二点が入った。

 これが決勝点となり、八・九回はケンがリリーフで六人をきっちり十球で打ち取り二対0で勝った。

 試合が終わってマネージャーに感謝すると「今度の試合から肘用も着けてネ」と言われ、肘用のプロテクターも渡された。

 初めて付けたが軽く違和感が無かった。

 マネージャーに「有難う」と伝えベンチを出た。

 準々決勝は明日の第二試合だ。


 翌日、朝から小雨だったが、学校に着くと小雨は午前中に止むようなので予定の二試合は時間が遅れるが行うとの事だ。

 十時半頃に雨は止み、バスに乗り込み球場へ向かうとグランド整備が行われていた。

 監督が「試合はできるが、特に内野の打球には注意する事」と話していた。

 こういう時は内野の打球が少し遅くなるので捕球のタイミングに最初は慣れなかった。

 それでも二試合目だったので土の湿り気もそれ程気にならなかった。

 第二試合が始まり、俺達は後攻で先発は二回戦で先発したトウマが登板し、ミキト・ケンが続くようだ。

 俺達は守備に着き、トウマのピッチングを見守った。

 立ち上がりは変化球が少し冴えなかったが、徐々に変化球が決まり、初回を四者で抑えた。

 俺達の攻撃は一・二番がフォアボールと送りバントで走者が二塁。

 俺はセカンド方向に転がし、走者を三塁に進めた。

 四番がライト前に運び、一点を先制した。

 続く五番が右中間へツーベースヒットで三・一塁となり、六番が内野安打で一点を追加し0対二で初回を終えた。

 その後、四回表にトウマが打たれ二・一塁となり、二番手にミキトが初登板した。

 ミキトは低めをつき、内野ゴロでゲッツーを取ると次の打者を三球三振に仕留めた。

 その裏、二番からの打順でレフト前ヒットで出塁し、俺は左肘にデットボールで二・一塁となった。

 四番がセンター前に運び、スタートが早かった二塁走者は三塁を廻りホームインし0対三となった。

 その後は両チーム点が入らず、八回表にケンが登板した。

 ケンのストレートとスライダーが決まり、0対三で逃げ切った。

 俺はベンチに戻り、マネージャーに頭を下げ、「肘のプロテクター、有難う」と感謝すると「備えあれば憂いなし、でしょ!」と言われ、俺は感謝しかなかった。

 このマネージャーはナミのお友達でコトミという子で俺の試合内容等は全てナミに筒抜けだった。

 試合が終わったのは十六時頃で薄暗くなっていた。

 準決勝は明日の第二試合との事だ。

 俺は大石先生宅に帰宅し、先生と奥さんに報告すると奥さんが「ハルト君が甲子園に行けたらまた私も応援に行けるネ」と話していた。

 こういう話しをされると何としても優勝して甲子園に来てもらいたかった。

 先生は何も言わなかったが奥さんと同じだと思っていた。


 翌朝、かなりの大雨で、マネージャーからメールが入っており、今日の試合は中止との事だ。

 奥さんに学校まで送ってもらい、今日は授業に集中していた。

 ナミは「今日、授業終わったらうちで一緒に勉強しよう」と言ってきた。

 俺は試合が多かった分、授業が遅れていた事もあり、ナミが一緒に勉強してくれる事で勉強の遅れを少しでも取り戻したかった。

 授業が終わり、ナミのマンションへ行き、一緒に勉強していた。

 俺が授業に出れなかった科目毎の詳細がわかりやすく書かれたノートを貰い、それに沿って習っていた。勉強は十九時頃まで行い帰宅した。


 翌朝、天気は良かったがグランドのコンディションが悪く、球場がドーム球場に変更になったとマネージャーからメールが入っていた。

 学校に着くとバスに荷物を入れ、ドーム球場の室内練習場で練習すると話しており、十時前には球場へと向かった。

 球場に着いてから室内練習場で身体を解し、相手チームとかぶらないように守備練習等の練習をしていた。


 第一試合が終わり、ベンチの入れ替えをし荷物を入れ、素振りやキャッチボールをしていた。

 体調は万全だし、さっきマネージャーからバナナを二本貰って食べて試合開始を待っていた。俺達は先攻で十三時半に第二試合は始まった。

 初回は三者凡退で終わってしまった。

 何か相手ピッチャーとのタイミング合わず俺達は四回まで0点だ。

 相手チームはマサトの先発に内野ゴロの連続でそれも俺の所ばかり打球が来ていた。

 俺はノックを受けている気分になり、フットワークは軽かった。

 両チームノーヒットのまま0点で五回表は九番の攻撃だ。

 相手チームは二球目からピッチャーが交替となり、何かアクシデントなのかわからないが二番手のピッチャーが投球練習を始めた。

 プレイは再開され、初球を一塁線を抜くツーベースヒットでチーム初ヒットとなった。

 続く一番がデットボールで二・一塁、二番がセンター前に運び満塁となった。

 「ハル、チャンスだ!」と監督が言うと俺は初球の高めをフルスイングの空振りで「ハル、落ち着け!」と監督は興奮して言うので俺は「タイム」を取り、バットに滑り止めスプレーして打席に戻った。

