初めまして、異世界 17
ザ・ファンタジーといった話しを聞いて益々私の中での期待度がアップし楽しみでわくわく感がまったく隠せなくなってしまった。
やっぱり異世界ときたら冒険者!そして魔法!アーンド冒険者ギルドや酒場!!だよね!
(くぅ〜これこれ!!!この冒険しているって感に触れられるだけでも胸が踊って楽しくてたまらないっ)
実は地球で異世界ものを読んでいた時でもいざ冒険に出よう!という第一歩の部分が毎回読んでいて特に楽しみで、色んな本を読んでみてはその度に沼にハマるスピードがどんどん早くなっていた感が否めなかったので、こうして泥沼にハマって果てはオタクという生き物が出来上がるのだなぁ…と今になってしみじみと客観視できるぐらいには舞い上がっている自分がいるのに気が付いて、テンションの高さを誤魔化すために意味もなくエフンとエセ咳払いをしてしまった。
(…ということは、もしかしてもしかしなくても私も収納魔法とか鑑定とかいった魔法が使えるってことになるってこと!?そしたらそしたら回復魔法とか錬金とかますます冒険者っぽいことが出来るようになるのかなぁっ)
わくわくルンルンしながら期待で女神様の次の言葉を待っていたのだが、何故だか唐突に沈黙が訪れてしまいそれから一向に彼女の声が聞こえなくなってしまった為、不安に駆られ「あの…?」と声を掛けてみれば一呼吸分ずれて“……失礼しました”と返答があったので、繋がりが突然切れてしまった訳ではないのだとほっと一安心してそのまま女神様の説明が続くのを待ってみることにしたのだった。
が、数分後──“大変失礼いたしました”という言葉とともに女神様からさらなるハイテンションな力説を聞かされた私は、公開辱めという新たなある意味拷問に近い時間に晒されたことで、はしゃぎ過ぎも気を付けようと強い後悔の中に決意を覚えるのだった。
“──途中で説明が止まり不安にさせてしまいまして申し訳ありません。けれど!あまりにも冒険にはしゃぐ新咲の姿が無垢で愛らしく可愛らしくまるで風に吹かれる綿毛のように愛おしくて…このまま永遠にその姿を私の全てに焼き付ける勢いで記憶に留められればいいと全意識を集中させてしまいました。ああっ、何て愛らしい可愛らしいその額に口づけて煌めく瞳を食べてしまいたい…っ!!むしろ目にいれても痛くないどころか身体の内側にずっと入れてどこにも出さないように閉じ込めて手に入れてしまいたい愛し過ぎる!!!”
「ゴメンナサイはしゃぎ過ぎましたスミマセン恥ずかしいからもうこれ以上追い込まないでぇええええ!!」
「……えーと、これってアクジュンカンってやつか?ご主人ー?また伏せしてるぞ?俺は楽しんでるご主人も可愛かったからそのままでいいと思うんだが…」
「………少しそっとしておいてあげればいいと思うよ。僕もはしゃぐご主人が見れて嬉しいし可愛かったけど」
「二匹ともにイケメン!!!でもこれ以上はもう…!キャパオーバーだからそっとしておいてー!!」
女神様どころか味方の筈の二匹にまで可愛いと言われてしまい、普段そこまで褒められ慣れてない私のライフはもうゼロに近く、褒め殺しとはこういう事かと身をもって実感するのだった。