表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
八月の杉  作者: 中村雨歩
13/23

応援団員ハッシー活動開始

「スギ、前、美術室行ってたけど、最近行ってないじゃん。どうしたの?」


 橋本優奈の質問に、杉子が少し考えたような間を置いて返事をする。


「最近、美術室使ってるんだよ。あの、えっと、美術コースの子が一生懸命絵を描いてるんだよ。だから、私みたいな半端もんが邪魔しちゃいけないと思って、行くの止めたんだよね」


「美術コースの子?誰だろう?」


 優奈を惚けながら質問を続けた。


「ほら、神社コラボでちょっと話した子だよ」


「ツッキー?」

 優奈は更に惚けて聞いてみた。


「ツッキー?あの真面目そうだけど、積極的な子、ツッキーって言うんだ・・・。でも、女の子じゃなくて、男の子、リュウオウくん」


 ツッキーのイメージが若干異なるような気がしたけど、今は置いておいて、話しを先に進めることにした。


「そのリュウオウくんがいると美術室に行かないの?」


「邪魔したら悪いでしょ。彼、好きな娘を描いてるみたいなんだよ。想い人を想像しながら描いてるなんて青春だよね〜」


 ああ、この鈍感女は自分が描かれていることに気が付いていない訳だ。ちょっと抜けている所はいい所だけど、抜け過ぎてるからビシッと言ってやろう。


「あのね。その絵、スギを描いてるんじゃない?もしかして」


「え?そんな訳ないじゃんって、私、その絵見たもん。私じゃなかったよ」

 杉子ははっきりと否定した。しかし、あの絵は杉子だったはずだ。私も見たのだから間違いないと思うのだが、あまりにもキッパリと断言して来るのでたじろいでしまう。


「何で断言できるのさ?私もあの絵見たんだけどさ、スギかと思ったよ」


「私じゃない。私、あんな可愛くないし、輝いてないし、そもそも、リュウオウ君が私を描く理由が無いじゃん」


 ああ、スギは、恋愛に鈍感というより、自分に自信が無いんだ・・・。少し、悲しくなると同時に苛立ちを覚えた。


「じゃあ、聞いてみなよ。そのリュウオウ君、本人にさ〜」


「何よ。急に投げやりじゃん」


 杉子は口を歪めながら、不満そうな顔を優奈に向けた。


「分からない事は、本人に聞くのが一番だよ。今日の放課後、久しぶりに美術室に行ってみたらいいんじゃない?」


「う〜ん、そんなに言うなら行ってみるけど、違ってたら、ジュースだよ」


「はいはい。違ってたら、ジュースでもパンでも好きなもん言って下さいな」


 スギは不満そうな様子だが、これでとりあえず美術室には行きそうだ。後は、リュウに頑張ってもらうしか無いからね。ウチの鈍感娘をお願いしますよ〜。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