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戦いの後はパンツ!パンツ!パンツ!

――夢を見ていた。


懐かしいはずなのに、心臓を冷たい手で握られるような夢。


古い木製のテーブル。魔道ランプの揺れる光。

父は火魔法で肉を温め、母は水魔法でスープを注ぎ、

妹は光魔法で皿をきらめかせながら笑っていた。


温かくて、賑やかで、魔法が飛び交う希望の食卓。


――ただ、その輪の中に俺はいなかった。


「……いただきます」


誰かの声が響く。

俺は端の椅子で、小さな乾いたパンと水の入っていないコップを見つめている。


魔法が使えない俺に、席はなかった。


気づけば家族と時間をずらして食事をし、

声を交わさない日々が一ヶ月以上続いた時もあった。


中学の頃からバイトをして、

期限切れ前のパンと弁当が、俺の唯一のご馳走だった。


(俺もいつか、誰かを守れる人間に……)


そう願いながら。


――夢は、そこで途切れる。


******************************


目を開ける。薄暗い天井。昨日の泥と血の感覚が蘇る。

胸の魔石が、ドクンと脈打つ。


……そして気づく。


俺、パンツ一枚。


洗濯中、他の服なし。

社会的に終わりそうな朝に、ドアが叩かれた。


「アヤト!開けて!今すぐ!」


「ちょっ、待っ――」


ガチャ。


「おは――……っっ!?」


リナの目が見開かれる。


金髪、ワンピース、天使みたいな顔。

対して俺、パンツ。世界、終了。


「な、なんでパンツ!?犯罪!?変態!?」

「いや、服洗ってて……昨日死にかけたし……」

「死にかけてパンツは繋がらない!!」


震えるリナ。

カーディガンを投げつけられる。俺装備。そして精神ダメージ。


「……で、仕事は?」

「退職代行使った」

「魔法より便利ってどういう世界よ……」


スマホが震え、闇医者クロから着信がきた。

クラからの電話=何かあると俺は思った。

するとクロの陽気な声が携帯から聞こえてきた。


『よし結論。二人は今日から一緒に暮らせ』

「は?」

「ちがっこれはその!!安全で!!でも嫌じゃないけど!!あぁもう!!」


耳まで真っ赤で叫ぶリナ。

クロはふざけながらも真剣に言う。


『つまりだな、アヤトはお前さんは狙われる。だから、少しでも狙われないようにリナの近くにいろ。それが一番安全だ。』


リナは小さく息を吸い、そっぽ向きながら袖をつまむ。


「……来なさい。今日から一緒に住むわ。守るためよ。ほら、勘違いしないで」


(不器用な優しさ、刺さるだろ)


「ありがとう。頼らせてもらう」

「別に……頼られるの、嫌いじゃないけど」


電話が切れ、静寂につつまれる。

しばらくするとリナが口を開く。


「……荷物少なすぎじゃない?」

「服と歯ブラシだけ」

「人生の背景、重すぎて笑えないんだけど」

「うるせぇ」


何かこういった会話も楽しくていいな。


「明日、放課後合流して……初ダンジョンよ」

「怖いけど楽しみだな」

「覚悟しなさい。パーティーリーダーとして鍛えてあげるから」


胸の魔石が、ぽっと暖かく灯る。


パンツ一丁で始まった朝でもいい。

俺は、ここから変わる。


「じゃあ、引っ越すか」

「…その前に服買うから!絶対!」

「すいません……」


選ばれなかった俺が、今は誰かと並んで歩いている。


明日、ダンジョンへ。

胸の奥が、期待で震えた。

もし、よろしければ評価とブックマークよろしくお願い致します。


また、次回の投稿は明日の7:30を考えております。

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