 二球目の高めを見逃し、三球目をジャストミートし、左中間にツーベースヒットで二点が入った。

 続く四番はライトオーバーのツーベースヒットで二点が追加され、この回は四対0となった。

 その後、両チーム点が入らず、八回裏ケンが登板した。

 俺達のチームの勝ちパターンだが、この日のケンは制球が定まらず、二個のフォアボールとヒットで一点を返され、四対一となり、続いてツーベースを打たれ一点が追加され四対二となった。

 内野陣はマウンドに駆け寄り、ケンを落ちつかせるが監督はピッチャー交替を告げ、二年生の控えシンヤに替えた。

 シンヤは公式戦初登板で身長百八十六センチでストレートとスライダーが武器だ。

 投球練習をしてノーアウト二塁。先頭打者を内野ゴロに打ち取り、続く打者を三振、その後も内野ゴロに仕留め、完璧な投球だ。

 最終回表、八番から始まり、レフトフライ九番がセンターフライとなりツーアウト。

 一番がフォアボールで二番がセンター前に運び、俺の打順だ。

 俺は後一点あれば、うちのピッチャーは楽になると思い、粘りに粘ってライト前に運んだが、打球が強過ぎて二塁走者は三塁に留まり、ツーアウト満塁で四番はフォアボールとなり、ラッキーな押し出し一点が入った。

 その後、五・六番がヒットで繋ぎ二点が追加され、七対二となった。 

 しかし、九回裏相手チームも粘りを見せ二点を入れるが追加点はここまでで、七対四と逃げ切って勝利した。

 試合後、ベンチ内の荷物をバスに入れ終わり、ケンが俺に「すまん、足やっちゃったかも?」と言ってきた。

 「えッ?どの足?」と聞くと「左足首なんだ」というのでバスとは別にタクシーを呼び、以前ナミと行った病院に向かう事にした。

 病院に行く途中にナミに電話し「ケンが左足首を痛めてこの前の病院に向かっているけどナミから病院に電話してくれない?」と頼んでみると「わかった、すぐ電話する」と言うので俺達はそのまま病院へ向かった。

 ケンは痛めてから数球投げて制球が定まらないと意識した所、監督に悟られ交替となったようだが、痛みを堪えて早く誰かに言えば良かったのだろうけど言えなかったようだ。

 ケンを攻めるつもりも無く、話しを聞いてすぐ先生に診察してもらう事にした。その後、ナミとマネージャーのコトミが病院にやって来た。

 俺達は待合室で待っていると看護師が来て、ケンの足首の靭帯がかなり損傷していると話しており、俺は「ナミ、俺にしてくれたような手術できるのか先生に聞いて欲しい」と話すとナミは看護師と先生の所に行くのだ。

 数分後ナミは「手術できるって言ってたよ。ケンにハルから聞いてよ」と言うのでケンに手術の事と俺が同じ手術をして回復が早かった事を話すとケンは「お願いするよ」と言うので先生に手術をしてもらう事になった。

 コトミは監督とケンの親に電話し事情を説明していた。

 ケンの手術は終わり、ケンの母が病院にやって来た。

 ケンは今日入院するが明日は退院でき、三・四日ケンは休養する事になった。

 ケンとケンの母とお別れし、俺達はタクシーで帰った。

 「コトミ、ナミ、有難う。明日の決勝戦はケンの分まで頑張るよ」と言って俺は大石先生宅に帰った。


 翌日も雨だったが、ドーム球場で十三時から決勝戦となる。

 全校生徒応援となり、俺達部員はケンの分まで頑張ろうと誓った。

 試合は俺達が後攻だったので守備に着き、先発はマサトで球速、制球共に抜群な立ち上がりを見せた。

 初回裏、一番が左中間を破るツーベースヒットで続く二番が一塁線へ打ち、走者は三塁で俺の打順だ。

 内野が少し前進だったのでセカンドの頭上を越しライト前に落とし一点が入った。四番はレフト線へツーベースとなり三・二塁で五番がセンター前に運び一点を追加すると六番がセンターフライで更に一点が入り、0対三でこの回を終えた。

