目覚めたら、女神様の胸の中 1
「──ラサ、……サラ……サ………サラサ、起きて下さい。朝ですよ」
───とても穏やかな、優しい声が聞こえる。
まるで揺りかごにゆらゆらとゆられて微睡んでいるかの様な。そして、寒くもなく、かといって暑すぎない適温ともいうべき心地よさを感じている今。
時折聞こえるシャラシャラとまるで小川のせせらぎの様な小さな音が耳にとどいて、私は静かに深い癒しに包まれていた。
(ね、眠いよぉ。誰かに呼ばれているような気がするけど…両目がなかなか開けられない。………ねむいねむいねむいねむねむねむねむね…………………………………ぐぅ)
あまりにも寝心地が良くて、まさに二度寝しようと意識を失いかけたその時。
すぐ近くで聞こえた女性の──まさしく鈴を転がすような笑い声──に、私は今度こそ意識がはっきりとするのを感じ取っていた。
「…ふふっ、何て可愛らしいのでしょう。本当は私も存分に寝かせてあげたいと思っているのですが、そろそろアチラに貴女を送らないと待ちくたびれている者達がいるのです」
首を長くして待っていますよ、と慈愛の声色を滲ませた言葉に何故だか泣きたくなる目と困惑を抱えた私は、ゆるゆると光に馴染ませるように目をゆっくりと覚ます。
──と、そこには。
衝撃的な光景がただただ広がっていて、薄ぼんやりとする私の頭は後に多大な後悔を生むことになる一言をぽつりと呟き落とすのだった。
「…………………………美乳?」