初めまして、異世界 12
(うーんと、とりあえず今は私の事より先にアオとソラに新しい名前をあげなきゃ、だね。そうだなぁ…ううーん、名前、名前ねぇ……)
どうしようかと脳内でうーんうーんと唸るのだが、なかなかコレだとピンと来るものが浮かばなくて地味に焦りが出始める。
さらに目の前では、キラキラと期待で瞳を輝かせながらおすわりをする二匹がおりこうさんにも待ってくれている為、プレッシャーもじわじわとかかりどうしたもんかと最終的には悩みすぎて地面を転げ回りたいくらいに考え抜いてみたのだが、ふと二匹をじっと観察した際に極々自然に似合いそうな名前がすっと頭の中に降りてきたので、これはどうかしらと伺う気持ちで私は軽く二匹に思い付いた名前を伝えてみることにするのだった。
「…アオ、ソラ。いまやっとぴったりななまえをおもいついたんだけど、つたえてもいいかな?」
「うん!」
「早く早く!ご主人!!」
待たされた二匹はこちらが思っていた以上に期待でわくわくしていたようで大分素早い反応を返してくれた。特にアオは、おもちゃのボールを投げる前のような興奮を抑えきれてない様子で、大きな姿になっても地球の時と変わらないその姿に可愛いのと嬉しいのが重なって多大に癒される思いを味わうのだった。
「おまたせしちゃってゴメンね。いまアオとソラをみておもいついたんだけど、にひきのあたらしいなまえはアオは『ハクロウ』、ソラは『キラ』っていうのはどうかな?」
「ハクロー?」
「キラ?」
「どっちもにひきのあたらしいすがたをみておもいついたの。アオはぎんいろっていうよりプラチナっていういろにちかいなっておもって。プラチナははっきんともいうんだけど、それとフェンリルはちきゅうではオオカミっていうシュゾクだったからふたつをあわせてみたの。それからソラは、ここでのあたらしいシュゾクとしてのたんじょうのおいわいとおめめのいろがおつきさまににてすっごくキレイだから、こっちもあわせてみたんだけど…どうかな…?」
どちらも地球上では神話の生物とされていたが生物としての内容はさんざんだったと記憶している。ならば、こちらではそんな存在とは無縁の可愛い子達であるようにとの願掛けを込めての命名である。
二匹ともに不幸な未来を招かないように、言霊の力を信じて愛される存在になって欲しいとの願いも込めて二匹の存在を名前にしてみたのだが、果たして気に入ってくれるかどうか…。
「ご主人ご主人!俺に新しいナマエをくれてありがとう!!ご主人がすっごく考えてくれた名前、俺、大事にするよ!嬉しい!!」
「僕も!新しいナマエ、すっごく気に入ったよ!!ここでの新しいシュゾクがナマエに入ってるだなんて、一番として相応しい王のナマエにピッタリだもの。ありがとう、ご主人!」