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八月の杉  作者: 中村雨歩
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山瀬の想い

「木下くん、いつまで自分を隠し続けるの?」


 この言葉、いつか絶対に言ってやりたい。あんなに頑張っていたのに、苦しんでいたのにそれでいいの?って、言ってやりたい。でも、言えない・・・。

 後ろを付けたりもした。家の前まで行ったこともある。ずっと言えなかった。でも、今日、あの日から久しぶりに木下くんの近くで声を聞いた。りゅうおう殿って言ってた?木下くんはどなたかの家臣にでもなったのかしら?私が好きになった人は家来ではなく、唯我独尊の王様を目指している人だったはず。


 私、木下くんを追いかけて同じ高校にまで入っちゃったんだよ。王を目指す者を追って来たんだよ。日和ったら許さないからね。


「貴方は、私の王子様・・・なんだから」


 私は小学生まで体が大きかった。乱暴者だった。男子と喧嘩しても負けたことが無かった。でも、中学生になったら、小学生の時によく叩いていた男子からいじめられるようになった。男子の身長が急速に伸びて、女子の身長が止まる時期。

 中学校になってから、私をいじめ始めたその男子はそもそもが、いじめっ子体質だった。小学校の頃から自分より弱い子には暴力を振るっていた。だから、私は叩いた。私は私の思う正義を行なっていた。でも、中学生になって私の正義は執行できなくなった。悔しかった。許せなかった。その男子も、私自身も。


 その男子をやっつけてくれたのが木下くん。いつでもいじめる相手を探しているようなソイツをぶっ飛ばしたのが木下くん。カッコ良かった。あの日から、私へのいじめも無くなった。木下くんを乱暴者とか凶暴で怖いとか言う人はいたけど、私は違うと思う。木下くんが振るった暴力で救われた人もいるの。それが私。


「だから、貴方は、私の騎士様・・・」


 そんな木下くんなのに、随分変わってしまったね。変わってないよね?変わってないって信じてるよ。信じて見ているからね。信じて待っているからね。


「王の復権を・・・なんちゃって・・・ね」


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