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目覚めたら、女神様の胸の中 58

「氏神…ってもしかして、おばあちゃんと一緒に毎日お参りしてた神様の事でしょうか?」


「そうでもある──が、違うとも言える。ややこしい話となる訳だが一から説明させて欲しい。その方がスムーズに今の現状を伝えられそうだ」


「わかりました」



特にこれと言って否も無かったのであっさり諾としたのだが、途端、周りの景色が変わり目の前に野原と人の背丈半分程の石と髪の長い和服姿の女性が現れたので、いきなりの変化に大分驚き思わず皆がいるかを急ぎ確認しキョロキョロとしてしまった。



(……皆いるって事はもしかして、さっき私が過去の事故を見た時と一緒の現象…?)



推測ながらも戸惑いつつ神様を見てみれば、肯定するかのようにしっかりと頷かれたので。それではこれは過去に起きた事なのだとリアルな光景に再び驚愕をしつつ、今度は気持ちに余裕がある分肩の力を抜いて静かに目の前の光景を見ることができたのだった。



「──…事の始まりは、新咲(さらさ)、祖母殿。君達の氏神となった神が初代の神子を気に入り過ぎた事から始まったものだ。その当時、彼は力も存在も無くただただ野にある景色の一つだった。だがある日、定住の地を求めて訪れた一行の中で、一人の女性だけが彼の存在に気付いてね。それが初代の神子だったわけだが彼女はとにかく一行の中でカンが鋭いと評判で、存在が神であると知らないうちから彼が気になった彼女は、急遽その地を自分達の永住の地にした方が双方にとって最善の事だと直感でわかったようだ。彼に伺いを立て承諾を得た彼女ら一行は、それから村を作り彼の場所を作り毎日挨拶とお参りを欠かす事は無かった」



神様の説明を聞きながら目の前の女の人が石の傍にしゃがみ──多分あの石が依代(よりしろ)なのだろう──手を合わせ何事かを呟いた後、石の上近くに視線を固定して今度はハッキリと相手に喋りかける形で話しを続けていたので、ああ本当に視える人だったのだ、と今の光景では神様の姿が分からないながらも確かに在る存在を感じ取れて。

また、彼女の自然な姿に日常的な光景として当たり前に受け入れられていた事だったのだと改めて、原初の姿にひどく心内がポカポカと暖まるのを不思議な心地で感じ入っていた。

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