初めまして、異世界 14
「じゃあご主人、これから僕が言う言葉を一緒に口に出して言ってね。いくよ〜。…『女神の誓約の名の下、契約者に真名を与える』」
「めがみのせいやくのなのもと、けいやくしゃにまなをあたえる」
「『汝の名はキラ』」
「なんじのなはキラ、……っ!」
教えられた通りの方法でキラの言葉に続いて復唱を終えた途端、目の前の身体が淡く青白い光に包まれて数秒で元に戻ったので、一体何事かと呆気に取られながら疑問符を飛ばしまくっていたならば、満面の笑みを浮かべたイタズラッ子が自ら種明かしを口にしてくれた。
「よっし、これで僕はご主人と契約して『獣魔』っていうご主人だけのモノとしてずーっと繋がることに成功したから、新しい名前と一緒に最期までよろしくね!」
「ええええええっ!?な、どうしてそうなった!!?」
驚愕の事実に一瞬くらりとめまいがしたかと思ったが、どうにか持ち直し現実を見据えることに意識を集中させた。
確か最初キラは、僕の言葉を復唱してねとか言葉を一緒に口に出して言ってねとかやたらと“繰り返すこと”を強調してこちらに伝えていたようだった。だとすると、始めからこうなることを知っていた──もしくは企んでいた可能性が高いということだ。
それに、そういえば最初キラから聞かれていたではないか。メガミから何も聞いてないの?──と。
そうなると導き出される答えは一つしかない。原因はやっぱり…!
「めがみさまぁああああー!!しっかりがっつりことこまかにせつめいしてもらいますからねぇええ!!!これまでのやりとりもしってるんでしょぉおおおおお!!?」
“────……バレましたか!”
空に向かって一転集中、きっと答えが確実に帰ってくるはずだと確信を込めて叫んで見れば案の定テヘペロ的な楽観さで女神様からの返事が聞こえてきたので、ちょっと言い回しが可愛いと思ってしまったことはサクッと内密にしながら、まずは聞きたいことが盛り沢山ながらもこれだけは絶対に確認しないとと思いつつ開口一番、気付けば最も知りたいと思っていた事を直接的な表現で叫んでしまっていた私は悪くない…と思うんだ。……うん。
けれど後からよくよく考え直してみたならばやっぱり頭に血が上って冷静に考えることが出来ていなかったんだな、っていざ平静になってみた今恥ずかしさで赤面することになるも、後悔先に立たずとはよく言った言葉で後々羞恥に悶える自分にピッタリだと思わずにはいられなかった。
「いったいわたしのからだになにをしたんですかー!!!」