目覚めたら、女神様の胸の中 71
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「………地球の神、今の光景は一体…?過去と未來が交差するなど見たことも聞いたことも無い現象です。そもそもその二つが交わるなど…」
「あり得る事ではない、と?」
「ええ」
「……確かにそうだね」
一方、私がズレた感覚で先程の出来事に納得を見せ始めていた頃、神様と女神様は今目の前で起きた現象に驚きを隠せず密談を交わしていた。
どうやらどちらも予想だにしない光景に驚きの連続で口を挟めずにいたのかと思いきや、純粋に驚愕し戸惑いを見せている女神様とは違い地球の神様はどこか反応が鈍く含みのある返答を口にしていて、その姿はさながらこの出来事を事前に知り得ていてもう既に見てきたかの様にひどく落ち着いて見えていた。
「…もしや貴女はこの現象が起こる事を知っていたのですか?」
「知っていた、というより枝分かれした未来に起こる一つとして周知はしていた。だが……この場で起こる確率はそれこそ人が『奇跡』と呼ぶに等しいほんの一握りの確率だったんだ。だからこそ、確信もなく前兆も無いまま起こり得たこの光景に未だに驚きが隠せない」
「貴女でも予想の範囲外だったと?」
「あぁ、認めよう。人が起こしたこの類いまれな奇跡、手繰り寄せたのは……お節介という名の縁を軸とした強運の持ち主である新咲の仕業だ」
「まぁ!新咲が!?」
原因である私を思わず二柱が見つめるが、その時の私はこの現象の問題は解決したと思い安堵をしていたので、締まりのない弛みきった顔でリラちゃんとおばあちゃんとでお喋りをしていた為にその視線に気付くことはなかった。
「っ新咲は何度でも私に新しい世界を見せてくれますね。あの子を見付けなければ私は今も人族は醜いままだと誤解していた事でしょう」
「…そうか、君もあの子の縁によって救われたものだったのか」
「えぇ、新咲の存在によって私は傲慢な私を見付け自覚し、律することと本来の愛を思い出すことが出来たのです」
「……それこそが、もしかしたら彼女の力なのかもしれないね。今回の強運も、彼女がリラに近付きその手を取っていなければ紡がれない縁だった。これで、かの神にも救いが見出だせるよ。本当に、良かった…」
深く深く安堵のため息とともに溢れた未来への光ある言葉へ、女神様もようやく安心したと言わんばかりに今度はリラちゃんの方へと視線を移すと、これから訪れる先の人生に光しかないと言わんばかりに微笑みを浮かべながらぽつりと彼女のこれからへ言葉を送るのだった。
「……リラ、貴女にも良い繋がりが出来て良かったですね。私達は揃って新咲に救われました。…これからは良い人生をお過ごしなさい」