 二回以降もマサトは好調で最長の六回を0点に抑える好投だった。

 打線は二・三回に一点づつ入れ六回裏が終わり0対五となった。

 七回をトウマが投げ、八回をミキトが投げ二点を取られたが、最終回はシンヤが昨日の汚名返上と三者連続三振に打ち取り二対五で逃げ切り、秋の大会二年連続優勝となった。

 スタンドから応援してくれた皆へ整列して一礼し手を振り感謝した。

 ベンチに戻り、マサト、トウマ、ミキトと喜び、全員で表彰式となった。 

 皆に「甲子園常連校」と言われ、プレッシャーは大きかった。

 表彰式の景品等と荷物を持ってバスへと移動した。

 バスの中で「明日・明後日は休みだ!」と皆は身体が休めるとホッとすると腹減りボーイ達の「腹の虫」は一斉に鳴り出し「腹減った」となった。


 学校に戻り、部室へ荷物を運び、ユニフォームを洗濯しバットやヘルメットを磨き、片づけを済ませると監督が「食堂に集まれ」と言うので、俺は大石先生の奥さんに「外で食事会があるので晩飯無しでお願いします」と連絡を済ませ、食堂に行った。

 食堂には食べ物が並び、校長から「祝賀食事会は来週行うため、今日はこれを皆で食べて呑んでもらいたい」と話しがあり、これは野球部OBのからの差し入れとの事だ。

 「いただきまーす」と皆で腹パンになるまで食べ、休憩してからそれぞれ帰宅した。

 俺はシャワーを浴びて帰ろうとした時、ナミがタクシーでやって来てケンを連れて来たのだ。

 松葉杖のケンは「優勝おめでとう」と皆に言うと皆は「ケン、早くグランドに帰って来いよ」とか「地区大会は一緒に闘おう」とか皆ケンを励ましていた。

 ナミは「ケンを送ったらここに帰って来るから待っててネ」と言ってケンの家に行った。

 俺は守衛室でナミを待っているとタクシーでやって来て「ハル、帰るよ」とタクシーに乗り込み帰ったが、ナミのマンションで拘束された。

 ナミは俺に色々話したかったようでなかなか帰してくれないのだ。

 ナミは俺達の優勝を誰よりも喜んでくれた。

 その後、少しだけゲームをして釈放され、「明日・明後日は一緒に勉強だよ」と言われ「アッ、そうだ」と思い出した。

 大石先生宅に二十一時過ぎに着き、「すみません、遅くなりました」と言うと奥さんが「ナミさんと一緒だったんでしょ」と察してくれた。

 俺は優勝の報告をして大石先生から「来年のセンバツにまた行きたいなあ」と穏やかに言われ、「頑張ります」と言ってから就寝した。


 翌朝「アッ、寝坊した!」と起きたら八時で、「あー、ビックリした」と一人で喚いていた。

 顔洗って歯磨きして、朝飯喰って、部屋の掃除をしてからナミのマンションへ行った。

 ナミは今日と明日の勉強スケジュールを俺に見せ「今まで遅れている所を重点的にやるよ」と一つ一つ丁寧に教えてくれた。

 昼飯はサンドイッチのみで睡魔が来ないようにブラックコーヒーを呑み、勉強に集中していた。

 その後、腹ペコ虫が鳴るが耐えて十八時まで予定通りの勉強を行い、勉強の成果をナミ作成の小テストをやって勉強を終えた。

 小テストの成績は良かったので、ナミは「ご飯食べに行こう」となった。

 俺は大石先生の奥さんに晩飯を断っていなかった事を言うとナミは「昼頃、大石先生の奥さんに電話したよ」となり、ナミにはいつも脱帽なのだ。

 明日も同じなのでその事も伝えていると話していた。

 ホッとした所で益々腹ペコとなり、ナミと行った先は高級中華店だ。

 「俺、こんな格好でいいの?」とナミに言うと「大丈夫、個室だから」と言って店員さんに奥の個室に案内された。

 五・六人入れる個室でナミは「お任せにしてあるから」とさりげなく言い、待っているとお茶やジュースが運ばれて、見た事も無いような料理がズラリと並んだ。「さあ、ハル食べて」と言うので「いただきまーす」と皿数枚に色々取り分け食べていた。

