目覚めたら、女神様の胸の中 14
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「────………」
「新咲っ、気がつきましたね。先ほどはよくがんばりました」
「…あれ?……夢?」
二度あることは三度あると言うことなのだろうか。
再び暗闇から目覚めた私は、またもやデジャヴな光景を目の当たりにし、いったい何度この女性のお世話になるのか──と鬱々としつつ一瞬遠い目をしながら先の体験に思いを馳せていたのだが。
女性の『先ほど』と言う言葉にすぐに全てを思い出し、ぶつからないよう身を起こしては気付けば目の前の彼女の肩を掴み確認の言葉を投げ掛けていた。
「そういえば!車!車が来ていたけど大丈夫でしたか!?怪我は!?骨とか折ってませんか!?」
「え…?」
「見た限り大丈夫そうですけど、さっきの車は回避できたんでしょうか?あ、もしかしてまた貴方が助けてくれたとか!?」
「えっと…」
「うわぁああっ!またも迷惑をかけてすみません!ありがとうございます!!命の恩人です、貴方は!くわばら〜くわばら〜」
「え、えぇと、新咲、一先ずは落ち着いて。まずは一から説明していきますので。…というか、その呪文は一体…」
「あ、おばあちゃんに教えてもらいました!災難を避けるためのおまじないって教わったんですが、不安だった時も唱えてみるといいよ──って、そうだ!おばあちゃん!!」
慌ただしく思考を切り替えながら、つい先ほど見た夢の出来事を思い出し辺りをキョロキョロと見回すが、目に入るのは最初に目覚めた時に見た光景──いつの間にか馴染みの建物や道が無くなり、極彩色の景色──へと変わった姿で。
今はいない人に会えたという実感があっただけに、その面影がかけらも見えない今の現状が無性にどうしようもなく淋しくて、私は、起きた時の勢いの反動なのか、はたまた色んなことが起こり過ぎたせいなのか。先ほどの元気な気持ちが一気にしぼんで無くなり、しゅんと肩を落とし落ち込みにも似た気落ちさで辺りを見回しては彼女へと疑問を口にしていた。