応援団員ハッシー活動開始
「スギ、前、美術室行ってたけど、最近行ってないじゃん。どうしたの?」
橋本優奈の質問に、杉子が少し考えたような間を置いて返事をする。
「最近、美術室使ってるんだよ。あの、えっと、美術コースの子が一生懸命絵を描いてるんだよ。だから、私みたいな半端もんが邪魔しちゃいけないと思って、行くの止めたんだよね」
「美術コースの子?誰だろう?」
優奈を惚けながら質問を続けた。
「ほら、神社コラボでちょっと話した子だよ」
「ツッキー?」
優奈は更に惚けて聞いてみた。
「ツッキー?あの真面目そうだけど、積極的な子、ツッキーって言うんだ・・・。でも、女の子じゃなくて、男の子、リュウオウくん」
ツッキーのイメージが若干異なるような気がしたけど、今は置いておいて、話しを先に進めることにした。
「そのリュウオウくんがいると美術室に行かないの?」
「邪魔したら悪いでしょ。彼、好きな娘を描いてるみたいなんだよ。想い人を想像しながら描いてるなんて青春だよね〜」
ああ、この鈍感女は自分が描かれていることに気が付いていない訳だ。ちょっと抜けている所はいい所だけど、抜け過ぎてるからビシッと言ってやろう。
「あのね。その絵、スギを描いてるんじゃない?もしかして」
「え?そんな訳ないじゃんって、私、その絵見たもん。私じゃなかったよ」
杉子ははっきりと否定した。しかし、あの絵は杉子だったはずだ。私も見たのだから間違いないと思うのだが、あまりにもキッパリと断言して来るのでたじろいでしまう。
「何で断言できるのさ?私もあの絵見たんだけどさ、スギかと思ったよ」
「私じゃない。私、あんな可愛くないし、輝いてないし、そもそも、リュウオウ君が私を描く理由が無いじゃん」
ああ、スギは、恋愛に鈍感というより、自分に自信が無いんだ・・・。少し、悲しくなると同時に苛立ちを覚えた。
「じゃあ、聞いてみなよ。そのリュウオウ君、本人にさ〜」
「何よ。急に投げやりじゃん」
杉子は口を歪めながら、不満そうな顔を優奈に向けた。
「分からない事は、本人に聞くのが一番だよ。今日の放課後、久しぶりに美術室に行ってみたらいいんじゃない?」
「う〜ん、そんなに言うなら行ってみるけど、違ってたら、ジュースだよ」
「はいはい。違ってたら、ジュースでもパンでも好きなもん言って下さいな」
スギは不満そうな様子だが、これでとりあえず美術室には行きそうだ。後は、リュウに頑張ってもらうしか無いからね。ウチの鈍感娘をお願いしますよ〜。