 その後、マンガ盛りのご飯が来て腹パンになるまで食べていた。

 ナミは「優勝のお祝いだよ」と言い、紙袋も渡された。

 紙袋の中身はバッテグロ三組、リストバンド三組バンダナ七枚等、野球で使う物が色々入っていた。

 「ナミ、いつも有難う」と言うと「また、甲子園に連れてってネ」と言われ「任せなさい!」と答えるとナミは喜んでいた。

 店を出て、「明日もあるから、今日は帰ろう」と言うとナミは素直に頷きタクシーに乗ると行先はやっぱりナミのマンションだ。

 「え?今日も拘束されるのか」となり、大石先生宅に帰ったのは二十一時を廻っていた。

 「すみません、遅くなりました」と帰ると先生の奥さんは「ナミさんから遅くなるときちんと電話をくれるし、良くできたお嬢さんネ」とニッコリしながら話していた。

 普通なら帰りが遅くなれば大体は叱られるものだが、ナミは根回しが上手と言うか信頼されているというか誰からも変な事は言われないのだ。


 翌日は朝起きて五キロ程走ってから朝飯を済ませ、部屋の掃除をしてからナミの所に出掛けた。

 昨日と同じように勉強をし、昼に軽食を済ませ、夕方まで予定通り勉強をして小テストをして終了となった。

 二日間の勉強の成果はABC評価でAだった。

 ナミ先生から褒められ「ハル、ご飯行こう!」とタクシーに乗って目的地に行った。

 今日は高級感が漂っている焼肉店だ。

 店内に入ると個室に案内され、昨日より広い部屋だ。

 するとナミの友達が三人入って来てコトミも一緒だ。

 ナミは「皆で食べよう」と言い、俺に友達を紹介して皆で焼肉を食べていた。

 俺にはマンガ盛りのご飯に皆が焼いてくれた肉が皿に盛られ、ナミ達は話しながら食べていた。俺には少し孤独感がありながらも時にはナミやコトミにイジられながら肉を頬張っていた。

 俺は腹パンになり、椅子にもたれ掛かっていた。

 その後はナミのマンションに移動し、俺はソファに横たわっていたが、ナミ達は笑いながらゲームをしていた。

 俺は居眠りをしていて、起きた時にはナミの友達は帰って居なかった。

 俺は「今何時?」とナミに聞くと「二十一時だよ」と言われ「帰ろうかな」と言ってタクシーで帰った。

 明日からは普通に学校に行って授業かと思うと「一難去ってまた一難?」と秋の大会終了、次は地区大会、その後は期末テストの予定だ。


 数日後、地区大会が他県で行われた。

 初日の試合は遠方なので前日泊と当日泊の予定だ。

 試合前日に部員はバスに乗り、宿舎に入り、監督・コーチとミーティングし、翌日に備え飯喰って風呂入って寝ていた。 

 翌朝、球場入りし、軽く練習した後、監督からスタメンの発表があり、俺は三番でショートだ。

 俺達は第一試合の先攻で、監督から「緊張を楽しんで来い!」と言われ、俺は円陣を組んで「行くぞ!」と試合が始まった。

 一番はセーフティバントで出塁すると二番は送りバントで走者は二塁、俺の打順でエンドランのサインからショート強襲のセンター前ヒットで一点が入り、四番はレフトオーバーのツーベースで三・二塁となり、五番がレフトスタンドにスリーランホームランを打つのだ。

 四対0となり、六番がフォアボールで七番がライト前ヒット、八番もライト前ヒットで一点が追加され五対0。

 二・一塁で九番がレフト前ヒットで満塁となり、一番がセンターオーバーのツーベースヒットで更に二点が入り、七対0。

 二番はフォアボールで三・二塁となり、俺の打順でライト線へツーベースヒットで更に二点が入り九対0となった。長い長い初回の攻撃が終わった。

 一回裏、マサトが先発し五回までを0点に抑え、六回裏は復帰したケンが七回まで0点に抑え、十一対0でコールド勝ちとなった。


 翌日の二回戦は後攻でミキトが先発し、初回を三者凡退に抑え、一回裏は一番がライト前へ、二番がセンター前へ、俺はレフト前へ打ち先制点を上げ、四番がどデカい一発が出て四点が入り、五番がフォアボールで六・七番が内野ゴロでこの回は終わり四対0。

 初回から五回までミキトが踏ん張り0点で抑えると六回からは二番手のトウマが投げ、七回まで0点で抑えた。

 俺達の二回以降の攻撃は四番が二打席連続のツーランホームランや七・八・九番の連続ヒットが出て、六回までに八点を入れ、二試合連続のコールド勝ちとなった。


 三回戦は、先攻でマサト~トウマ~ケンのリレーで完封し、四番は三試合連続のホームラン等があり、三試合連続(七対0)のコールド勝ちとなった。


 準々決勝の翌日は大雨で今日の試合は中止となり、明後日の第一試合の予定となった。

 試合が中止の時は久しぶりの授業とナミとのゲームがあり、気分転換には丁度良かった。心配なのは期末テストだ。


 準々決勝当日、第一試合の後攻で、監督はミキトを先発~トウマ~シンヤ~ケンのリレーを考えていた。

 ミキトの立ち上がりは今期一番と思える程、球速と制球が抜群で予定より一回多い五回まで投げ0封とした。

 打線は一回裏に一番がサードエラーで出塁し、二番は送りバントで走者は二塁、俺はライト前に運び三・一塁となり、四番がセンターフライで一点。五番がショートゴロでゲッツー。

 二回裏~四回裏まで無得点。

 五回裏には俺がデットボールで出塁し、四番がフォアボール、五番がレフト前ヒットで満塁となり、六番がライト前ヒットで一点が入り、七番がセンターフライで一点が追加され0対三。

