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新たな力


パチッ…俺は目を覚ました。

目を覚ますことが出来たってことは、また生き残ることが出来たのか。

くそっ! 奴め!! 次こそは見てろよ!!


「あれ?」


気が付くと、俺はいつもの堅い床では無く、柔らかい土の上に居た。

もしかしたら全滅したから回収されなかったのか? いや、俺が倒されたのは工場内だから土の上では無い。

と言うことは、仲間が助けてくれたのだが、運ぶ途中に何かしらのトラブルが有って置き去りになってしまった方が説得力が有りそうだ。

俺はとりあえず周りの確認をすることにした。


「なっ!」


俺は周りの景色を見て驚いた。

環境破壊の進んだ世界のために、木々は伐採されて自然は消え、大気汚染により空はスモッグだらけだったはずだ。

なのに、この世界には森が有り、空は青く、そして空気が澄んでいて綺麗だった。


「あぁ、なんて美しいんだ…」


ぽたっ…


俺はふと、自分が泣いていたことに気が付いた。

まぁ、こればっかりは仕方がない。だって、この景色が長年求めていた理想の世界だったからだ。


「それにしても此処は何処なんだ?」


早く帰って、仲間たちにもこの景色を見せてあげたい!

だが、此処が何処か分からないため、帰り道も分からなかったため、俺は困ってしまった。

前後左右を見ても同じ様な景色でだし、人が居るような物は全く見当たらない。


「仕方がない、とりあえず行ってみるか。」


俺はこのまま前に進むことに決めて歩き出すのだった。



・・・・



「それにしても、ずっとこの景色が続くなんて…」


そうなのだ、もうかれこれ3時間程歩き続けているのだが、自然が無くなる様子が見られなかった。

金持ちの道楽で、莫大なお金を掛けた設備を作ることで、何とか植物を育てているってことは有ったが、アレは周りの環境を破壊しまくっての維持だ。

だからこれほど自然が続くなんてことは有り得なかったのだ。


「自然が多いのは有難いが、そろそろ水辺でも見つけないとマズいかもしれない。」


俺は改造人造兵器のため食事は必要ない。もちろん食事からもエネルギーは取れなくも無いが、食べ無くても問題が無いため、食事はどちらかと言うと嗜好品扱いになる。

でも、水だけは別だ。俺は水を分解し、水素をエネルギー変換している。空気中の水素からでも変換出来無くも無いが、こちらは含有量が微量すぎるので、本当の最低限の生命維持くらいにしか役に立たない。

