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冒険者ギルド


「おぉ!」


門をくぐって街中に入ると、俺は驚きの声を上げた。

地球では有り得なかった木で出来た家や、石やレンガで出来た家が並び、日本では見かけることが無い建物が沢山有った。

それに何と言っても、町中にも緑が有るじゃないか!! 他にも水路が走っていて、綺麗な水も流れていた。

排気ガスを垂れ流す車も、汚染水を流す工場も無く、此処は本当に素晴らしい街だとしか言えなかった。


「さてと。まずは冒険者ギルドへと行ってみるとするか。」


何時までも街を眺めて居たかったが、後でも出来ることだし、用事をさっさと済ませてしまうことにした。

とは言っても、冒険者ギルドが何処に有るのか知らない。あそこに居る人にでも聞いてみることにしよう。


「すいません。冒険者ギルドの場所を教えて貰えないでしょうか?」


「おや、この街へは初めて来たのかな?」


「はい。」


「そうかそうか、冒険者ギルドは、この道を真っすぐ歩くと、突き当りに有る建物がそうだよ。

 盾と剣が描かれている看板が目印だ。」


「わかりました。ありがとうございます。」


俺はお礼を言って、先を急ぐことにした。


「それにしても此処は賑やかだなぁ~」


あちこちで露店やらお店が有って、とっても賑やかだった。

売ってる人も買ってる人も笑顔で、見ているこっちも楽しくなりそうだ。

向こうでは、スモッグで薄暗いのも有ったが、みんな暗い顔してたからな。


「たとえ帰れなかったとしても、ここで生活するのも悪く無いかもな。」


思わず口から無意識にこぼれた言葉にビックリした。もしかして本音だったのかもしれない…

そんなことを考えつつ道を歩くと、目的の建物へと到着したみたいだ。

盾と剣の看板も有るし、間違い無いだろう。

俺は冒険者ギルドへと入ることにした。


開け離れている扉を抜けると、大きなフロアーが有り、沢山の人で混雑していた。

正面と左側にカウンター、右壁には掲示板が見えた。左側のカウンターには、品物や素材、魔石等の品々が有ったので、あそこは売買カウンターなのかもしれない。

正面のカウンターには、女性が3人ほど並んで座っており、並んだ人の対応をしているので、おそらくあそこに行けば登録や受付等をしてくれるに違いない。

左側の女性の列が一番短いので、此処に並ぶことにした。


「次の方どうぞ~」


30分ど並んで、ようやく俺の順番になった。

俺はカウンターへと進んだ。


「本日は、どの様な御用でしょうか?」


元気良くにこやかに対応してくれた女性は、黒髪黒目で少し小柄で、のっぺりとした顔が日本人っぽい感じがしていて好感が持てる感じだ。

体型については……ノーコメントとしておこう。でも多分だけど、20歳くらいな感じがした。


「えっと、冒険者になりたいのだけど。」


「新規登録ですね。では、こちらの書類に記載をお願いします。」


俺は用紙を受け取り、中身を確認してみたが、ミミズがのたうち回ったような字が書かれていて、全く読むことが出来なかった。


「すいません。字が読めないです。」


「では、こちらで質問しますので、教えてくださいね。」


「はい。」


「名前と年齢を教えて下さい。」


「ハルト、20歳。」


「ハルトさんね、20歳…っと。職業は?」


「戦闘員。」


「えっと、それは戦士ってことでしょうか?」


「そうなりますね。」


「戦士…っと。得意な武器は?」


「この拳と足です。」


「あれ? 戦士なのに、剣とか盾は使わないんですか?」


「使えない訳じゃ無いですが、持ってないので。」


今は無理でも、いつか奴みたいな専用武器でも手に入れてみたいものだ。


「そうですか。とりあえず使えるとのことなので、剣にしておきますね。」


「はい。」


女性がパソコンみたいな機械を操作していると、カードが排出された。

カードをトングみたいな道具で挟み、テーブルの上に置いた。


「こちらがハルトさんの冒険者カードとなります。」


渡された冒険者カードは鉄色の名刺サイズのカードだ。何やら文字が書いて有るが、全く読むことは出来なかった。


「このカードは身分証明にもなりますので、無くさないで下さい。

 無くしてしまっても、再発行は出来ますが、金貨1枚が必要になりますので気を付けて下さいね。」


「はい。」


「それと、このカードは犯罪歴が記録されます。盗賊などの犯罪者を倒した時は問題有りませんが、一般人を倒すとカードが黒くなって使用できなくなります。」


「それってどうやって判別しているのですか?」


「そのカードは魔力から情報を読み取っています。最初に触った人の魔力を持ち主と認識し、以降はその人が係わった魔力を自動的に収集する様になります。」


なるほど、だからカードが出来た時にトングで渡されたんだ。


「では、次に冒険者ギルドの説明をしますね。」


「お願いします。」


「依頼を受ける場合は、あちらの掲示板より依頼表を持って来て、冒険者カードと一緒に提出して頂ければ、その依頼を受けることが出来ます。

 依頼にはランクが有りまして、そのランクより上の依頼は受けることが出来ません。」


「ランク?」


「ランクは、冒険者カードの色で分かります。

 ハルトさんの場合は、初心者なので、鉄ランクですね。」


「なるほど。」


「依頼が完了し、依頼者から終了印を貰ったら、こちらに持って来ることで依頼は完了となります。

 採取や収集等の依頼の場合は、あちらのカウンターに納品し、そこで終了印を貰って下さい。」


「わかりました。」


「依頼を受けることでギルドポイントが加算され、一定のポイントが付くと昇給試験を受けることが出来ます。

 それに合格すると、ランクが上がるので頑張ってくださいね。」


「何か質問は有りますでしょうか?」


「質問…特には…あっ!

 俺、字が読めなかったんだっけ、依頼を受けることが出来ない!」


そうだった。何の依頼か分からないのに、受けることは出来ないよな。


「それでしたら、掲示板の所に居る『読み聞かせ屋』にお願いすると、お金は掛かりますが読んで貰えますよ。」


「そのお金も無いのですが…」


「納品カウンターでは、依頼とは別に、素材等の買取を行っておりますので、それを売るのも有りですね。」


「素材って骨とか?」


「骨はちょっと…魔物の種類によっては買取を致しますが、基本は魔石とかですね。

 後、薬草なんかも買い取っております。何の素材なら買い取るのかは素材集の本で確認できますので、読んでみるのも良いかもしれませんね。」


「字、読めなくても大丈夫?」


「はい。イラストで描かれているので、物にもよりますが、大抵の物でしたら見れば分かるかと。」


「分かりました。読んでみることにします。」


「それでは、私、アズサが対応致しました。

 またのご利用をお待ちしております。」


用事も済んだので、カウンターを後にした。

早速素材を確認するために、納品カウンターへ向かうことにした。

カウンターの隅に本が置いてあったので、アレが素材集だろう。

俺は手に取って読んでみることにした。


「……確かにイラストで描かれているから見れば分かるのだが、何処に行けば良いのかが分からないな。」


おそらく脇に書いて有る文字が、何かしらの説明なのだろうが、読めないのでさっぱりだ。

とりあえず此処まで来る時に見かけたスケルトンのページを見てみるが、どうやら魔石だけっぽい。


仕方が無いので薬草と思われる草花のイラストを見てみる。

特徴を拡大して描かれているので分かりやすい。しっかりと覚えることにした。


「こんな物かな。」


一通り読んで、最低限の知識は手に入れたと思われるので、早速お金を稼ぎに行くために、冒険者ギルドを後にするのだった。


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