 八番が内野ゴロでゲッツーとなった。

 六回表にトウマが登板し、七回までを無得点に抑えた。

 六・七回裏は追加点が入らず、0対三のままで八回表にはシンヤが登板し、一点は取られるが八回裏に二番から始まり三塁強襲の内野安打で出塁し、二塁へ盗塁を決め、俺はライト線へツーベースヒットで一点を入れ、0対四だ。

 九回表はケンが登板し三者凡退に抑えゲームセット0対四で逃げ切った。

 明日は準決勝の第二試合だ。

 対戦チームは夏の甲子園大会で準決勝で対戦したチームで新チームとはいえ甲子園出場者は五人居た。

 

 翌日の試合は隣県だったが片道一時間程だったので九時半頃学校を出て、軽く練習等をしていた。

 試合は十三時からで俺達はバナナに喰いついていた。

 その後、第一試合を途中から見ていて、試合終了と共にベンチの入れ替えがあった。

 俺達は先攻で先発はマサトでミキト~ケンのリレーと監督は話していた。

 試合が始まり、一回表は三者凡退だ。

 その裏、マサトの投球は安定感があったので安心して守っていたが、俺の所ばかりゴロが来ていた。俺はマウンドに行き、「マサト俺の所ばかり打球が来るんだけど」と言うと「悪り~、ハル頼むゼ!」と言われた。

 俺は「マジかよ~」となった。 

 両チーム投手戦で五回裏まで0対0。

 六回裏からミキトが登板し、ヒットを打たれるが何とか七回まで持ちこたえた。

 俺達は八回表に九番・一番で走者が三・一塁と絶好のチャンスで二番がフォアボールとなり、ノーアウトだがなかなか攻め難い場面だ。

 俺は「ゴロはヤバい、ヒッティングだ」と思い、ベンチからのサインは「一か八かのエンドラン」だ。

 初球のアウトコース高めを見送り、タイムを掛け、打席を外し、バットグリップに滑り止めスプレーを掛け、打席に戻る。

 二球目はワンバウンドでツーボール。

 三球目をヒッティングしショートの左頭上を越し、一点が入りなお満塁。

 四番がセンターへ大きな犠牲フライを打ち、更に一点を入れた。

 ワンアウト二・一塁。五番がライト前に落とし、満塁となると六番に代打が出され、三球目をライト線へツーベースヒットで更に二点が追加され、四対0で三・二塁となり、七番がセンターフライでダメ押しの五点目が入った。

 ケンは九回裏を四人で終わらせるナイスピッティングで俺達はこのまま逃げ切り勝利した。

 明日は決勝戦で全校生徒応援と話した。

 明日の対戦チームは第一試合後にベンチを入れ替わったチームで、新チームになってから強くなったと監督やコーチが話していた。

 俺達とは初めて対戦するのだ。

 俺達はバス移動の一時間は皆爆睡して学校に着くまで全く起きなかった。

 「ハル、着いたぞ」と俺はコーチに起こされた。

 部室に自分の荷物を置き、さあ帰ろうとした時、ナミが居た。

 「どうした?」と聞くと「一緒に帰ろう」と言うので、俺はシャワーを浴びて、ナミとタクシーに乗った。

 ナミのマンションについて部屋に入ると初めて見るマッサージチェアが置いてあった。

 「凄げ~な、これ?」と言うとナミは「ハルのために借りちゃった!」と話していた。

 「え~、俺のため?」となり、「一回使ってみなよ」と言うので座ってナミがスイッチを入れた。

 背もたれが倒れ、足元が上がり頭・肩・背中・腕・腰・太ももふくらはぎ・足の裏をじわりともみほぐしていた。

 マッサージ中にほのかにいい香りが漂って来て眠くなり、マッサージが終わると背もたれや足元が元の状態に戻り、マッサージが終了した音声が流れた。

 ナミは「ハル、立ってみて」と言うのでチェアから立ち上がると何と身体が解されたのか身体が軽くなった感じだ。

 ナミに「身体が軽くなった気がする」と言うと「やっぱりそうなんだ?」と言うのだ。

 病院のスポーツドクター関係の人に勧められてお試しで一週間借りたと話していた。

 ナミは俺に何回か使ってみて欲しいと話していて、使用感をアンケートに書いて提出するらしい。

 その後、ゲームをして十八時頃先生宅に帰宅し、準決勝の報告をした。

 先生は「決勝まで行ければ、センバツは確定かな?」と話し、奥さんと二人で「今度は甲子園に行きたい」と話していた。


 翌日の決勝戦は十三時開始だったので学校からバスで全校生徒が移動した。

 学校でナミと会った時に「やっぱり身体が軽い気がするよ」と話すとナミは「終わったら今日も試してみて」と言い、球場までバスで移動だ。

 球場で身体を解し、キャッチボール、守備練習と素振りをしていた。

 ベンチで試合開始を待ち、今日は先攻で始まるようだ。

 試合が始まり、一番が初球デットボールで一塁に歩き、二番が送りバントで二塁に進み次は俺の打順だ。

 昨日と同じバットなのに軽く振れるし、振った時の「ブン」の音が違う気がした。

 俺は打席に入り、初球の外へ流れるスライダーをカットし、二球目の少し内側に入ったストレートをジャストミートすると左中間スタンドに打球は吸い込まれて行った。「あれ?」と俺は驚き、一塁へ走るのが遅れた。

