目覚めたら、女神様の胸の中 81
なかなか気の利いた言葉も浮かばず無難に「そうなんですね」と相槌を打ちはしたものの、いまだに神様の顔が晴れない為まだ他にも懸念事項があるのだろうかと思った私は、再び神様に確認をする為に控えめながら声をかけていた。
「あの…縁の神様の力で私やリラちゃんとお祖母ちゃんとを出会わせてくれたというのは分かりました。けどそれだけでそんなに深刻になる事は何も……」
「…そうだね、私達が出会えた事は何ら問題になることはない。出会える筈のなかった者や再びの邂逅、過去から繋がれた未来への道筋が出来た事など良いことばかりとなった。……だが、その分新咲とリラに転生という形で反動を背負わせ、さらにそれぞれの星の問題まで結果的に押し付ける未来となってしまった。だからこそ聞きたいのだ、縁の神。彼女は今も生きている。それなのにこんな強制的に魂の離別と転生を促し、別の魂が彼女の身体に入れる様に繋がりだけは残している理由はどうしてだい?君は彼女の事を好いているのだろう。それなのに何故正反対の行動を取るのだろうか?」
神様の真剣な、ともすれば答え次第ではひりつく展開が待ち受けていそうな勢いのある疑問に、ハラハラと心内が騒ぎだす。そして、神様に言葉にしてもらって分かったことだけれど先々言っていた私が「生きている」というのは本当の事なようだ。
神様の言葉では魂の離別と転生を、と話していたのだがもしかして今までこの事を説明しようとしてくれていたのだろうか?
「あの…」
「…ああ、その通り。新咲、君はまだ死んでいない。魂は今この場に強制的に送られてしまったが、君の身体は本来事故による治療の為入院中となっていてね。この縁の神の力で繋がれた糸によって息はあるが意識混濁状態となってしまっている。……なので、今君の身体にリラの意識が入っても肉体に拒絶はされないだろうし周囲に違和感も持たれない筈だ。リラにはそうした形で地球に転生してもらう手筈となっている」
「え、えぇぇえ!!?」
何と言う事でしょう!!!
よりにもよって私の身体にあのプリティーでいじらしくて可愛いリラちゃんの魂が入るぅぅううう!?
神様の冷静な説明に、それこそ驚天動地な大動揺で一切言葉が出ず口をパクパク開閉させるだけとなってしまった。
な、なんでそんな事態に!?
「なんでそんな結果に決まっちゃったんですか!!!?」
我ながら悲愴感たっぷりの悲鳴にも似た叫びに本気で力が入って声が大きくなってしまった。
だって仕方がない。てっきり私としては、リラちゃん本人が本人のまま個人として転生トレードになると思っていたわけで………。
「チェンジ!!!いや私の転生は無効で良いので、その分リラちゃんを個人として転生させてあげて下さい!!」