戦闘員
思いついたら書きたくなってしまいました。
よろしければお付き合い頂ければ幸いです。
「ウキー!」
ドカッ!
「キー!」
グシャ!
周りで仲間たちが次々と倒されていく。
俺はそんな仲間を助けるため、そして奴を倒すために殴り掛かった。
「キー!(てやぁー!)」
ブン、ブン、ブン!
くそっ! 何で当たらねーんだよ!!
お前だって元は俺と同じ改造人造兵器だろうが!!
奴が向こうを向く、チャンス!? いやっ! これは回し蹴りだ!!
視界の端にヤツの蹴り足が見えた。
ドカッ!
「キー!!(うわぁー!!)」
俺の視界は暗転した。
・・・・
パチッ…俺は目を覚ました。
俺は広い倉庫みたいな場所に寝かされていた。
「ここは? あぁ、いつもの場所か。そっか今回も奴に倒されたんだっけ。」
「よぉ、お疲れさん。」
声を掛けてきたのは同僚の戦闘員386号さんだ。
「お疲れ様です。」
「それにしても、戦闘員429号も大変だったな、あと少し助けるのが遅れてたら殺られてたぞ?」
「戦闘員386号さんが助けてくれたのですか?」
「いや、助けたのは戦闘員523号だ。後でお礼言っとけよ。」
「あ、はい。そうします。
ところで今日のリーダーだった怪人No.6様はどうなさったんでしょうか?」
「怪人No.6様は死んだよ…」
「そうですか…」
怪人No.6様は、いつも俺達を気遣ってくれる優しい方だった。
くそっ! 奴め!! また俺達の活動を邪魔しやがって!!
次こそは絶対地獄へと送ってやる!!
俺が所属しているのは秘密結社ブラックタイガーと言う組織だ。世の中の連中は悪の秘密結社と呼んでいるみたいだがな。だけどな、この組織の目的は、汚染された地球の浄化と再生が目的なのだ。
われらが住むこの地球は、温暖化を初めとし、砂漠化、大気汚染とどんどん苦しめられている。
その原因は人間だ! その愚かな人間は、自分の理のために平気で環境を破壊しまくっている! そのせいで絶滅させられた種族だっているんだぞ! だからこそ、俺達はこの原因を排除するために活動しているのだ。それなのに奴は…
奴と言っているのは、元怪人NO.1でも有ったバッタ型改造人造兵器だ。
奴は何をとち狂ったのか、突然人間の味方をすることになり、俺達のブラックタイガーと対立することになった。
奴は元怪人No.1だけ有って、とっても強かった。今の俺ではとてもじゃ無いが勝つことは難しいだろう。
このブラックタイガーと言う組織は、すべてを総括している総統閣下の下に、No.1からNo.10までの怪人が居て、それ以降は戦闘員となる。
戦闘員は番号が低いほど上位の存在となり、50番以内に入れば戦闘員リーダーに抜擢される。さらに10番内に入ると、エリート怪人へとさらに上位の存在へと出世出来るのだ。
俺は戦闘員429号と言えば、何となく俺の強さは分かってくれたと思う。
「じゃあ、俺は部屋に戻るな。お前も休めよ?」
「いえ、俺は少しトレーニングしてから休みたいと思います。」
「そうか、頑張るのは良いが、無理すんなよ。」
「はい! ありがとうございます!」
戦闘員386号さんは、手を上げて自分の部屋へと戻って行った。
さて、俺も頑張ってランクを上げないとな。
・・・・
ガシャン! ガシャン! ガシャン!
俺は日課のトレーニングを行っていると、突然館内放送が入った。
『本日の業務をお知らせします。
〇〇県△△市の工場で、汚染物質が垂れ流しにされているとの情報が入りました。
直ちに現場へと向かい、これらの対処をお願いします。
本日の怪人はNo.5さんにお願いします。
繰り返します…』
今日は怪人No.5様の出番なのか。あの方は水や空気を綺麗にするのに特化したお方だから、今日の業務には持ってこいだよな。よし! 俺も準備しなくちゃ!
俺はトレーニングを中断し、戦闘準備をして集合場所へと向かうのだった。
・・・・
現場へと到着した。
今回の目的でもある工場だが、事前の調査の通り、配管から青色やら緑色の液体が川へと垂れ流しになっていた。
そのせいで、川の魚が浮いて死んでいるのが見えた。
「くそっ! 人間どもめ!! 何て酷いことをするんだ!!」
俺が怒りに燃えていると、怪人No.5様からの指示が飛んできた。
「俺はまずは此処の水を浄化させる。お前たち戦闘員は、その間に此処の工場の制圧と、排水の停止をお願いしたい。」
「はっ! そちらについては我々に任せて下さい!! いくぞ!!」
「「「「「「「「了解! 変身!!」」」」」」」」
俺達はベルトへ変身するためのアタッチメントを装着した!