 今までとは全く違う打感で、不思議な感じだった。

 ベンチに帰って来て「ハル、凄い打球だったぞ!」と言われ、自分でも信じられなかった。

 その後、四・五・六番も打線が爆発し、初回に三点を入れた。

 一回裏はトウマが先発し、六回裏まで無失点で投げ終えた。

 俺達の攻撃は、三回にも一点、四回にも一点を入れ五対0。

 七回は俺から始まり、今日は二打数二安打三打点で、今日の俺は何か違っていた。

 この打席は、初球を見逃しワンストライクで二球目の少し高めのストレートをジャストミートするとセンターウェンスを越えソロホームランとなり、六対0となった。

 その後点は入らず、七回裏からはシンヤとケンが登板し、無失点に抑え快勝した。

 スタンドからの大声援が治まらず、二年連続地区大会優勝は高校初の快挙となった。

 表彰式が終わり、スタンドに整列し挨拶をし、ベンチへ入って荷物を持ってバスへ移動するのだ。俺は「あのマッサージ機のせい?」と思い始めた。

 「いくら何でも俺が二打席連続ホームラン何てあり得ないし」と思っていた。

 バスは学校に到着し、バスからの荷物を部室へ移動し、ユニフォームの洗濯やバット・ヘルメットを並べ磨いてから体育館へ集合だ。

 体育館には全校生徒が集まり、理事長や校長が登壇していた。

 俺達も部長や監督・コーチと共に登壇整列し、優勝報告会が行われた。

 理事長、校長の挨拶の後、部長先生と監督が応援の御礼を述べ、最後に俺が簡単な挨拶をして「皆の応援が俺達の力になり、優勝する事ができました」と話した。

 後日、優勝祝賀会が行われると話していた。

 俺達は教室に戻り、鞄を背負って帰ろうとした時、ナミがやって来て「一緒に帰ろう」とタクシーでナミのマンションに行った。

 今日は勉強する気にはなれず、ゲームをしていた。

 するとナミが「あのマッサージ機使ってみてどう?」と言うので、「あッ、そうそう、あのマッサージ機を使った後、身体が軽くて、翌日も身体が軽く疲れも無く、試合に望めたし、ビックリする程バットが軽く感じ、普通にヒッティングしたつもりでも打球はホームランになって本当にビックリしたよ」と話すとナミはニヤリと笑い、「へえ~そうなんだ?」と話していた。

 ナミは「筋肉への適度な刺激と血流促進で疲労回復効果等が図れるか検証中」と病院から聞いていたと話していた。

 俺は凄く良かった気がするが、まだ一回しか試していないので、偶然なのか効果があるのか正直わからなかった。

 ナミはこのマッサージ機は「デモ機だから今週末返却する」と話していた。

 その後、ゲームに夢中になり、気づいたら十九時を廻っていたので、急いで大石先生宅に帰宅した。

 先生と奥さんに決勝の報告をすると、奥さんは「また、甲子園に行ってハルト君の応援ができる」と喜んでいた。

 先生も喜んでいて、何も言わなかったが奥さんと同じだと思う。

 明日は土日で学校も練習も休みだが、ナミと一緒に勉強をする事になっていて、授業の遅れている所を重点的に教えて貰うのだ。


 土曜の朝、九時過ぎには先生宅を出てナミのマンションへ向かった。

 ナミに「朝ご飯食べた?」と聞かれ「寝坊したから食べてない」と言うと冷凍パン等をチンしてもらい食べてから勉強していた。

 自分でも驚く程勉強が遅れている事がわかり、野球との両立は難しいと改めて思った。

 ナミは十二時半頃「お昼ご飯に行こう」と言いタクシーを呼んで一緒に出掛けた。

 和食の高級な店で、個室に通され「今、お料理をお持ちします」とかお店の方が話していた。しばらくすると料理がテーブルに並んだ。

 豆腐料理、鶏料理、天ぷら、ざる蕎麦だ。

 ナミは「良質なタンパク質は大事よ」と話していて、ナミのうんちくが止まらず、食べ終わると、マンションへ戻り、十九時まで勉強していた。

 俺は「有難う、明日は今日と同じ時間でいい?」とナミに言うと「夕飯行こう」と言い、「俺、先生の奥さんに言って無いよ」と言うとナミはすでに大石先生の奥さんに連絡していた。流石にナミには敵わないのだ。

