35話 吹き荒れる暴威
地下基地はメ〇ルスラッグや地〇防衛軍に出てくる感じでめっちゃ広いです。
中からガ〇ダムでも発進してくるのかな?ってくらい広いです。
安心してドンパチできますね!
「撃て! 撃てーっ!」
「手当たり次第にガードロボを起動させろ! 全機だ! 全機出げ――施設の保護ぉ!? んなの気にしてる場合かよ!!」
「敵を近付けさせるな! 撃ちまくれーっ!」
広大な地下基地の内部に、怒号と銃声、そして爆発音が断続的に鳴り続ける。
昼休憩に入り、基地に属する人間が思い思いに休息を取っていたその時に、突如現れた襲撃者たち。
その襲撃者たちを相手に、基地の人間たちは混乱の最中にありながらも、必死に立ち向かっていった。
「うおおおーっ! 死にやがれーっ!」
「俺たちの職場から出て行けっ!」
ある者たちは即席のバリケードに身を隠しながら、手持ちの銃火器をぶっ放し。
「丁度いい、実戦における使用データが欲しくてですねェ!」
「そんな旧式ごときにっ!」
またある者たちは、メカメカしい造形をした剣や槍といった特殊な近接武器を手に、侵入者たちへと飛び掛かる。
彼らの士気はおおむね高く、使う装備もまた、襲撃者たちの握る表側の兵器とは比べ物にならない程の高性能。
先制攻撃こそ許しはしたものの、このまま順当に行けば戦況はひっくり返せる――そのように彼等は思っていたに違いない。だが、しかし。
「なぁーにが職場だあ! ふざけやがって!」
「調子に乗るなよ、犯罪者共が!」
押し寄せる侵入者こと、管理機構に属する者――と、その彼らがかき集めた有志や傭兵たちの連合軍。
彼らの士気もまた、基地を防衛しようとする結社の構成員に負けず劣らず。いや、むしろ上回る威勢でもって、次から次へと怒涛のように押し寄せてきた。
「行くぜェ! ついて来いやカス共ーッ!」
「進めーッ! 傭兵どもに遅れを取るなーッ!」
「娘の仇だ、死ねぇーっ!」
“武器の性能で負けるなら、それを握る人間の性能で上回ればいいじゃない”というストロングな理論の元、金に糸目をつけずに集められた歴戦の勇士たち。
果たして、彼ら連合軍はその目論見通り。結社の防衛組と、互角以上の戦いぶりを見せつける。
「こ……こんなところで……」
「いでえ……いでえよ……」
しかしそのように勇ましく戦うものたちもいれば、敵の攻撃を受けてその命を散らすものもまた、当然ながら存在し。
数刻前まで平和だったであろう基地は、あっという間に死体や瓦礫が散らばる鉄火場へと変貌していた。
「どけどけー! 緋乃さまのお通りだーい!」
「ぐわーっ!」
「なんだあの子供は!?」
「うぅ、勇ましい顔で銃を構える緋乃ちゃん……カッコかわええのう……!」
「よだれ垂れてますよ、師匠……」
その地獄のような戦場と化した基地の一角。
大型の車両ですら、余裕をもってすれ違えるほど幅の広い通路を、緋乃・刹那・恭二の三人で構成されたチームが駆け抜ける。
「ぐぁっ!」
「があぁっ!?」
「三つ、四つ……! いぇい、全弾命中!」
チームの先頭に立った緋乃は俊敏に動き回りながら、右手に携えた大型ライフル――銘はアンタレス。全長約1.5m、総重量五十キロにして “気や魔力を打ち消す金属”こと、結社が新開発したD1合金製の特殊弾の発射も可能――を撃ちまくり。
「やるのう緋乃ちゃん! 儂も負けてられ――」
「くそっ、これでも食らえ!」
「――させるわけなかろっ! 斬ッ!」
「ギャアアァ!! う、腕が……!」
そうして主力を務めるが故に、敵兵からのヘイトを最も集める緋乃を――ちょうど今、手榴弾を投げつけられるところだった――刹那が背後より風の妖術でサポートする。
「フン、儂の緋乃ちゃんを傷つけるなど千年早いわ!」
「ありがと刹那さん」
「クソッ、まずあのふざけた格好の女から始末しろ!」
