目覚めたら、女神様の胸の中 13
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『ねぇねぇ、おばあちゃん。どうしていつもかみさまがみてるってすぐわかるの?わたしにはぜんぜんわからないのに』
『あら、ふふっ、新咲は分かるようになりたいのかい?』
『うん!みておはなししたい!!かみさまもどろだんごつくるのすきですか〜とか。いっしょにあそびませんかってつたえたい!いつもおはなもおそなえしてるから、すきなおはなとかきいてみたいっ』
『まぁ、ふふふ、素敵な事ねぇ』
『ねぇねぇ!どうやったらみれるのっ?』
興奮冷めやらずな小さい私を、近所に住んでいた祖母がニコニコと眺めては身を乗り出す身体を落ちないように支えてくれる。
辺りには庭園よろしくな色とりどりの花が咲き乱れ、子供心にこの家はテーマパークと同じくらい楽しい場所と記憶していて、今私は祖母と2人、縁側で並びながら近くのよく行く神社の神様について話しをしていた。
『ううん、そうだねぇ。おばあちゃんもいままでに1、2回ぐらいしか会ったことないのだけどね』
『あったことあるのっ!?』
『うん、そうだよ。会えた時は本当にびっくりしたの何の、腰が抜けて腰が抜けて』
『…おどろいちゃった?』
『ふふふ、そうだねぇ。でもその時に神様に会える方法をしっかりと教えて頂いたんだよ』
『!!』
祖母の言葉に小さい私は、瞳を輝かせて次の言葉を待つ。その姿は一言一句聞き漏らすまいと真剣な有り様で、大人の私はそこまで聞きたかったのか、と微笑ましく思いながら2人の会話を遠くなのか近くなのかわからない距離で眺め聞いていた。
『その方法って言うのがね、とても簡単なことで。神様が言うには“身を清く、心を清く、周りを清くすればまた会える”と言うんだよ。…要は新咲はよく寝て、よく食べて、よく遊んで、周りの人や物を大事にしなさい、そうすれば会えますよと教えてくれたんだ。わかるかい?』
『うぅんと、じゃあわたしは…いっぱいねて、いっぱいあそんで、いっぱいごはんをたべればいいの?』
『ふふっ、そうだね。それから周りにある身近な物や近くにいる人も大事にすればきっと神様に会えるよ』
『ふぅん…うん、わかった!じゃあ大事にする!!』
『それじゃあ最初はお庭のお花を大事にしようかね。水やりを一緒にしようか、新咲』
『うん、やる!!』
祖母の言葉に一も二もなく飛び付いた小さな私は、それから2人で楽しく水やりをし、言われた言葉は最後には最早遠く彼方に消え去ってしまっていた。
どうしていまさらこんな光景を思い出すのだろうか──とぼんやり思った瞬間、思い出すという言葉に我に返った私は、そこで既に自らが下に落ちる感覚を実感していて。
(ああ……このまま死ぬのかなぁ………)
そのまままた意識がプツンと途切れてしまうのを遠く感じながら、今のは走馬灯だったのかとふと思っては納得し、最後に祖母に会えただけでも良かったと一言ぽつんと呟くのだった。