 晩飯はベトナム料理店だ。

 「全然見た事も聞いた事も無いものばかりだ!」と思っているとナミが色々と注文していた。

 料理が運ばれて初めて見るものばかりだがパクチー以外は美味しく食べられた。

 ナミは「初めて食べた感想は?」と聞くので、「どれも美味かったよ、パクチー以外はネ」と答えるとナミはうなずいていた。


 店を出てマンションに戻り、少しゲームをしてから大石先生宅に帰った。

 明日からは学校で、勉強の遅れが気になっていた。 

 翌日、久しぶりの授業を受け、しばらくは野球の事は考えず、勉強に集中しようと思っていた。

 野球の練習後はナミの所で勉強をする事にしていたし、勉強の遅れは思っていたより多く、テストまでは必死なのだ。

 何故かと言うと三年の進学に今回のテストの成績が関わって来るらしいとの事だ。

 この事はナミも知っていて、一緒に進級して一緒に卒業したいという思いもあり、今まで以上に気が引き締まっていた。


 翌日から部活はテスト前十日なので練習は無く、勉強に集中できていた。

 大石先生には、テストまではナミと一緒に勉強するので遅くなる事を話した。

 テストまでは、ナミの作った科目毎の小テストを行い、まあまあの点数だったので、授業が遅れていた所は何とかクリアできそうだ。

 明日からテスト期間(二日間)だ。

 翌日、学校へ行くとマサトとケンに会い、テストが不安だと話していた。

 俺もテストには自信は無かった。

 九時からテストは開始され、一科目が終われば十分の休憩があり、三科目のテストを行うのだ。

 テストが終わり、時計は十三時を過ぎていて、ナミからパンとかを貰って食べていたが、流石に腹が減っていた。

 マサトとケン達(ミキト、シンヤ)が俺の教室を覗いていて、俺が手を上げると疲れきった顔で「腹減ったよなあ」と言うので、ナミやナミの友達も誘い昼飯に出掛けた。

 ナミは「ファミレスに行こう」と言い、皆で一緒に行くのだ。

 腹ペコの高校生三人と女子が同じテーブルに座り、マサト・ケン・ミキト・シンヤはナミ達(コトミを除く)と飯を喰うのは初めてだ。

 話題はテストの事や野球の事、俺とナミの事になり、テストはナミ達三人以外は自信無く、野球の話しになると「多分、また甲子園行けるネ」となった。

 また、俺とナミについて色々聞かれたが、高校生らしい付き合いを今後も続けると二人で宣言し、その後の将来はわからないとした。

 マサトもケン達も彼女らしい子が居ないためモヤモヤ感はあった。

 そんな昼飯も終わり、それぞれ帰宅した。 

 俺はナミのマンションに行き、少し勉強して、ゲームをしてから十九時頃大石先生宅へ帰宅した。

 翌日はテスト二日目でテストが早ければ午前中に終わるし、ゲームもいっぱいできるし、テストが早く終わる事を願っていた。


 一科目はナミと勉強した事で以外にもすんなり解答ができた。

 二科目はかなり難題であったがわかる範囲内で解答した。

 テストが終わり、ホッとしていた時、ナミがそばに来て「お昼ご飯前にちょっと買い物に付き合ってよ」と言うので学校からタクシーに乗って出掛けた。

 タクシーが到着した先は前にも来た事がある百貨店で、ナミは誰かに贈り物をするために買い物に来たようだ。

 店員に案内され、色々と品定めをしていて、俺は荷物持ちとなり一度ナミのマンションに帰り、荷物を卸してから再度出掛けた。

 「今度、どこ行くの?」」と言うと「ハルの買い物と私の買い物だよ」と言うのだ。

 「え?俺の?」と言うとハルのスパイク、もう買い替え時でしょ?」と言うのだ。

 「何で知ってんだよ」と言うと「ハルの情報は全部私に入ってくるの」と言い、「コトミか?」となった。

 しかし、良く見てるなあと感心するが感謝でもあった。

 以前にも行ったスポーツ店でスパイクを見ていると今使っているモデルは変更になり、ニューモデルを何足か出してもらった。

 全部履いてみて、一番良かった物を店員に渡し、バッテグロやストッキング数枚も買う事にした。

 いつものようにナミがクレカで支払い、次の買い物に向かった。

 「ナミ、いつも有難う」と言うとナミは「甲子園に行くのにきちんとしたスパイクで野球しないとカッコ悪いよ」と話していた。

 次に向かった先は、俺は初めて行く所だが、若い女性が着る服を扱っている店で俺は正直入りづらかった。

 ナミの普段着等を買うらしいが「ハル、これどう?」とか頻繁に聞いて来るのだ。「俺の見立てでいいのかなあ?」と不安しか無かったが、ナミにはどれも似合っていて、店員もピッタリ寄り添って見立ててくれているのだが「ハル、これどう?」と聞くのだ。

