目覚めた貴方は、私の腕の中
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「…ふふ、うふふふふふふふふ、やっと…っ、やっと手に入れましたわ。ああ、私の愛しい愛しい新咲っ!ようやく私の星の子としてこの手の中に生まれ落ちてきてくれるのですね。あの日地球で見かけて心を掴まれた日から今日、神の生に時間というものは無きに等しきものではありましたが、この瞬間がいつ訪れるものかとずっとずっと身を焦がしつつも一心に願っておりました。それが今ようやくと形になった。これまでは貴方の笑顔も涙も悩みさえも全て見ているだけの口惜しい日々ではありましたが、これからは真逆の生活そのもの──その手を取り、共に笑い涙し、さらにはその悲しみを拭い去ることも出来るということなのですね。ああ…っ、何て素晴らしい日々の幕開けなのでしょうか!この瞬間からは一層あの子の姿を目に焼き付け、その成長を見守っていかなくては…!!確か地球には『かめら』といった記録用の媒体があり、それをいつまでも保存できる代物が数多に用途としてありましたわね。それをなんとしてでも私の星でも開発しなくては、あの子の成長を一秒でも逃してしまったかと思うと……っ!悔やんでも悔やみきれないどころか神の力を行使してでも時を遡ってしまいそうですわ…。けれど、あの力は頻繁に使うことは星にも悪影響が出てしまいますし。今すぐ記録の媒体を作れないとしましたらどうやって解決策を練ればいいの……か……………あ、そうですわっ。私があの子の近くに居れば問題は何も無くなるという事になりますわね!タイミングよく渡す筈でした力の付与もまだではありましたし、あの子の願いやこれから叶えたいことの話しも時間が迫ってしまってできませんでしたもの。私の星に力を与えてくれるそれはそれは大切な異世界の者なのですから、神自らがサポートに回るのも何ら問題は無い事となりますわ!えぇ、きっとそう!!なればこそ早速と用意をしてあの子の力になりませんと…!待っていて新咲、貴方の守護神がすぐに舞い降りて傍に行きますからね!!……うぅん、このままの容姿で地上に降り立ちますと目立ちますわね……。星の住人たちに見つかるのも本意ではありませんし、そうなるとかくなる上は………──」