閉ざされた会議室
生徒会室。
放課後の光が差し込む、静かで広い空間。
机には紅茶、壁には名門校らしい盾と紋章。
その中心に座るのは――
この学園の王と呼ばれる男、銀条タケル。
「……納得がいかない。」
タケルが紅茶を置く。
表情は落ち着いているが、指先がわずかに震えていた。
側に控える生徒会役員の女子たちが不安そうに視線を交わす。
「銀条会長、例の件ですが……」
「まさか、あんな“無魔力の男”がリナ様の隣に……」
タケルの眉がぴくりと動いた。
「笑わせるな。無魔力? ただの一般人だろう。」
「ですが……リナ様、ご自分で“大事な人”と……」
静かなざわめき。
女子たちの中には悔しさ、嫉妬、興味――様々な感情が渦巻いていた。
タケルは深く息を吐いた。
「リナ・クレストは俺の将来の候補だ。
……本来なら俺の横に立つべき人間。」
「はい……ですが、会長……」
「その……今回は……」
言葉を濁す女子。
タケルは苛立ちを隠さず笑った。
「魔力も、家柄も、才能も持たぬ男が――
俺の前を歩く? 冗談だ。」
彼の声は低く、冷たい。
「アヤトとか言ったな。
……あれが俺の視界に入った瞬間、明らかに空気が変わった。」
「空気……ですか?」
「そうだ。魔力がないのに“敵の匂い”がした。」
女子たちが息をのむ。
「本能が警告していた。
“あれは排除すべき存在だ”と。」
タケルは指先に魔力を集め、テーブルの上の砂糖壺を軽く弾く。
パリン、と静かに砕けた。
「ただの男なら構わなかった。
だが――リナが心を寄せた。
それが許せない。」
女子たちの中で、数名が顔を赤らめる。
彼女たちもまた、タケルに心を寄せる者たちだ。
「会長……どうなさるおつもりですか。」
「簡単だ。」
タケルの目に、優雅で残酷な光が宿る。
「模擬戦だ。正面から、堂々と潰す。
魔力も才能も持たぬ人間がどれほど無力か――
この学園全体に、見せてやる。」
役員の一人が不安げに問う。
「もし……負けることがあれば……?」
タケルは鼻で笑った。
「負けるわけがない。
俺は銀条家の嫡男だ。
“正しき魔法の頂点”を見せる。」
彼は立ち上がり、背を向ける。
夕陽がその身体を黄金に染めた。
「準備しておけ。
近いうちに“外部者参加の特別模擬戦”を開催する。」
その声は冷ややかでありながら、炎を宿していた。
「――あの男を、正しく敗北させるためにな。」
扉が閉まる。
残された生徒会女子たちはざわめき、視線をぶつけ合う。
「……アヤトって、どんな人なの?」
「魔力ゼロなんでしょ?」
「でも、リナ様が……“大事な人”って……」
憧れ、嫉妬、好奇心、不安――
甘い空気と毒の香りが混ざる、生徒会室。
物語の影が、静かに動き始めていた。
今回は少し内容が少なめです。申し訳ございません。
次回の投稿は未定ですが、本日中に投稿したいと考えています。
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