最悪、その辺の葉っぱから水分を取れなくも無いのだが、何となく自然を破壊する行為な感じがするので、出来ることならやりたくない。

どうしようもなくなった時の最後の手段とすることにしよう。なので、水辺を探すことにする。


しばらく歩くと、水音が聞こえてきた。どうやら小川か何かが近くに有るみたいだ。

俺はこの出会いに感謝し、水音へ向かうことにした。


それから直ぐに小川を見つけることが出来た。幅20cm程度の小さい川だが、綺麗な水が流れていた。

俺は早速水をゴクゴクと飲むのだった。


「旨い!!」


こんなにも旨い水を飲んだのは初めてだ。と言うか、水ってこんなにも美味しい物だったんだな。

今まで飲んでいた水は、どんなに処理をしても消えない酷い匂いと味だった。エネルギーとしては問題無かったから飲んではいたが、美味しいとは思えなかった。

それに比べてこの水は、何も処理をしていないにもかかわらず、こんなにも美味しいなんて…やっぱり人間は地球にとって癌でしか無いと再認識するのだった。

たっぷりと補給と休憩を取った俺は、再び歩き出すのだった。



・・・・



あれから数時間ほど歩くと、ついに道を発見した。


「へぇ~、今時こんな道か在ったんだ。


見つけた道は、見慣れているアスファルトが敷き詰められた道では無く、人やタイヤ等で踏み固められて轍となった土で出来た道だったのだ。

自然の道っぽくて何となくテンションが上がってしまった。


「いやっほぉ~!!」


俺は全力で風を感じ、気の済むままその道を走り抜けるのだった。


「ん? あれは…はぁ!?」


10kmほど走ったところで、変な生き物に遭遇した。

見た目は骨格標本…簡単に言うと骨が動いていたのだ。


「嘘だろ!?」


もしかしたらブラックタイガーで新しい怪人でも造ったのだろうか? でも、ガイコツの怪人なんて聞いたことが無い。

いや、俺が知らないだけで、新たな怪人の開発が行われていたのかもしれない。

とりあえず俺はコミュニケーションをとることにした。


「キー!」


俺は姿勢を正し、右手を胸の位置から斜め上へと伸ばし、挨拶をした。


「・・・・」


だがガイコツ怪人(?)は何の反応も示さなかった。

それどころか戦闘態勢を取り始めた。


「あれ? もしかして戦闘員の恰好じゃ無いから気が付かないだけか?」


確かに変身前だと普通の人間にしか見えない。ならば!


「変身!」


俺はベルトへアタッチメントを装着した!


カッ! 


まばゆい光を発し、戦闘員へと変身する。


「キー!」


変身した格好で、再度ブラックタイガーの挨拶をしたのだが、何か様子が変だ。

ガイコツ怪人が完全に戦闘態勢に入ると、ガイコツ怪人を中心として、じわりじわりと周りの草が枯れて行った。


「キー?(はぁ?)」


俺達ブラックタイガーの目的は、地球の浄化と再生だぞ!?

緊急を要する、またはやむを得ない場合以外の、地球への破壊行為は禁止されているハズだ。

何にせよ、話し合いの途中にも係わらず、有無を言わずに自然を破壊したコイツは敵だ!!

俺も戦闘隊形を取ることにした。


それにしても周りを枯らせるって、もしかすると近寄ると危険なのかもしれない。

だが、どんな理由が有ったとしても、意味も無く自然を破壊する奴は絶対許さない!!

俺は怒りを右足に込めて飛び蹴りをかました!


ゴォ!


俺の右足が真っ赤に燃え上がり、そのまま相手を蹴り飛ばした!


ドコーン!


一撃で相手を倒した俺は、今の現象にビックリしてしまった。


「キキー、ウッキキウキャーキャキャ!?(今のは、バッタ型改造人造兵器と同じ必殺技!?)」


何度か怪人様がやられたのを見たことが有ったのでこの技を知っていたのだが、まさか俺にも使えたとは…

何にせよ、敵を排除することが出来た俺は変身を解き、敵が枯らしてしまった草へと向かうことにした。


「ゴメンよ、苦しかったよな。でも、敵は取ったぞ!」


俺は枯れた草を撫でて、謝罪をした。


「ん?」


その時、枯れた円の中心にキラリと光る物が落ちているのが見えた。

俺はその光った物を手に取ってみると、表面がツルツルしている黒い双角錐の形をした石だった。


「何だこれは?」


俺が石に疑問を感じていると、その石が光りだし、ベルトへと吸収されてしまった。

そして頭の中に文字が数字が表示された。


『5』


「なっ!」


突然のことでビックリしたが、今の所、体への異常は特に感じられない。

だけど、何故か新しい力が使えるようになったのは理解することが出来た。

ただ使い方は分かっても、何の能力なのかはまだ分からない。

ふと、何となくそうした方が良いのでは? と思い、枯れた草に手を向けて力を使ってみた。

俺の手のひらから暖かい光が溢れ、枯れていた草は元通りになった。


『4』


再び頭の中で数字が表示された。

もしかしたらこの数字は力を使える回数なのかもしれない。そしてこの能力も何となく予想が付いて来た。

次に轍の部分に力を使ってみた。すると、ガチガチに固められていた土がふかふかの黒い土へと変化した。


『3』


やっぱり頭の中に数字が表れ、案の定、数字の数も減っていた。

これで、この力がどう言った物なのかを理解することが出来た。

枯れた草が元の元気な草に変わった。押し固められて草も生えない様な白い土が、ふかふかの黒土へと変わった。

恐らくだが、自然を回復させるための能力なのでは無いかと思われる。すばらしい能力なのだが、残念なことに使用回数が決まっている。

使用開封を増やすには、多分だけど先ほどの石が必要と。


「それでも、この力さえ有れば、地球を救うことが出来るかもしれない!!」


俺はこの能力を得ることが出来たことに喜ぶのだった。


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