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目覚めたら、女神様の胸の中 102

「ちなみに、前者と後者でしたら(わたくし)としましては前者の方がまだ慈悲があると言えますね。虫の息の状態のところを、スパッと自動で息の根を止めてくれるのですから。新咲(さらさ)の住んでいた土地でもよく言い伝えていましたでしょう?慈悲をかける事を“ブシノナサケ”と」


「情けが一ミリもカケラすら無いと思うのですが!!?」


「あら、そんな事はございませんのに。補足となりますが後者を選んだ場合、最後の圧死の部分でじわじわと潰される形となりますので、その部分を比較するだけでも前者の方が優しいと言えるでしょう。…ふふっ、新咲(さらさ)は本当に優しすぎて、(わたくし)は到底その慈悲にすら及ばないと自身の矮小さに気付かされますわ」


「いや、何て言いますか。そういう次元の話しではないと思うのですが……」


「ふふふふふ」



あれー?おっかしいなー??

私の普通を基準に修正を女神様へとお願いしてみたのに、返ってきたのはより苛烈な結果となった返答と、まるで慈悲深い人間にでもなったかの様な私への評価だった。

あれ?おっかしいな。さっきまでリラちゃんには優しい表情や気遣う言葉をかけていたよね?……きちんとこの目で見たし記憶もある。

自分の星の事も、愛の一部だって言っていたよね?………うん、幻ではない。

じゃあ、さっきまで見せていた優しい笑顔を浮かべた彼女は一体どこへ……?



(中身だけ入れ替わった…?なんてことあるはず無いしね)



トンチンカンな思いつきに、我ながら自分の混乱さを把握すると言うか。一体全体それよりも以前の問題で、内容が過激すぎてOKの返事よりも取捨選択すら出来やしない。むしろどちらも選択を拒否したい。

だと言うのに、今この時ですら彼女はどちらを選ぶのかとキラキラした目で期待を込めながらこちらをじーっと見てくるので、私はどうにか意を決して結末を決めなければいけないのだ。

果てしなく広がり続ける“困ったぞ”の一言に、背中にはダラダラと冷や汗が流れ落ちる心境だった。



(えぇぇえええと、どちらに決めるかは……選択は………あああぁ……!)



ちら、と彼女を見れば直ぐ様目が合いにこっと微笑まれる。その瞬間『よし、決めた』と女は度胸だと思いながら、柔和な表情とこれまでの彼女の言動に勇気を貰いつつ、確信が持てないので慎重に恐る恐るとなりながら(何て矛盾した行為をするのか)、彼女にこちらの希望を提案してみようと口を開いてみるのだった。



「あの……ご提案と言いますか。お願いがあり」


「何でしょう!?何か望むものが出来たのですか、新咲(さらさ)!!貴方が望むのならば、(わたくし)は何をもってしても願いを叶えて差し上げましょう!さぁ、貴方の口から望みを伝えて。…ぁあ、ようやく(わたくし)の夢が叶うこととなるのですね…」

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