 ナミの洋服の数は凄かったが、ナミの服のお下がりは友達に上げたりするらしい。

 タクシーにいっぱいの荷物を入れ、一旦マンションに帰って荷物を卸し、昼飯に出掛けた。

 昨日のファミレスとは全く違い、いつも高級店に行くのだ。

 ホテルの最上階にある鉄板焼の店だ。

 「俺が入っていいのかな」と言う雰囲気の所なのだが、過去の事を考えれば、ナミと二人で行く所はいつも高級店ばかりだ。

 店員が来て「ナミ様お久ぶりです、今日はいかがいたしましょうか」となった。

 ナミは注文していて、俺は来た物を食べるだけなのだ。俺はいつもメニューを見た事が無かったのでチラリと見てみると「えッ、高い!」と想像を遥かに越える金額で真っ青になりそうだ。

 俺は「もう二度とメニューは見ない」と心に誓った。

 料理がいくつも運ばれてきて「食べよ」とナミは言い、俺は食べ始めた。

 美味過ぎて、箸が止まらなかったのだ。

 ふとメニューの金額が頭の中にチラつき始めると箸は止まり、ナミは「もう食べないの?」となるが、食べないとナミが心配するので食べ始めていた。

 俺は腹パンになり、店を出てタクシーに乗り、ナミのマンションに行った。

 部屋に入り、ソファに横たわると部屋着に着替えたナミが俺の横に座り「甲子園に何時行くのかな?」と甲子園行きを待ち望んでいる様だ。

 俺は「三月だけど日程はまだハッキリしないが絶対行けるから」と話すとナミは「優勝とか準優勝とかはどうでもいいの、ハルと一緒に居る時間がもっとあるといいなあ」と何か意味深な話しをしていた。

 その後、ゲームに熱中し、時間を忘れて気づいた時には十八時だ。

 俺は荷物を持ち大石先生宅へ帰宅した。

 明日・明後日は休みでテストが終わっても勉強の遅れは多少あるため、ナミが気を使って俺に勉強を教えてくれていた。

 冬休みもあるが、いつもより勉強に力を入れなくてはならなかった。

 俺はこの学校に特選の推薦入学はできても野球部を三年の夏休み終了までやらなくてはならない条件で入学しているし、三年の秋以降(二学期から)は推薦入学者ではあるが卒業までの半年間は一般学生と同じように授業料等の費用は負担する事になっていた。

 また、勉強の成績も一般学生と同じように基準値をクリアしないと卒業できないため、何とか卒業できるよう勉強していた。


 数日後、テストの成績がクラスに貼りだされ、ナミは学年でトップなのだ。

 俺は通知でわかるが順位より総合点数がどうなのか気になっていた。

 今日から部活も再開し、徐々に身体を慣らして行くのだが、だいぶ寒くなって来たので、筋トレやランニングを中心に行っていた。

 マサトやケン達もテスト結果を気にしていたが、練習は一緒に話しながら行っていた。

 部活が終わり、帰宅しようとした時、おかんからの電話で「おとんが来年一月には転院できるとの話しだ。

 長かったがやっと転院できれば、おかんは助かるのだ。 

 おとんは五ヶ月以上の入院に良く耐えたと思うし、リハビリ次第では何とか歩けそうな話しなので、本当に良かったと思っていた。

 俺は全然見舞いにも行けてないし、転院したらすぐに会いたいと思っていた。

 大石先生や奥さんとナミにもおとんの事を報告した。

 おとんの転院先はこれから決めるような話しだ。

 翌日、学校に行くとテスト結果の通知を渡され、俺はクラスでは二十一位で総点数は満点の六十パーセント以上をクリアしていたので進級はできる事になった。

 マサトやケン達もクリアしていたとの事でホッとしていた。

 来週には冬休みに入るが、おかんは十二月二十日からおとんの入院先に行くので、実家には兄いだけになると話していた。

 俺は休みの年末年始は実家に行くがその前後は大石先生宅に居て部活や勉強をしようと考えていた。

 ナミは俺の予定に合わせるように出掛けるようで、俺が大石先生宅に居る時はマンションに居ると話していた。

 冬休みに入ると午前中は部活で午後はナミのマンションで勉強とゲームをしていた。

 部活の無い時はナミと勉強をしていた。

 二十八日~一月三日まではナミは旅行で俺は実家に行く予定だ。

 四日からはナミと一緒に勉強なのだ。

 子供達や子供を持つ大人にも野球を好きになって欲しくて、私なりの世界観をもって描いているものです。興味を持っていただけると幸いです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