お金稼ぎ
街中に入る時と違って、出る時は何の手続きも必要無かった。
ただ、腕輪の色だけはチラリと確認されたのは、仕方が無いことではあるけどね。
さて、外に出たので早速素材を探しに行くとしますか。
足元の草を注意深く観察しながら進むことにする。
「おっ! 早速発見!!」
ギザギザの葉っぱが特徴の薬草を見つけることが出来た。
「良く見ると、あちこちに生えてるじゃん!」
正直に言うと、お金稼ぎのために植物を採取することに抵抗を感じたが、この世界では薬草採取程度では影響が無さそうだ。
それに借金を返さないといけないしな。と自分に言い訳をして、俺はどんどん摘んで行くのだった。
・・・・
しばらく薬草を摘んでいると、向こうの方で地面か盛り上がり、スケルトンが現れた!
なるほど、スケルトンは歩いて来る訳ではなく、こうして現れるんだな。
おっと、感心している余裕は無いな。さっさと倒さないとまた枯らされてしまう。
「変身!」
俺はベルトへアタッチメントを装着した!
カッ!
まばゆい光を発し、戦闘員へと変身する。
「キー!(行くぞ!)」
俺は前回枯らされた時のことを思い出し、怒りを込めて右ストレートを繰り出した。
ドカッ!
やっぱり何も起こらず、単なる右ストレートとなってしまった。
仕方がない、俺はそのまま連続パンチを繰り出すことにした。
シュッ、シュッ、パン! パン!
俺はフェイントを入れつつ、パンチを繰り出す。
スケルトン自体の動きはそれほどで無かったため、俺の攻撃は当たるのだが、あまり効いている感じがしないな。
「カタカタカタ。」
スケルトンが顎を震わせている。笑っているのか!? 馬鹿にしやがって!!
その時、スケルトンの周りの草が枯れだしてきた。
「キキー!(やらせるか!)」
怒りのパワーが右手に宿ると、真っ赤に燃え上がった。
「キー!(くらえ!)」
怒りの右ストレートがスケルトンへと命中した!
ドカーン!
見事スケルトンを倒すことが出来た。
魔石を見つけ、今回は売るためにポケットにしまうことにした。
だけど、拾った途端、魔石が輝いて、ベルトへと吸収されてしまった。
『28』
どうやら俺は魔石を拾って売ると言うことが出来ないみたいだ。
仕方がないので、枯れた草を回復させ、薬草採取に専念することにした。
『27』
・・・・
「ふぅ~、こんな物かな。」
日も暮れ始めた頃、俺は両手いっぱいの薬草を採取することが出来てホクホクだ。
「この調子ならば、案外直ぐに借金を返せるかもしれない。」
俺は、急いでリデアの街へと帰ることにした。
今回の門は人が少なく、すんなりと入ることが出来た。もちろん冒険者カードが有るので無料である。
街に入れたので、冒険者ギルドへと向かうことにした。
冒険者ギルドへ到着し中に入ると、この時間は依頼の報告やら納品のために人で溢れかえっていた。
俺は依頼を受けて無いので、そのまま納品カウンターの方に向かうことにする。
待つこと30分ほどで、俺の順番になった。
「次!」
ドサッ。
持って来た薬草をテーブルに置いた。
「買取を頼む。」
それを見た受付の親父が面倒くさそうな顔をした。
「こりゃまた沢山持ってきたものだな。」
そんな文句を言いながらだが、しっかりと薬草の状態を確認しつつ数えていた。
「…毒草が307本、腹草が75本、薬草が3本か。全部で中鉄貨4枚と鉄火8枚だな。後、毒草7本分が中途半端になるが、どうする?」
「ええっと、内訳教えて貰っても良いでしょうか?」
「ちっ! 面倒くさいが仕方ない、毒草は10本で鉄貨1枚、腹草は5本で鉄貨1枚、薬草は1本で鉄貨1枚だ。だから毒草は3本足りないって訳だ。」
「なる程、鉄貨以下のお金が無いから余る形になるんですね。」
「そう言うこったな。」
「分かりました。では持ち帰ることにします。後、薬草の用途を教えて貰っても良いですか?」
「そこにある本に書いて有るだろうが。」
「字が読めないんですよ。」
「あーったく面倒くさいな、毒草は絞った汁を矢や武器に塗って切ると、行動を阻害出来る。まぁ、気持ち程度だけどな。
腹草は、そのまま食えば下痢に効く。薬草はHPポーションの材料だな。」
「なるほど、そう言った用途何ですね。」
「もう良いか?」
納品カウンターはそれほど混んでいる訳ではないが、これ以上は迷惑になるな。
「はい。ありがとうございます。」
俺はお金を受け取ってカウンターを後にした。
「大した金額にならなかったなぁ…」
やっぱり魔石を売らないと駄目なのだろうか? とは言っても、俺は魔石を持つことが出来ない。
だけど、これを7日続けても、約銅貨3枚分程度の金額にしかならない。このままだと借金奴隷となってしまう。
俺は飯を食わなくても生きて行けるし、野宿すればお金は掛からない。すべてを貯蓄に回せるのだが、それでも全く足りない。
とりあえず明日は、一番買取が高かった薬草を中心に採取をしてみることにしよう。
俺は、冒険者ギルドを後にして、今日の寝床を探すことにした。
街の中央にちょっとした広場が有り、泉も有ったので、ここで夜を過ごすことにした。
俺の体は、水分以外は吸収することが無いので、水と毒草を夕食にし、木陰で眠ることにした。
泉の水は、湧き水程の美味しさは無かったが、まずまずの美味しさだった。
お腹も膨れたので、寝ることにした。
おやすみなさい。




