チュートリアルクエストとNPC
アオバの落下死のリスタートからです。
突然に景色が変わった。おそらくリスポーンしたのだろう。あたりを見回すとなんかやたら目が合う。どうやら目立っている。そりゃあ急に上から落ちてきたから目立つのは当たり前だ。少し緊張しながらも自分を落ち着かせる。少し落ち着いて視線も少なくなってきた。とりあえず状況確認をしよう。だがどうすればいいんだ？っとおろおろしていると、頭に声が聞こえてきた。
「コネクターよリ、チュートリアルクエストが追加されましタ。」
「わっ！びっっくりした。」
ついデカい声を出してしまった。また周りのプレイヤーに見られた。だが今度は子供を見守るような視線だ。周りの反応からコネクターの声は他のプレイヤーには聞こえないらしい。それより声が頭にくるのがまだ慣れない。早めに慣れよう。そして早めにここを離れよう。
「まズ、コネクターに触レ、出てくる指示に従ってくださイ。」
コネクターの言う通りに真ん中の模様みたいなところに触れると、視界の半分にメニュー画面が現れた。そしてクエストのところに矢印がついていた。これが指示だろう。他にもステータス、装備、アイテム、フレンド、ニュース、設定、がある。色々見て行きたいのをグッと堪えクエストの部分に指を近づける。次の画面が出た。操作はこれであってるっぽい。また矢印があるので選択する。
ーーーーーーーー
<クエスト>
•チュートリアルクエスト(new!)←
(このゲームの遊び方を知ろう)
ーーーーーーーー
「案内を開始しまス。まずはーーー」
ながいながい。とりあえず行きながら思い出そう。まずはここ、ポータルの説明からだった。
ー「ポータルでハ、ログアウト、ポータルセーブ、ステータスポイントの再構築ができまス。ポータルセーブとはHPが全損した場合のリスタート地点の設定でス。」ー
よし次はここモリモリ街についてだった。誰だよ町の名前考えたやつ。
ー「ここは、第一層のいわば始まりの街でス。 この町でハーーーー」ー
↑
ー「それだけかよっ！それにネーミング！そして第一層とは！？」ー
なぜだろう、このゲームのコンピューターみんなこうなのだろうか。もう諦めて受け入れよう。
ー「この町でハ、プレイヤーが店を出したり家を建てたりすることができます。ただしこの世界にはNPCが普通に住んでいます。あなたたちの行動によって滅亡も繁栄もします。」ー
本当にプレイヤーが決める感じになるらしい。それにしてもNPCの様子を見るがAIだろうか。街を歩いてみたが、ほんとに普通の人間と大差ない。普通に生活している。外を歩いているが俺にとって久しぶりの外なのに落ち着く。ゲームの中だからだろうか。日差しはちょっと眩しいが。
そんなことを考えながら歩いていたら走り回って遊んでいた小さい子供がぶつかってきた。
「いてっ、おねーさんごめんなさい。」
その子は律儀にもお辞儀をしながら謝ってきた。なんだかちょっと怯えているように見える。俺は安心させるように笑って頭を撫でた。嫌悪感や恐怖はなかった。
「大丈夫だ。きみも大丈夫？少し周りに気をつけて遊ぶんだよ。」
自分でも驚くほど優しめの言葉が出てきてびっくりした。その子は元気よくうん！と言いながら走っていった。最近のNPCは高度だなーと感心してみていたら走ってった先にプレイヤーらしき人たちが見えてクエストのことを思い出した。
気を取り直して、次は街の外に出ろっていう指示があったはず。
ー「続いてハ、戦闘についてでス。街の外へ出てくださイ。」ー
俺はあの子に呼ばれたおねーさんの響きを思い出しながら街の外へと向かっていった。
俺はほんとに女の子になったんだなーと思うのと同時に、俺は変態なのかなーと少し凹みながら歩いていくのだった。
読んでいただきありがとうございます！
