初めまして、異世界 11
できるなら二匹ともにできるだけ可愛く見せられるような装飾品や身体を覆える大きなシーツなんかがあると有難いと考えていたのだが、私の言葉を聞いたソラがアレ?という顔で首を傾げていたのでつられてこちらも疑問に首を傾げてしまった。
「?どうしたの、ソラ」
「…えっと、ご主人。もしかしてご主人はメガミから何も聞いてないの?」
「??メガミサマからって、なにが?」
特に何か伝言や連絡事項なんかがあったっけ?と思い返してみるがさして思い当たる事柄も無く、ソラの言葉にさらなる疑問符が浮かび上がる状態だったのだが、聞いた本人にはこちらの様子が伝わったみたいだ。
何やら納得したように「そっか」と頷くと、次の瞬間嬉しそうに私を呼んで頭をすりすりとこちらにこすりつけてくるので、そのモフサラ具合に思わず嬉しさも勝って弾んだ声が漏れてしまった。
「ふふっ、なぁに。どうしたのソラ、いきなりすりすりしちゃってっ」
「ご主人ご主人、僕、先にご主人からナマエを一番に付けて貰いたいな」
「えっ!なまえ?」
突然のソラのお願いに再びアレ?と疑問がわく。つい今しがたもそうだが、何度も地球と同じ呼び名を呼んでいたのだが何か違うのだろうか。
「えっと、ずっとソラってよんでるけどこのナマエじゃちがったのかな?もしかして、チキューのときからきにいらなかった…?」
「あ、違う違う!!ご主人が付けてくれた最初のナマエは僕も気に入ってるから嫌だったとかそういうんじゃないんだ!ただ、この場所だとそのナマエは前の時のモノっていう扱いみたいで、今の僕の魂には馴染んでくれても身体には馴染んでくれないみたいなんだよ。だから、さっきからご主人にナマエを呼ばれてるんだけど何か知らない人間に呼ばれてるみたいでむず痒くって…。此処を移動するなら尚更ご主人に新しいナマエを貰って安心してから移動したいと思ってるんだけど、どうかな?」
「あ、そうなんだ!それならよかった。じゃあ…ソラとアオどっちにもあたらしくなまえをつけてもいいかな?」
「うん!」
「俺も俺も!嬉しい、ご主人!!」
二匹とも本当に嬉しそうにそわそわと身体を動かしながら静かに待つ体勢をとったので、気付かずに以前の名前でどちらも呼び続けていたことに申し訳なさを感じてしまった。
と同時に、お互い転生したんだなぁという実感を若干得られたので、機会があったら自分の名前も新しいものを考えておこうと心機一転となるきっかけの一部となったことは間違いようもなかった。