しかし、その動きが目立ったのか。今度は刹那が敵から集中的に狙われてしまい、四方八方から銃弾が飛んでくる――のだが。
「っと、させないよっ!」
そうはさせじとアンタレスが火を吹いて、刹那目掛けて放たれた銃弾のうち、直撃するルートを取っていたものの全てを撃ち落とす。
「ば、馬鹿な!」
「相殺しただとぉ!?」
「ふふーん! どんなもんだい!」
驚愕の声を上げる敵兵たちを目にして、緋乃は淀みない動きで銃弾をリロードしながら勝ち誇る。
普段から勝手気ままに振る舞い、他者を顧みることをあまりしてこなかった緋乃ではあるが――しかし今回に限っては、自分からチームのリーダーに立候補したという経緯もあってか、真面目にその任をこなしていた。
(む、斜め前の扉からライフル弾いっぱい。あ、前の連中も撃ってきた。弾種は通常のっぽい? 弾道は……前のやつはほぼハズレで斜めの連中のはわたしへの直撃ルート。前の連中は囮か)
自分たち目掛けて飛んでくる弾を、その弾道から弾種に至るまでしっかりと目視で確認し。
その上で、回避しても問題ないか。防御して弾を止めるべきか。それとも掴んで投げ返すべきか。自身はどう動くべきなのかを判断して、行動に移す。
身も蓋も無いことを言ってしまえば、圧倒的なスペックに物を言わせたインチキムーブだ。
(でも射線上に味方はいない、と。よし、なら回避だね! 撃ち落とすのは弾が勿体ないし!)
こうして自分へ殺到する銃弾をあっさりと避けた緋乃は、続けて放たれた銃撃も、残像を残しながらの高速ステップでこれまた回避して。
「そこっ!」
腕一本で雑にアンタレスを構えると、前方の通路の出っ張りや物陰に隠れた集団を狙い撃つ。
アンタレスの銃口から巨大な銃声が響く度に、敵兵たちは身を隠している障害物やアーマーもろとも、その胸部を貫かれて絶命していき――。
「な、なんだあの子供は!」
「あんなふざけた撃ち方で、何故当たる!?」
その理不尽じみた破壊力と異様なまでの命中率に、相手側から慄きの声が次々と上がりだす。
「うーむ。儂が動くより、緋乃ちゃんが撃つ方が早いから出番が……。でも緋乃ちゃん楽しそうだしのう……」
「師匠の活躍はともかく、扱い辛い大型ライフルを練習無しでこれですからね。しかもこの状況下でも精神は安定しているとか……本当に彼女は、戦うための――不知火さん、次の通路を右に!」
後から後から湧いてくる敵兵たちを処理しつつ、緋乃たちは通路の先へと進んでいく。
今回の作戦にあたり、三人に与えられた役割は、敵の遊撃と撹乱。
つまり“いい感じに暴れて敵の目を引け”ということであり、この任務を遂行するにあたり、あまり戦闘力の高くない恭二が、ナビゲート役を買って出ていた。
「右だね、わかった――ってヤバッ!」
恭二の指示に従い、他のメンバーの安全を確保すべく、一足先にT字路へと突っ込んだ緋乃であったが――ついにと言うべきか。
結社の保有する自立兵器が戦線へと投入されたらしく、通路のど真ん中へと飛び出した緋乃を、軽自動車サイズの多脚戦車――結社内部ではアラクネの愛称で呼ばれているとか――が迎え入れた。
「敵、待ち伏せっ! 来ちゃダメーッ!」
かつて緋乃が遭遇したタイプより、二回り以上は大きいその機体と、機体の中央部に搭載された大型の機関砲をその目で確認して。緋乃は驚愕と焦りの混じった声を上げ、遅れてこの死地に飛び込んでくるであろう、刹那と恭二へとこの危機を伝えようとする。
「ずいぶんと好き勝手やってくれたようだが……これで終わりだ!」
「行け、アラクネ! お前の火力を見せてやれ!」
冷や汗を流しながらも、敵の目の前で足を止め、仲間たちのために声を張り上げる。
緋乃のそんな健気な姿を見て、アラクネの側に立つ二人の男はニヤリとその口端を吊り上げて。
「撃てぇー!」
男たちが号令を下すと同時に、アラクネの機関砲が盛大に火を吹いた。