カッ!
まばゆい光を発し、俺達は戦闘員へと変身した。
「「「「「「「「キー!!」」」」」」」」
俺達は目的達成のために行動するのだった。
今日の隊長は、戦闘員リーダ28号さんか。頑張るぞ!!
・・・・
ドアを蹴破り工場へと突入すると、人間達が待ち伏せしていた。
「敵が来たぞ!!」
自動小銃を構えた人間が発砲してきた。
タタタタン! タタタン!
「キー!(伏せろ!)」
リーダの指示の元、一度頭を下げて物陰に隠れた。
まぁ、自動小銃程度の弾なら当たっても死にはしないのだが、それでも当たると痛いからな。
それにしても、自動小銃を持っているってことは、怪しい工場だよな。だから此処は、間違いなく地球にとって悪だ!!
「キー、ウッキウッキ、キーキー。ウキッ!(お前ら5人は右、そっちの5人は左から、残りは此処で援護する。行けっ!)」
俺は左からに指名された。人間どもめ、覚悟しろよ!
俺達左から攻めるグループは、銃撃が止んだタイミングを見計らって物陰から出て突撃する。
人間も応戦しているのだが、味方の援護のため、こちらへの影響は無い。さすがだ!
「ウッキー!!(死にさらせ!!)」
相手の懐まで近づけた俺達は、強襲を行った。
ドカッ!
「うわぁ~!!」
強襲は成功! 見事撃退することが出来た。
よし、この場所の安全が確保が出来た。次は…
「そこまでだ!! ブラックタイガー!!」
声をした方を見ると、上の足場に男が立っていた。アイツは!!
「変身!!」
怪人クラスに与えられる特殊な変身キットを使い、男が光を放って変身した。
光が収まると、そこにはバッタ型改造人造兵器が立っていた。
「とぅ!」
奴が足場より飛び降りる。
人間なら死、良くても重症になる高さだが、怪人でもある奴にとっては大した高さではない。問題無く着地した。
俺達も、そうなることは想定済みなので、周りを取り囲んでいた。
「キー!(殺れ!)」
「「「「「キキー!」」」」」
戦闘員リーダ28号さんの号令と共に、俺達は奴へと襲い掛かった。
戦闘員432号と戦闘員433号が飛び掛かったので、俺は足元へと攻撃を仕掛ける。
流石の奴も上下からの同時攻撃は嫌がったらしく、一度回避行動を取るみたいだ。
だが、その先には戦闘員431号が待ち構えている。
「キー!(死ね!)」
「くそっ!」
ガイン!
戦闘員431号の攻撃は見事に命中し、火花が飛び散る!
奴はサイドに転がり、立て直しを図るが、甘いな!
なぜならそこには、戦闘員リーダ28号さんが居るからだ。そこだ! 行け!!
バン! バン! バン!
その時銃声が鳴り響く!
「キー!(うわぁ~!)」
戦闘員リーダ28号さんが撃たれた!? 誰だ!!
「ちょっと迂闊すぎない?」
向こうの足場の上に、奴の仲間であるバッタ型改造人造兵器2号が銃を構えて立っていた。
バッタ型改造人造兵器2号とは、バッタ型改造人造兵器が俺たちに対抗するために、我々の技術を使い、勝手に改造人造平気を造ったのだ。
「2号!」
「とぅ!」
バッタ型改造人造兵器2号も足場から飛び降り、バッタ型改造人造兵器のすぐ側へと着地し、背中合わせで俺達へ向けて構えた。
「2号、助かった。」
「良いってことよ、1号やれるか?」
「おうよ!」
バッタ型改造人造兵器、もとい1号は、剣を取り出した。
1号が剣に手を添えると、剣は赤く光り始めた。
そして、そのまま戦闘員428号さんへと斬りかかる。
ズバン!
「キー!(うわぁ~!)」
「キキー!(戦闘員428号さん!)」
斬られた戦闘員428号さんは、爆発した。
「キー!(このっ!)」
俺は、仲間を殺られた怒りを込めて1号へと飛び掛かる。
バン! バン!
そこに2号の攻撃が命中! 俺は吹き飛ばされた!
「ウキー!(くそっ!)」
「死にな!」
2号が銃へ手を添えると、奴の武器が青く光る。
銃のトリガーを引くと、レーザーみたいな光が俺へと襲い掛かってきた。
「キー!(うわぁ~!)」
またヤラレっちまったのかよ……悔しい!!
俺の意識は反転した。
カッコ良く言ってますが、所詮はエビです(笑)