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目覚めたら、女神様の胸の中 79

「……で、今更ながらに聞くが、この神さん喋れるのかい?」


「あ、そういえば……」


「そこは問題ない。私が通訳として説明を果たそう。まだこの通りこの神も成長途中にあるからね。もう少し力を蓄えたら己が声を発して他者とも意志疎通ができるようになるだろう。それまでは私に事の次第を説明してくれるね、縁の神?」



神様の返事に頷く代わりだろう、縁の神様が浮遊しながらも光を明滅させたので、喋れはしないもののそれでも反応でやっぱり分かりやすいなぁと思いつつ、いつまでも浮遊していては疲れはしないだろうかと思っていた私は、良いことを思いついたと言わんばかりに両手の平を差し出して愛らしい光に提案を投げ掛けてみるのだった。



「あの、縁の神様。良ければなんですけどずっと浮遊していたら疲れてしまいますし、手の平でお休みしながらお話しませんか?その方が落ち着いて話しも出来」



る、まで言うか言わないかの内に一瞬で縁の神様がもう手元に居たので、早すぎて私にはまばたきした次の瞬間にはもう移動していたかの様に感じられて、まるで瞬間移動だと驚きで言葉も出なかった。



「……あ、ありがとうございます?」


「…………生まれたての神の身で新咲(さらさ)の肌に触れ…っ」


「あーあーあー、何も聞こえないからとっとと口を閉じな!色ボケ女神!」



縁の神様の見事な瞬間移動に驚きながらも提案を受け入れてくれたことへお礼を伝えつつ、それでも感謝するのも変かな?などと戸惑っていたらば、もごもごとお祖母ちゃん達の方から声が聞こえたのでそちらを見ると、何故か祖母が女神様の口を手で塞いでいたのでどうしたんだろうと戸惑いはさらに大きくなってしまった。



(おばあちゃんと女神様、一体どうしたんだろう?)


「…では、縁の神。この未来を選んだことへ私の質問に答えてくれるね?」


(……そして神様はそれをスルーしちゃうんだ)



などと内心でこの状況にツッコミをしていたのだが、よくよく見たら神様の笑顔もひくついていたので流した方が早いと思ったのかもしれない。

再びお疲れ様ですと胸中で労りを込めて神様へと言葉を送ると、何故か苦笑されて、それでも感謝の証に今度は正真正銘優しい笑顔を向けて貰えたので、やっぱり労りの心は大事だよねと再確認させられるのと同時に神様も会社員以上に大変なのだなと改めて、その偉大さに尊敬の念を覚えるのだった。

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