初めまして、異世界 4
衝撃の事実に現実かどうか脳が認識する前に二匹から若干呆れ気味な突っ込みとズレた返答が届く。
と、そこでようやく周囲にも意識が向いた私は、今居る場所が実は屋内ではなく外であることが分かり、接している地面には一面フサフサの草が茂っていてこのお陰で身体が痛くなかったのだと認識することができた。
(え、えぇと、確か私はさっきまで……………そうだ!女神様と話しをしてて、途中で時間だーって言って中途半端のまま……そう、転生した…んだよね?合間合間で何か真っ暗だったり何かの音を聞いた覚えがあるんだけど…ううん、ダメだ。全然記憶に無い)
これまでの経緯を思い出そうとして、まったくといっていい程さっぱり記憶が残っていないことに少しのもどかしさを覚えつつ、まぁ生まれる直前の事なのだから覚えてないのも当然か…といたく納得をしながら思考が徐々に徐々に現実逃避に切り替わっていることに気付いた私は、しっかり現実を見ないと…!と意識をはっきりさせる為一度思考をクリアにする様に頭をふるふる左右に振ると、とりあえず直前の記憶については一旦忘れることにして目の前の二匹との会話に集中することに注意を傾けるのだった。
「ぇと…あの、あなたたちはわたしを知ってるの…かな…?」
「さすがご主人!僕らのことをもう受け入れてくれたんだね!!……うん、僕たちはずっとずっと君を何年も待ってたんだ。また前みたいにもう一度会って一緒に居たくて。ご主人といた記憶を取り戻してからは、もう毎日毎日寂しくてずっと会いたいって思ってたよ」
「俺も俺も!前にご主人と一緒にいた記憶がよみがえってからはずっとご主人のことを探して世界中を走り回ってたんだっ!…でもご主人はどこにも居なくて……。俺が最期の時にご主人すごく泣いてたからすぐ慰めなくちゃ!って焦って探してたんだけどどこにも匂いもしないからずっとずっと哀しかった。…でもそんな時にメガミから教えてもらったんだ。ご主人がもうすぐこっちに来るからまた一緒にいられるんだよって!だからメガミに毎日ご主人がこっちに現れるのはいつかって聞いてずっと待ってたんだっ」
嬉しそうで楽しそうな二匹の声音と待っていた、という言葉に思わず目がぱちくりと瞬く。
もしかしてもしかすると…と頭の中で予感に希望が膨らむが、違った場合確実に無条件で涙が溢れてしまいそうで確定的な疑問を口に出せないでいた。
それでも──『最期の時』と決定的なヒントを貰えたのだ。これで双方の思い描いているシルエットが違うだなんてあるのだろうか?