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初めまして、異世界 28

◆◆






「さ〜て、がんかけもおいのりもしたしこれでバッチリ!こんどはさいさきのいいスタートがきれるといいなぁっ」


「ご主人ご主人っ!ようやく戻ってきてくれたんだな!!そうしたら早速これからどっちに行きたいか希望を教えてくれっ!」


「…ぬ?」



先程まで必死になって神様頼みならぬ藁にもすがる気持ちでこれから良い事がありますよーに、と拝み倒しまくる勢いで祈っていた私は、ある程度気持ちが落ち着いたところで一区切りと言わんばかりにリフレッシュした心境で再度の一歩を踏み出そうと言霊を発した瞬間、我が家のワンコにそわそわと進行希望の道を朗らかに聞かれて、一瞬「…行きたい道……?」と大いに戸惑いをあらわにしてしまった。

ハクロウを見れば耳を横向きの形、所謂ヒコーキ耳の状態にしながらしっぽもぶんぶんと振りつつ張り切った様子で私をちらちらと見ようとしてくれていて、こちらの返事を今か今かとキラキラとした目で期待しながら待ち続けてくれているのだが……ごめんよ、ハクロウ。如何せん今は右も左も森、森、森の状態でご主人はもうどっちがどっちに何があるのやら、途方に暮れている状態なのである。

何ならどの道が良いだとかこちらの道なら平気そうだとか判断が即出来るというよりも、人の歩く道があるのか…?という疑念の方が脳を多く占めている状態で、どっちに行ったら良いのか正解と言える進行方向を見失っている現状が今の私、というか私達なのデス。

今まではちょっとした疑問も女神様が答えてくれる気軽さから深く考える事なく安心出来ていたのだが、先程何らかの妨害が起こってからは以降彼女からの反応は一切無くなってしまっていて、気休めに願掛けで誤魔化したところでいざ行動面に躊躇いを自覚してしまえば、否応にでも自身の内に燻る不安に目が向いてしまうのを止められる筈もなかった。



(あぁ……さっきまで張り切って自覚しないでいようって目を背けていたのに、これからってなると見えてくる自分の弱さに足が止まっちゃうなんて…。っ、ダメダメ!今は一人じゃないんだからっ。ウジウジして落ち込んでる暇があったら少しは情報を集めて動こう!!)



せっかくの異世界で早速のトラブルに合って歩みが止まったものの、元の星でも言っていたではないか。

ピンチはチャンスだ、と。

それに、まだこの場にいて先程のように危険が飛び込んでくるとも限らないのだ。

大事な二匹を守る為にも此処は少なくとも移動した方が良さそうだと思い立った私は、周囲を見ても情報が得られないと分かると今度は私よりも先にこの星へと降り立っていた二匹を頼ることにしたのだった。



「ハクロウ、キラ。ひとまずはこれからどうするかきめるのはあとにして、さきにひとがいるばしょにいどうしようとおもうのだけど、いいかな?」

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